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ナレッジベースのSEO対策とは?

効果的なナレッジベースとSEOは切っても切れない関係にあります。SEOに関する以下のベストプラクティスを参考に、顧客のニーズに合わせてナレッジベースをカスタマイズし、顧客が回答をすばやく見つけられるようにしましょう。

著者: Georgi Todorov, SEO Manager, Semrush, @GeorgiTodorovBG

更新日: 2024年2月22日

ナレッジベースを最適化すれば、顧客がGoogleの検索結果を探し回ることなく、必要な情報をすばやく見つけられるようになります。これは、顧客のニーズを満たすうえで大きな強みとなります。

一方、ナレッジベースのSEO対策を怠れば、多数の見込み客を失うことになります。さらに、既存顧客にセルフサービス型のサポートを提供する機会も逃してしまいます。実際、顧客の約70%は、自力で問題を解決したいと考えているのです。

ナレッジベースのSEO対策が重要な理由

現在、カスタマーサービスに直接問い合わせるよりもセルフサービスを好む顧客が増えていることから、ナレッジベースの重要性が高まっています。

調査によると、オーガニック検索はWebサイトトラフィックのソースの第2位を占めています。

[注:Googleでは、Webサイトトラフィックをソース別に分類しています。オーガニック検索とは、検索エンジンの検索結果からWebサイトに到達したトラフィックを指します。それに対して、有料検索は、有料広告からサイトに到達したトラフィックを指します。]

つまり、既存顧客も見込み客も、セルフサービスを好み、疑問を解決するために検索エンジンを利用していると考えられます。したがって、ナレッジベースの最適化を怠ることはできません。

ナレッジベースのSEO対策を実施すると、以下のようなメリットがあります。

  • 既存顧客が回答を見つけやすくなる

    自社サイトをよく利用している既存顧客でも、疑問があるときはGoogleから検索している可能性があります。ナレッジベースを最適化すれば、想定したキーワードやフレーズを入力すると、自社サイトの関連記事が検索結果の上位に表示されるため、顧客が質問の回答をすばやく見つけられます。

    その結果、自社のブランド想起率が間接的に高まり、顧客維持率が向上します。

  • 見込み客が自社を認識しやすくなる

    自社のサービスや製品に関する具体的な質問に回答するだけでなく、業界全体に関する一般的な質問をナレッジベースに追加すれば、新規顧客の獲得につながります。

    一方、ナレッジベースのSEO対策を行わないと、見込み客を競合他社に奪われてしまう可能性があります。

ナレッジベースのSEO対策を行うための3つの手順

以下の3つの手順から成る実用的かつ効果的なSEO戦略に従って、ナレッジベースの最適化を進めましょう。

  • コンテンツについて調査し検討する
  • コンテンツをわかりやすくする
  • ナレッジベースを効率的に運用する

1. コンテンツについて調査し検討する

キーワード調査を実施すると、顧客の検索方法や顧客が検索に利用している言葉を理解できます。

また、現在のコンテンツに不足している情報を把握できるため、顧客の検索意図を踏まえつつ既存のコンテンツを更新できます。

[注:検索意図(またはユーザーインテント)とは、ユーザーが検索を行う主な目的のことです。Googleで検索語句を入力するのは、その裏に何かしらの目的があるからです。たとえば、「背景情報を知りたい」「製品の購入を検討したい」といったことが、検索意図に当たります。]

SemrushのKeyword Magic Toolなどのツールを利用すれば、キーワード調査を簡単に行うことができます。

このツールでは、キーワードを選択するうえで最も重要な要素の1つであるKeyword Difficulty(KD:キーワードの難易度)に基づいて、キーワードを並べ替えることができます。また、提案された関連キーワードを参考に、トピッククラスターを形成することもできます。

Googleがクロールしやすいようにコンテンツを構成することも、調査と同じくらい重要です。トピッククラスターモデルでは、「メイントピック」と「サブトピック」によってコンテンツが整理され、以下の3つの主要な要素から構成されます。

  • ピラーページ
  • トピッククラスター
  • ハイパーリンク
  • ピラーページ

    ピラーページとは、特定のトピックの概要を説明する長文のコンテンツのことです。トピックは、サブトピックに簡単に分割できるようなものである必要があります。

ピラーページのトピックには、以下に当てはまるものを選びましょう。

  • 包括的に説明できる
  • 関連する製品やサービスを自社で提供している
  • 顧客が関心を示している
  • 検索結果の上位に表示させたい

たとえば、Zendeskのヘルプセンターの「請求に関するFAQとリソース」というピラーページには、「支払いの管理」「請求書の管理」「プランのサブスクリプションの確認と管理」など、複数のサブトピックがあります。以下のように、ピラーページには、関連するヘルプ記事が表示されます。

  • トピッククラスター

    トピッククラスターとは、ピラーページのコンテンツのサブトピックについて詳細かつ具体的に説明するコンテンツのことです。トピッククラスターのコンテンツは、それぞれ独立した記事でありながら、ピラーページの全体的なテーマに沿っていなくてはなりません。

    たとえば、前述のヘルプ記事「プランのサブスクリプションの確認と管理」は、「請求に関するFAQとリソース」のサブトピックです。

  • ハイパーリンク

    ハイパーリンクとは、ピラーページとトピッククラスターを関連付けるものです。サブトピックには、ピラーページのコンテンツへのリンクを必ず含め、関連するサブトピックがある場合は、そのページと相互リンクさせるようにします。

    たとえば、サブトピックの記事「支払いの管理」には、「請求書の管理」が関連付けられています

2. コンテンツをわかりやすくする

適切なキーワードを選ぶことは重要です。しかし、そのキーワードに関連するコンテンツの最適化も同じくらい大切です。

キーワードの最適化

コンテンツに関して何より重要なのは、顧客の検索意図に沿うことです。顧客に情報提供を行うだけでなく、顧客との信頼関係を築けるように、ナレッジベースを構築する必要があります。

キーワードを選んだら、以下のチェックリストに従って最適化を行いましょう。

  1. URLの最適化

    自社サイトのURLを最適化する際には、以下の2つの点を考慮してください。

    URLにプライマリキーワード(最も重要なキーワード)が含まれているか

    URLが長すぎないか

    URLを短くすれば、SEO対策だけでなくユーザーエクスペリエンスも強化できます。顧客がURLを容易に記憶でき、リンクの共有もしやすくなります。

  2. ページのタイトル

    ページのタイトルタグには、プライマリキーワードを含めることが重要です。しかし、それだけでは不十分です。

    ユーザーがクリックしたくなるようなタイトルにしてください。また、65文字(半角)の字数制限を目いっぱい活用するようにします。

    タイトルタグの冒頭にプライマリキーワードを配置して、それ以降も字数ギリギリまで内容を盛り込みましょう。

  3. メタディスクリプション

    Google側で変更されることも多いものの、メタディスクリプションにはプライマリキーワードを含めておくと安心です。

    顧客や見込み客がページを訪問したくなるようなメタディスクリプションを作成しましょう。たとえば、ハウツー形式の質問に対する回答の一部のみをメタディスクリプションに含めれば、ユーザーが続きを読むためにコンテンツにアクセスすることが期待できます。

  4. 記事の冒頭の段落

    記事の冒頭にターゲットキーワードを配置すると、そのトピックに関する記事だということをGoogleが判断できるようになります。

    また、Googleは、メタディスクリプションを記事の冒頭の何文かに置き換えることがよくあります。この点を考えても、冒頭の段落を最適化することは効果的です。

  5. ページの小見出し

    小見出しを作成する場合は、プライマリキーワードの同義語を組み合わせましょう。小見出しにはH2、H3、H4タグを使用します。

コンテンツの最適化

ナレッジベースのコンテンツを作成する際は、ユーザーに公正かつ正確な情報を提供することを第一に考えてください。以下のような方法で、コンテンツの最適化を行えます。

  1. 顧客や見込み客がクリックしたくなるような適切なタイトルにする

    記事の内容をわかりやすく示したタイトルを付けましょう。

  2. 構成を工夫する

    長い記事の場合は、アンカーリンクを使って目次を追加し、顧客がコンテンツ内の目的の箇所までスムーズに移動できるようにします。

  3. 小見出しで本文を分割する

    ざっと読んでも頭に入ってくるようなコンテンツを作成しましょう。小見出しを使って本文を読みやすい単位に分割すると、コンテンツを最適化できます。

  4. 段落を短くまとめる

    長い段落が続くと、ユーザーはたちまち拒絶反応を示します。直帰率を下げるには、1つの段落に含めるのは3文までとしましょう。

  5. 箇条書きや段落番号を使う

    段落を短くまとめると、コンテンツが読みやすくなり、ユーザーのサイト滞在時間が長くなるのと同様に、箇条書きや段落番号を利用することも、ユーザーエンゲージメントの向上に効果的です。

  6. 代替テキストと共に画像や動画を挿入する

    関連する代替テキスト(alt属性)と併せてオリジナルの画像を掲載すれば、そのトピックに関する記事だということを検索エンジンが判断できるだけでなく、アクセシビリティガイドラインに準拠できます。

    また、スクリーンショットや動画を盛り込めば、ユーザーが情報をより理解しやすくなります。ただし、自社のナレッジベース用に作成された関連性のある動画を使用することが肝心です。

  7. 内部リンクで記事を関連付ける

    内部リンクを使用すれば、自社サイトのクローラビリティとインデキサビリティ(検索エンジンでのクロールとインデックス登録のしやすさ)が向上します。これにより、顧客が競合他社のWebサイトにアクセスすることなく、自社サイトから必要な情報をすべて収集できるようになります。

    前述のトピッククラスターと同様に、関連している記事は相互リンクさせましょう。また、各記事の下部に「関連記事」セクションを追加して、顧客が他の質問に簡単に移動できるようにするのも手です。

3. ナレッジベースを効率的に運用する

自社サイトが検索結果の上位に表示されないのは、主にテクニカルSEOに問題があるためです。しかし、これを解決するのは難しいことではありません。

SEO監査ツールを利用すると、対策が必要なWebサイト上の問題を特定できます。

  • サイトマップを作成する

    XMLサイトマップは、検索エンジンによるクロールおよびインデックスの登録に欠かせないものですが、その重要性が見落とされていることも少なくありません。検索エンジンが自社サイトの重要なページを判断しやすくなるだけでなく、ページの相互関係、Webサイトのページ階層、ページの最終更新日といった技術的な情報を示すこともできます。

  • ページの読み込み速度を改善する

    Webサイトの読み込みが3秒以内に終わらないと、直帰率が大幅に上昇します。回答を提供する速さは、顧客満足度に直結します。
    Googleが無料で提供しているPageSpeed Insights(ページの読み込み速度のテストツール)を利用すると、自社サイトの個々のページの読み込み時間を確認できます。

  • モバイルにも対応する

    スマートフォンで問題を解決する顧客は、増加する一方です。

    スマートフォンでナレッジベースを閲覧する顧客に向けて、文章の可読性を上げたり、ボタンをタップしやすくしたり、スムーズにページを移動できるようにしたりして、モバイルレスポンシブな設計を意識しましょう。

    Googleが無料で提供しているモバイルフレンドリーテストツールを利用すると、自社サイトをモバイルで表示した場合の見栄えを確認できます。

まとめ

ナレッジベースのSEO対策の目的は、検索結果の上位に表示されるようにすることだけではありません。顧客のニーズに適切に対応し、その過程で新規顧客を獲得することもねらいの1つです。

ナレッジベースのSEO対策を行う際には、顧客のことを常に念頭に置き、顧客のニーズを満たせるようにコンテンツを検討、作成、最適化してください。

執筆者について

Georgi Todorov氏は、SemrushのSEOマネージャーで、同社で新規プロセスの構築を担当しています。趣味は旅行、オンライン講座の視聴、読書、そして日課の散歩中にポッドキャストを聴くことです。Todorov氏のTwitterアカウントLinkedInアカウントもチェックしてみてください。

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