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カスタマーサービスにおける機械学習の活用例

発行日: 2020年4月23日
最終更新日: 2020年4月23日

カスタマーサービスにおける機械学習技術の活用は、顧客にとっての利便性とサポート担当者の業務効率を高めることを目的としています。機械学習を活用して、カスタマーサービスの対象となる顧客の行動を分析するツールは、使い勝手の向上によって人気が高まりつつあり、さまざまな業界で導入が進んでいます。Gartnerの予測では、2021年までに、カスタマーサービスにおける顧客とのやり取りのうち、人工知能(AI)だけで対応が完結するものの割合は15%に達すると言われています。

このようにAIの普及が進んでいるにもかかわらず、カスタマーサービスでAI(より具体的には機械学習技術)がどう活用されているかという話になると、人々の間には依然として誤った認識が広がっています。そこでこの記事では、機械学習活用の現状について整理していきます。

データからインサイトを抽出

まずは機械学習の定義を簡単に確認しておきましょう。機械学習とは、AIが階層構造のアルゴリズムを使ってデータを解析し、その中から規則性や関係性を学習するための手法です。「AI」が人間の脳のシミュレーション全般を指す言葉であるのに対し、機械学習では、機械が情報を収集し、その情報を活用する際の精度を向上させていく仕組みを扱います。

機械学習の導入が成功するのは、大量のデータ処理を通じて、十分な情報に基づく意思決定が下せるようになることを目標とする分野です。人間は、顧客の苦情への対応などについてはアルゴリズムよりも優れていますが、大量のデータを連続して処理する能力に関しては、アルゴリズムに及びません。そのため、カスタマーサービスの効率化が目的の場合は、人間のサポート担当者がデータからインサイトを入手できるようにするのが理想的です。

カスタマーサービスに機械学習を導入すると、そこからさらに一歩踏み込んで、入手したインサイトを基にカスタマーエクスペリエンスを最適化することができます。たとえば、データの分析結果に基づく予測などを通じて、サポート担当者により多くの情報を提供したり、顧客の初歩的な質問への対応をAIに任せることで、サポート業務の効率を改善したりすることが可能になります。

セルフサービスが加速

「セルフサービス」とは、顧客がサポート担当者とやり取りすることなく、自分で必要な情報を見つけて問題を解決できることを指します。Harvard Business Reviewに掲載された論文によると、サポート担当者と直接やり取りするより、自分で問題を解決したいと考える消費者の割合は81%に及びます。こうした状況を受け、多くの企業では、カスタマーエクスペリエンスの強化の一環として、セルフサービス型のサポートを充実させています。たとえば、ナレッジベースの構築は、セルフサービス型のサポートを提供する方法の中でも特に導入しやすいものの1つです。

セルフサービス型のサポートでは、チャットボットやバーチャルアシスタントといったAIを基盤とする各種ツールに、サポート担当者の対応を学習させて再現できるようにするなど、機械学習の活用が一般的になってきています。その中には、機械学習の進化形とも呼べるディープラーニングを活用して、AIによる自動対応の精度を向上させ、ユーザーにとっての利便性を高めているケースもあります。

カスタマーサービスにおける機械学習の活用例

チャットボット

カスタマーサービスにおけるAI技術の活用例として、多くの人が思い浮かべるのはチャットボットです。サポート担当者による対応を再現し、簡単な問い合わせを解決できるチャットボットは、セルフサービス型サポートのソリューションとして優れた存在と言えます。また、機械学習を導入すれば、チャットボットが状況に応じて適切な回答を選択したり、ユーザーから必要な情報を集めるタイミングやサポート担当者に対応を引き継ぐタイミングを判断したりできるようになります。

バーチャルアシスタント

バーチャルアシスタントは、チャットボットのようにサポート担当者の回答を再現するのではなく、カスタマージャーニーの特定の場面で顧客にサポートを提供するためのものです。バーチャルアシスタントに機械学習を導入すると、サポート担当者に引き渡すべき情報(または分析プログラムで使うために保存しておく情報)を学習し、サポートの質を高めることができます。たとえば、Zendeskの「Answer Bot」を使うと、顧客の質問に応じて適切なヘルプ記事を表示したり、サポート担当者がヘルプ記事を検索するプロセスを自動化したりすることができます。

コンテンツ作成

Zendeskのデータによると、ナレッジベースを検索しても探している記事が見つからないという不満を抱える顧客の割合は、約40%にのぼります。そこで機械学習を活用して、サポートチケットの内容をデータとして分析すれば、ヘルプ記事の作成に役立つヒントを手に入れることができます。たとえば、ユーザーが質問や不明点をどのような言葉で表現しているか、そしてその内容とナレッジベースの記事がちゃんとリンクしているかがわかるため、その情報を基にヘルプ記事を修正すれば、記事の関連性が高くなって顧客に見つけてもらいやすくなります。

データの分析結果に基づく予測

カスタマーサービスを改善し続けるには、その成果を数値化して分析することが重要です。機械学習を活用すると、その分析結果から今後の成果の一部を予測することができます。カスタマーサービスの分析データをベースとする予測では、サポート担当者の過去の対応をデータとして使用することで、今後予想される成果を定量的に判断できるほか、Zendeskの顧客満足度予測ツールのように、サポート担当者が見落としがちな情報をリアルタイムで拾うことができます。こうしたインサイトは、カスタマーエクスペリエンスの向上を図るうえで大きな助けとなります。