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フィジタル時代を生き抜く: オンラインとIRL(現実世界)を融合した小売のカスタマーエクスペリエンス

2023年、小売業者はあらゆるチャネルの顧客に対してシームレスなエクスペリエンスを提供する必要があります。

著者: Meaghan Murphy, 寄稿者

更新日: 2023年10月25日

買い物客がオムニチャネルの消費者へと実際に変化するにつれて、現実とバーチャル両方の支払い方法が利用され始めています。 McKinsey社によると、IRL(現実世界)とオンラインの買い物に明確な境界線を引かない消費者は、買い物の頻度が平均より70%も高く、店舗だけで買い物を済ませる消費者と比較しても約34%高いことがわかっています。

「小売の空間においては、顧客の求めるチャネルで対応したり、顧客の期待に応え続けたり、シームレスな体験を提供することも重要な点です。しかし、それだけでは不十分です」と、Zendeskの小売業界ソリューションエキスパートを務めるAmanda Awadは説明します。 「小売業界で真に成功を収めるためには、CXが顧客ロイヤルティ、信頼、エンゲージメントを確実な方法で高めていく必要があります」。

現実とデジタルが融合した新たな小売の空間は、従来のモデルとは異なるものでなければなりません。 この新しい小売業の環境では、店頭であれオンラインであれ、あらゆる側面で高い対話性を備えている必要があります。 現在、大手小売業者の間ではカスタマーサービスの品質に基づく競争が発生しており、これらの企業は市場での差別化につながるエクスペリエンスの構築に取り組んでいます。

現在、大手小売業者の間ではカスタマーサービスの品質に基づく競争が発生しており、これらの企業は市場での差別化につながるエクスペリエンスの構築に取り組んでいます。

ウォルマートは、「フィジタル(現実とデジタルを融合した)」戦略に全力を注いでいます。 米国最大手であるこの小売業者は最近、小売戦略における「3本の柱から成るオムニチャネルアプローチ」として、顧客第一主義を掲げました。 ウォルマートはリテールメディア、拡張現実、ソーシャルコマースの活用による、顧客に対する「卓越したサービス」の提供を計画しています。

「先端技術の活用による当社のミッションはいたってシンプルです。 それは、いかにしてひらめきやニーズの発見に着手するか、そしてひらめきやニーズが定まった時点から実際にそのニーズを満たすまでの道のり、時間、摩擦をどう削減するかという挑戦です」。 ウォルマートの新事業および先端技術部門のシニアバイスプレジデントを務めるCheryl Ainoa氏は、Progressive Grocerに対してこのように語りました。 「消費者のひらめきやニーズがどのように生じたとしても、そのニーズを満たすまでの時間や道のりを削減したいのです」。

場所や時間に縛られないショッピング体験

今日の顧客は、SNSを含む多くのチャネルを通じて買い物をしています。 経済雑誌「Forbes」の発表では、Z世代消費者の37%が買い物を1つの娯楽として捉えており、また同世代はSNSアプリ上で娯楽を見つけていることがわかっています。 最新版のZendeskカスタマーエクスペリエンス(CX)トレンドレポートによれば、消費者の14%は、お気に入りのSNSコンテンツクリエイターのストリーミングライブを視聴中に製品を購入しています。

小売業のInstagramおよびTikTokへの参入は、コロナ禍に突入して以降増加の一途をたどっており、今もなお衰える気配はありません。 コマースチャネルにおける購買ではモバイルアプリ経由が43%を占め、20%はSNSのショップアカウントで行われています。

しかし、Z世代のツイーン(8~12歳)であれベビーブーマー世代であれ、これらオムニチャネルの消費者全体が、以下のような高いレベルのカスタマーサービスを期待しています。

  • 消費者の74%が店舗とオンラインで同レベルのサービスを期待
  • 消費者の69%が店舗でもオンラインと同様に簡単に商品を見つけたいと考える
  • 消費者の64%が店舗とオンラインで同等のパーソナライゼーションを期待
  • 消費者の56%が店舗で商品を確認してからオンラインで購入

顧客が求めるチャネルでの対応

いつでも、どこでも買い物が可能であるという認識は、チャネル全体でのシームレスな体験に対する消費者の期待をどこまでも高めています。 また、ショッピング体験における効果的なパーソナライゼーションの取り組みが、小売業者に成果をもたらすこともわかっています。2023年版 Zendesk CXトレンドレポートによると、大手小売業者の77%がパーソナライゼーションの実施によって顧客維持率が改善されたと回答しています。

しかし、多くの小売業者において、オンラインでのカスタマーエクスペリエンスの提供は店舗のものとはまるで異なります。 明確な境界線を持たない新たな小売業界においては、デジタルにしても現実にしても、すべてのタッチポイントにおいて一貫したカスタマージャーニーを構築することが、充実したフィジタルエクスペリエンスを生み出すための鍵となります。

Forbesの記事に次のような掲載があります。「重要なのは顧客に選択肢を与えるということです。つまり、ブランドに触れたり購入したりする手段、製品の受け取り手段、また、店舗でこそ得られるサービスとはどのようなものであるかという顧客独自の視点に合わせた選択肢を提供するということです」。 「この選択肢があってこそ顧客ロイヤルティの維持が可能になり、また顧客もその時のニーズに適したカスタマージャーニーを選ぶことができるようになるのです」。

Liberty London製のパープルカラーのバッグ

チャネルの壁を越える一貫した会話

イギリスの老舗ラグジュアリーブランドであるLiberty Londonは、設立150年近くの歴史を誇ります。 しかし、同社の売上の半数近くをオンライン販売が占めていたことから、同社カスタマーサービスチームは、CX業務の体制を時代に即したものに刷新する必要があると認識しました。 Liberty Londonは2015年においてもなお、単一のスイッチボードと共有のメールボックスを使用し続けていたのです。

Zendeskに移行して以来、Liberty LondonのCXチームはメールに使用するプラットフォームで音声通話を一括管理できるようになり、店舗とオンラインの両方で、高品質なカスタマーエクスペリエンスの提供が可能になりました。 またカスタマージャーニー全体を一括表示できるようになったことで、Liberty Londonの顧客は何度も同じ説明を求められることがなくなりました。

Zendeskが実施した調査では、こうした一貫性のあるコミュニケーションを企業が取り入れることで、顧客との会話が開始されたチャネルから他のチャネルに、再度説明を求めることなく取り次ぎが可能になり、66%の消費者がこのような企業から、より買い物をするということがわかっています。

オンラインとオフラインのショッピング体験を融合するための実績ある戦略

昨今の消費者は、オンラインであれ店舗であれ、消費活動全体において一貫した体験とパーソナライゼーションを期待しています。 以下に、小売業者が顧客に対してシームレスなショッピング体験を提供するための実績ある戦略をご紹介します。

顧客に対する対話型サポートの提供

顧客は質問に対して可能な限り迅速かつ容易に回答を得たいと感じています。 AI搭載のチャットボットは顧客からの幅広いリクエストに対し自然な文面でサポートを提供できます。 フォーシーズンズ ホテルズアンドリゾーツでは、Zendeskの対話型メッセージング機能を導入したことで、ネットプロモータースコア(NPS)が7%向上したことがわかりました。

  • サポート担当エージェントの品質向上

    会話全体の記録を確認できるエージェントはより質の高い顧客サポートを提供できます。顧客は何度も説明を求められることがなくなり、満足度向上につながります。 カスタマージャーニーの背景を把握できるエージェントは、より効果的にエクスペリエンスをパーソナライズすることができます。 ShopifyはZendesk Support を利用して月間17万件の会話を管理できるようになりました。

  • 店舗連携の実施

    モバイルアプリを活用したIRL連携で、CX改善が期待できます。 Mizzen + Mainのセールスエージェントは、Zendesk Sunshineの導入によって、生年月日やシャツのサイズなどの必要な顧客情報を直ちに取得できるようになりました。 その結果、Mizzen + Mainの CSAT(顧客満足度)は3%も向上しました。

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