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顧客の声(VoC)とは? 集め方、分析、活用のヒント

更新日: 2024年1月9日

顧客から毎日のように受け付ける問い合わせやクレームなど、顧客の声=VoC(Voice of Customer)は業務や事業の改善につながる重要なヒントです。すでに多くの企業ではこの「宝の山」の存在に気付き、いかに活用できるかに腐心しているのではないでしょうか。

しかし顧客とのチャネルが多様化する現代、VoCを十分に活かすことは容易ではありません。今回はVoCの基本的な知識を確認しながら、その重要性をあらためて見つめ直します。

VoCとは何を意味するものか

VoCとは“Voice Of Customer”、日本語では「顧客の声」を意味します。
一般的には収集する種類を問わず広く顧客の生の声を指しており、カスタマーサポートや問い合わせ窓口に寄せられるものだけではなく、CGM(Consumer Generated Media)と呼ばれるSNSや掲示板、口コミサイト、さらにアンケート、デプスインタビュー、ECサイトのレビューなどの媒体も含まれる場合が多く見られます。

デジタル技術の普及によって、過去の時代よりも格段に消費者の声の発信される場が広がっているため、VoCの範囲も拡大し続けていると言えるでしょう。VoCの具体的な内容には、意見、要望、感想、クレームなどがあります。

VoCは顧客の率直な意見、企業や商品・サービスに対する感情の表現であり、ブランドへのイメージを決定する要因ともなり得るものです。商品・サービス開発、改善のヒントとなる気付きが得られる機会となり、適切に活用することによって競合他社との差別化を図る重要な材料となります。

VoCの種類と役割については、こちらの記事で詳しく解説しています。

VoC収集の意味と重要性

VoCを集めることにはどのような意味があるのでしょうか?

どのような事業であっても、顧客の求めるところを理解できなければ成功はありません。どれほど自社が送り出すものに自負があっても、顧客の生の声であるVoCを無視しては事業の成長・安定性の獲得は難しくなります。

自社内の自己満足的な意見のみでは、真実の実力を正しく見極められなくなります。VoC収集には、以下のような意味があります。

  1. マーケティング戦略の軸となる

    市場や消費者が何を求めているのかという根本的な問いへの理解を促します。

  2. より優れた製品を提供できるようになる

    顧客の声を製品・サービスの開発や改善に取り入れて、さらなる品質向上を図ることができます。

  3. 顧客意識の変化に気付くことができる

    既存の成功体験があると、時代の変化への対応に遅れが生じる危険性があります。VoCを収集することによって、その変化に気付くことができる機会を得られます。

  4. 戦略の方向性を定めるためのヒントが得られる

    もちろんすべての声には答えることはできませんが、重大と考えられるリスク要因を排除し、最も求められる方向性を見極められる可能性が高まります。

  5. 自社の課題解決の糸口となる可能性がある

    内在する課題が明確になり、顧客の声から解決のヒントが得られることも考えられます。

  6. ブランディング効果が得られる

    VoCを重視し、顧客の声に耳を傾けることのできる企業であるというイメージを示すことで、ファンやロイヤルカスタマーの創出へとつながります。

VoCのビジネスへの活用

企業がVoCを戦略設計や、製品やサービスの開発・改善に適切に活用できれば、ただ企業イメージを良くできるだけではなく、実質的なメリットが得られます。どのような影響が期待できるのか、解説していきます。

カスタマーサービスへの満足度が購買行動に大きな影響を与える

出典: CXトレンド2022年 なぜ顧客視点の企業戦略で差が生まれるのか?

上記の調査では、カスタマーサービスへの満足度と購買行動の強い関係が示されています。

顧客は一定の期待を持って商品やサービスを利用しますが、利用を続けていくうちに新しい要望や不満が生まれてきます。製品の機能そのものだけではなく、カスタマーサービスをはじめとする企業側の対応に何らかの不信感を抱くと、離れてしまう可能性は少なくないことが明らかとなっています。

顧客と企業の接触は企業のWebサイトや広告を見たときから始まります。購入前に企業がどのように顧客に商品を販売するかも重要ですが、商品の購入や契約成立後の関係こそ、顧客をつなぎとめるために大きな役割を果たします。

VoCは顧客が漫然と抱く、表面的には見えにくいリスクを察知するために、活用できます。

こうした顧客の不満を生み出し、離脱の原因となるものについて、企業側が独自で気付くというのは容易ではありません。個々の小さな不満や不信は、マスではなくミクロの視点のみで表れやすいため、丹念に拾い集めていく意識が求められます。

また、顧客の声の重要性に気付きながらも、単なる収集に終わる、または個別対応で「解決済み」となるケースも少なくないようです。顧客の声を見過ごすことなく集めて活用していくためには、統合的にVoCを扱える制度を確立し、さらに踏み込んだVoC活動としていく必要があります。

VoCがビジネスへ与える効果

VoCを収集し、ビジネスに活かすことで以下のようなインパクトがあると考えられます。

顧客満足度の向上

  • 顧客が不満を持つ点の改善:VoCを通じて製品への不満が分かり、改善につなげられます。

  • 商品・サービスの不具合の解消:仕様上の不具合、サービスの不備などを解消するのに役立ちます

  • 企業への信頼性向上:VoCへの対応が信頼性を増し、ブランド価値向上に貢献します。さらにリピート率・LTV向上に寄与します。

商品・サービスの品質向上

  • 受け入れられる製品づくり:顧客の声を反映し、より顧客に寄り添った商品・サービスを提供できるようになります。

  • 新規顧客開拓:消費者ニーズにマッチした製品づくりにより、新たな顧客を引き寄せます。

  • 他社との差別化:競合とは異なる視点を持つことができ、差別化の強みが生まれます。

  • 社会的信頼性の獲得:良い製品を社会に提供する企業として、ブランド価値の向上につながります。

新たな事業展開への切り口を発見

  • 消費者の潜在的ニーズの発見:VoCを分析することにより、隠れたニーズ、言語化されていないニーズが見出され、商品開発のヒントとなる可能性があります。

  • 将来的なムーブメントの予測:消費者の全体的な傾向や指向を読み解くことで、トレンド予測に役立ちます。

  • VoCの活用によって常に新しい視点や気付きが得られれば、企業成長力への貢献が期待できます。

VoC活用の事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、オムニチャネルで一貫性のある優れた顧客体験を実現できます。
VoCの収集や分析についても機能も充実しています。Zendeskを利用してVoCを活用した具体的な事例を紹介します。
Zendeskの問い合わせ対応画面利用例

「株式会社やずや」の事例

自然由来の健康食品を手掛ける株式会社やずやでは、オンライン・オフラインすべてのVoC管理を一元化し、顧客との関係性強化を実現しました。

同社の顧客は特に健康に関心の強い50~60代が中心の層であり、定期コースの利用者が大部分を占めています。メール・問い合わせフォームからのコンタクトもありますが、メインは電話やファックス、はがきといったオフラインチャネルとなっています。

顧客対応を重視する同社にとって、これまで顧客の声の適切な管理、迅速な対応、分析が重要な課題となってきました。

Zendesk導入により、さまざまなチャネルをまたいだVoCの一元管理を実施。これまで拾いきれなかった顧客の声まですべて拾えるようになり、分析・改善の分析・改善サイクルを回すための土台を整えました。スムーズかつ取りこぼしのない体制が整備され、より効率的で質の高いサポートの提供、改善策への取り組み強化につながっています。

「恵那市」の事例

美しい自然と歴史文化に恵まれた岐阜県恵那市では、ICT活用推進計画を積極的に進めています。快適な生活環境の実現と市内経済の活性化実現に向け、市民からの意見や要望、提案の取りまとめは重要な位置づけにあります。

しかし電話やメール、Webフォーム、広報直通便はがき、公式アプリなど複数のチャネルによって市民の声が届くため、その処理には非常な手間がかかっていました。迅速な対応が求められても、担当者や上長不在、進捗状況管理の複雑さから回答の遅延や漏れが発生することもあったと言います。

Zendeskの導入により、タスク管理や進行管理、関係者とのスピーディーな情報共有が可能となり生産向上・業務効率化を実現。市民の声や対応状況の一元管理によって、業務効率化が実現し、抜け漏れを防ぎ、市民エクスペリエンス改善の一翼を担っています。

適切なVoC活用が企業の明日を創る

消費者ニーズの細分化、厳しさを増す市場競争のなかで、自社事業を成功に導くためにはVoCの活用が欠かせない戦略となります。顧客の声に耳を傾け、それを成長材料として活かしていくためには、適切な管理をもとにした分析が必要です。どんな小さな声もスルーせずに大切な企業財産の一部として扱えるよう、VoC活用の体制づくりを検討していくことが求められます。

ZendeskではVoC活動の参考となる詳細情報を下記eBookでご紹介しております。VoCの活用についてお悩みの際には、ぜひご一読ください。

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