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VoC(顧客の声)をマーケティングで活用する方法とは?

更新日: 2023年12月12日

VoC(顧客の声)をマーケティングに活用することで、顧客満足度向上、顧客の囲い込み、新規顧客の獲得、他社差別化、ブランド力の向上など多くのメリットが得られます。その結果、売り上げ拡大、新規事業の創出など、ビジネスを大きく拡大できます。

多様なチャネルから日々集まるVoCをマーケティングに活用する重要性と活用方法、課題や注意点、およびVoCを活用して成功した企業の事例について紹介します。

VoCをマーケティングに活用する重要性

VoCは事業を映す鏡

VoCは事業の現状を鏡のように反映します。製品やサービスを実際に利用し、その効果を体感した顧客から、偏りやひいき目に左右されない忌憚(きたん)のない意見が得られるからです。VoCは安全な航海を可能にする羅針盤のような役割を担っていると言えます。

羅針盤のない航海が危険であるのと同様に、VoCを活用しない経営は事業に貢献しないばかりか危険ですらあります。「効果的なマーケティングの推進や相乗効果の発揮」「顧客体験の向上」および「リスク回避」などの観点から、VoCを活用した経営は極めて重要です。

VoC分析によって効果的なマーケティングの推進や顧客体験の向上が可能


VoCには、マーケティングに役立つさまざまな情報が含まれています。顧客の不満や商品の不足・不備などのマイナス情報、使用してどこに満足したかといったプラスの情報、そして改善・改良の要望などです。これらのなかには、企業から見えにくく、言われないと気付くことができない情報も存在します。

VoCからマーケティングに役立つ知見を得るには、多様なチャネルからもれなく情報を収集したうえで可視化し、分析することが必要です。企業目線では気付きにくい情報には、センチメント分析などの手法を使うと効果的です。

センチメント分析とは、SNSやブログなどへの書き込みから、企業やブランド、製品やサービスなどについての顧客の個人的な感情を読み取る分析手法のことです。ネガポジ分析とも呼ばれ、数値で見えにくい課題、情報などが得られます。

分析の結果、今まで企業が気付けなかった強み・弱み、プラス面やマイナス面が明らかになります。分析を顧客の属性別、製品別、エリア別などで細分化して行えば、よりマーケティングに役立つ多くの知見が得られ、広告・販促、営業などに活用できます。

その結果、顧客が購買した理由やリピートしない理由などが明確になって、消費者行動に関する根拠に基づいたマーケティング施策を立案できます。その施策は、ターゲット層に対する効果の高い確実なアプローチを可能にします。

また、企業は常により良い顧客体験の提供を追究し続ける必要がありますが、提供を受ける顧客の真意を知ることは容易ではありません。しかし、VoCの活用によって顧客体験の最適化を図れます。また、VoCから顧客満足度を数値化し、KPIやKGIといった指標として利用すれば、客観的な数値に基づいて目標・目的を達成するためのマーケティングを展開できます。

VoCの活用でマーケティングの相乗効果とリスク回避を実現


VoCの一元管理ができれば、情報を全部門で利用できるようになり、マーケティング戦略を部門間で有機的に連携・推進でき、マーケティング効果を向上できるでしょう。

その結果、顧客ニーズに合った製品・サービスへの改善や、顧客満足度・ブランド力の向上による顧客の囲い込みが可能になります。顧客の囲い込みによりLTV(顧客生涯価値)を高められ、売り上げ増を実現できます。

また、開発部門において潜在ニーズを次の製品・サービスの開発に生かすことで、新製品による新規顧客の獲得や、新規ビジネスの創出による売り上げ増・事業拡大につなげられます。

一方、リスク回避・軽減のためのマーケティングも重要です。近年はSNSの利用者の増大の影響で、クレームやその他の不祥事に対する対処の遅れが、大きな事業リスクの発生につながります。

リスク防止や回避には、製品やサービスの欠陥、顧客からのクレーム、従業員の不祥事などを早期に把握し、迅速な対処ができなければなりません。広く多様なチャネルからVoCを収集し、時系列で分析することで問題の重要度や緊急性が分かり、リスクの防止・軽減対策が早期に実施できます。

VoCをマーケティングにどのように活用できるか

VoCはマーケティングにさまざまに活用できますが、主な例を具体的に紹介します。

  1. マーケティング戦略の立案に活用

    VoCの情報から顧客全体やターゲット層別の動向を把握し、ターゲット層を変更したりターゲット層別にマーケティング戦略の見直しをしたりすることで、効果的な事業戦略へと進歩させられます。また、想定外のターゲット層に人気があることや想定していない使われ方があることなどが分かると、思いがけないマーケティング戦略につながり、事業拡大も可能です。

    逆に、VoCの分析結果から、企業自体や製品・サービスのイメージの低下が分かる場合もあります。そうしたときに得られる顧客視点は、より親近感や信頼感を持てるブランドやイメージに育てるための、リブランディングマーケティングの立案・実行に活用できます。

  2. 広告や営業における訴求力・説得力の強化

    製品・サービスが顧客にどのように評価されて、どう使われているか、あるいはどこに満足しているかなどを、VoCから知ることが可能です。それらをマーケティングに効果的に使うことで、広告・販促や営業での訴求力・説得力を強化できます。

  3. カスタマージャーニーの把握・改善

    カスタマージャーニーとは「顧客が製品・サービスに関心を寄せ、検討して購入に至るまでの行動・体験のプロセス」のことです。カスタマージャーニーを正しく把握し可視化することは、より効果の高いマーケティングにするために必要な重要な作業です。

    その可視化には顧客の生のVoCが必要です。その理由は、企業はカスタマージャーニーを自社に都合の良いように希望的に考える傾向が強いからです。企業が、いくら「顧客はこのように行動してくれるに違いない」と考えても、そのとおりになるとは限りません。

    正しいカスタマージャーニーが可視化できれば顧客の行動が明らかになり、顧客行動に基づいた消費者目線での効果的なマーケティングを展開できます。

    カスタマージャーニーについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。

    カスタマージャーニーマップとは? 目的や作り方を徹底解説!

  4. 製品・サービスの改善

    VoCを収集すれば、実際に顧客が使用したときの使いにくさや、分かりにくさを改善するためのヒントを多く得られます。また、VoCの分析から顧客の潜在ニーズが分かると、改善だけでなくまったく新しい次世代の製品・サービスの開発や新規事業の創出につながる可能性が生まれます。

VoCをマーケティングに活用するときの課題とポイント


VoCをマーケティングに活用するときに多く見られる課題とポイントは以下です。

VoCを活用するときに多く見られる課題

  • チャネルの把握とVoC管理の仕組みができていない

    VoCを収集するチャネルが多岐にわたっていると、すべてを網羅して収集することが難しく、取りこぼす可能性があります。取りこぼしたなかに貴重で重要な情報があった場合には、効果的なVoCの活用ができません。

    また、収集後の情報の整理・蓄積・分析・共有といった管理の仕組みが確立されていないと、一元管理ができず、効果的な分析や社内の各部門での活用が不可能です。これらを解決するには、全社的な体制づくりが必要です。

VoCを有効に活用するためのポイント

  • 優先順位・重要度の把握

    企業側がいかに誠実に対応しても、顧客の要望すべてを受け入れるのは困難です。収集されたVoCを定性・定量的なデータとして可視化して、優先度を明確にします。そのうえで改善・対応の必要性の高さに基づき、重要度を判断しなければなりません。

  • VoCの効率的な収集と一元管理に有用なツールの導入

    VoCを効果的に活用するには、ツールの導入が必要です。ツールを利用しないと、VoCの効率的な収集・分析や多彩なチャネルを横断した情報の一元管理などが困難になります。もれのないVoCの収集や効果的な分析、部門の垣根を越えたマーケティング戦略の連携と活用などは、ツール無しでは困難です。

VoCをマーケティングに活用した事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、オムニチャネルで一貫性のある優れた顧客体験を実現できます。Zendeskを利用してVoCをマーケティングに活用した事例をご紹介します。

Zendeskの問い合わせ対応画面利用例

株式会社I-ne
「顧客の声をアクションにつなげる仕組みを実現」

ヘアケア製品や美容家電などの開発・販売を手がける株式会社I-neは、より質の高い顧客体験の提供を目指すマーケティング目標のために、Zendeskを導入しました。

Zendeskの導入後は、社内に分散していた情報が集約でき、チャネルに関係なく情報の一元管理を実現しました。VoCの情報はポジティブとネガティブに分類して履歴を残し、問題点の原因を分析しながら各部門にフィードバックして、お客様の声を反映しやすい運用方法を確立しました。

これにより、顧客からのあらゆる意見・要望の速やかな社内共有が可能になり、迅速な顧客対応と製品開発にそうしたVoCを生かしています。

また、I-neでは、キャンペーンの企画・実行部門の利用アプリをZendeskと連携し、キャンペーン対象者リストをZendeskに取り込んで必要なアクションを実施できる仕組みも実現しました。

問い合わせ時に顧客から悩みを聞いた上で、アップセルやクロスセルにつなげていく施策も実施しています。解約に至った場合も、マイナスと見るだけではなく解約理由を蓄積・分析しながら今後のより良い提案の実現を目指し、改善に活用できるよう取り組んでいます。

【Zendesk導入事例】
株式会社I-ne

VoCの活用は企業力強化の武器

VoCは、マーケティングに活用することで、広告・販促、営業、開発などを含む経営全体を強化できる強力な武器です。VoCをマーケティングに生かせるかどうかによって、企業の成長力が変わります。成長の強力な武器としてVoCをマーケティングで活用するには、多様なチャネルから取りこぼしのないようにVoCを収集したうえで分析し、一元管理する必要があります。

そして各部門で共有して、VoCとの相乗効果が発揮できるマーケティング戦略を構築しなければなりません。Zendeskには、VoCをマーケティングに有効に生かせるさまざまな機能があり、事業に役立つ仕組みづくりをサポートします。

ぜひ無料トライアルでZendeskの機能をお試しください。

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