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カスタマーサービスの改善にチーム間の連携強化が不可欠な理由

更新日: 2024年2月22日

企業に問い合わせを行ったとき、窓口の担当者から非常に丁寧な言葉で「申し訳ございませんが、お問い合わせの件はこちらでは対応できないため、別の部署に引き継がせていただきます」と言われ、次の担当者にもまた同じように対応され、さらにまたそれが続く――。きっと多くの顧客が一度はこんな場面に遭遇したことがあるはずです。

問題を解決できる担当者まで最終的にたどり着けることもあれば、長々と電話口で待っているうちにイライラが募り、何も解決しないまま電話を切ってしまうこともあるでしょう。いずれにせよこうした状況では、担当者がいくら丁寧な受け答えをしても、いい加減な体制のせいで顧客は嫌な思いをしてしまいます。

サポート担当者は、このような対応が顧客の不満につながることも、陥りがちな状況であることも、十分に理解しています。数十の部門に数百人の従業員を擁するエンタープライズ企業ともなると、カスタマーサービスチームの枠を超えて問い合わせに対応しなければならないケースが多々あるでしょう。そして、他部門との連携は、顧客が想像する以上に至難の業です。

社内の部門間連携における3つの課題

サポート担当者が自社のサービスレベルアグリーメント(SLA)を満たそうとどんなに努力しても、他部門から情報を得るには一連の課題が立ちはだかります。

顧客対応を別の担当者に引き継ぐ場合、スローダウンは避けられません。適切な担当者に効率的につなぐプロセスを整備していなければ、いくつものステップを踏まなくてはならず、対応はさらに遅れます。

1. 適切な担当者を理解する必要がある

サポート担当者は顧客の問い合わせ内容に応じて、どの部門に連絡を取るべきか、さらにはその部門内のどの担当者が適任かを判断できる必要があります。数十の部門、数百人の従業員を抱えるエンタープライズ企業にとってこれは難題です。

2. 適切な担当者との連絡手段を見極める必要がある

最適と思われる役職の人物が見つかったら、次は連絡手段を検討します。わかりやすい従業員データベースに電話番号やメールアドレスが掲載されていても、求めている情報を引き出すまでには時間がかかります。業務上のやり取りをすべてメールで済ませたいという従業員に対してボイスメールを残した場合、タイムリーにつかまえられる可能性は低いでしょう。

3. 1回目で適切な担当者に引き継げないときは、もう一度挑戦する必要がある

最悪の場合、つかまえた担当者がいったん引き受けてくれた後に、やはり対応できないと返されてしまったら、別のだれかに当たらなくてはなりません。こうなると最初からやり直しとなり、顧客もそろそろ待ちきれなくなってきます。運良く2人目が見つかっても、対応できたころには顧客はもう不満を募らせているかもしれません。

社内連携を強化する仕組み

こうした状況下では、サポート担当者が応答時間をコントロールすることはできませんが、どのような理由で対応が遅れたのかは顧客には関係ありません。顧客の目には、不満足なカスタマーサービスを提供している企業として映るだけです。これは絶対に避けなくてはいけません。カスタマーサービスチームを成功に導くには、他部門と協力して対応すべき問い合わせがカスタマーサービスに寄せられたときに、適切な担当者に連絡するための効率的なシステムが重要となります。

1. カスタマーサービスチームから協力を仰ぐ主な部門を洗い出す

他部門の適切な担当者を探し出すのに時間がかかると、それだけ顧客を待たせることになります。このとき、サポート担当者はプレッシャーを感じながら、限られた情報で問題を解決しようと奮闘しているのかもしれませんが、そうではなく、チームで手分けして、問い合わせへの対応で協力を求めることのある部門をすべてリスト化した方が効率的です。

たとえば小売業界のeコマース企業なら、出荷状況についての問い合わせであれば倉庫、サイズについての問い合わせであれば製品部門、支払い関連の問題であれば請求部門に頻繁に連絡を取っているでしょう。プレッシャーのないときに時間を取って事前にリストを作成しておけば、必要なときに各部門との効率的な連絡の取り方がすぐに確認できるような体制が整えられます。

2. 各部門との連携が必要になる最も一般的な問題を特定する

リストに挙げた部門ごとに、どのような問題の場合に連携する必要があるか検討します。チームで対応記録を保存していれば、記憶に頼らなくても済むはずです。過去のチケットを調べて、その部門に連絡を取ったときの具体例を探しましょう。

必要なときにすぐに対応するための最善の方法について、事前に各部門と協議することをお勧めします。そうすれば、問題に応じた最適な担当者と、その担当者への連絡方法を一緒に考えることができます。たとえば、相手が頻繁に移動している倉庫スタッフなら、移動先でもスマートフォンで連絡が付くようメールを送るのが最善です。また、出荷状況を共有してくれる担当者や、その担当者につながりやすい電話番号も把握しておく必要があります。

3. 適切な担当者への連絡プロセスを簡素化する

ここまでの情報をすべて把握できれば上々ですが、さらに、すべての担当者が必要なタイミングですぐに情報を入手するための最適な方法も検討する必要があります。社内の正確な連絡先を網羅した優れた一元的なデータベースがあるとよいでしょう。そして、チケットの追跡や顧客の問い合わせへの対応に使用しているチームの主要システムに、その情報を組み込むことをお勧めします。

他部門と連携して顧客からの問い合わせに対応するときに備え、サポート担当者が各部門の適切な担当者に対してカスタマーサービスソフトウェアから直接簡単にメッセージを送れるようにしておきましょう。

そうすることで、チケットに関するすべてのやり取りを一元的に管理できます。また、事前に時間を取って適切な連絡先情報を整理しておけば、適切な担当者にすばやく連絡することができます。ただし、日常的に使用しているソフトウェアからメッセージを送信するからと言って、受け取る側が新しいソフトウェアツールを使ってメッセージにアクセスする必要があるというわけではありません。メールなら、各担当者は他のメールと同じように、別の担当者からのメッセージを閲覧して返信できます。

拡張可能な内部連携プロセスを構築する

会社が大きくなるにつれて、顧客からの要望や問い合わせは一段と複雑になり、優れたサービスを提供するために他部門の担当者に協力をお願いする機会がますます増えていくでしょう。毎回適切な担当者と連絡を取れる優れたプロセスを確立することで、ビジネスの拡大に伴って増大する煩雑さを軽減し、信頼性の高いサービスを迅速に提供するために必要な情報をカスタマーサービスチームが常に入手できるよう徹底することができます。

サポート担当者が他のチームと効率的に連携するためのツールの利用方法については、こちらのページをご覧ください。

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