顧客維持とは?
顧客維持とは、顧客をリピーターに変え、競合他社への乗り換えを防ぐ企業の能力のことです。
企業はマーケティング、SNS、営業戦略を通じて顧客を引き付けるために懸命に努力していますが、このような取り組みは顧客維持にも尽力して初めて意味を成します。 優れた顧客維持戦略を実行するには、顧客との質の高いやり取りと卓越したカスタマーエクスペリエンスを組み合わせて、顧客とブランドとの関係を強化する必要があります。
どんなときでも顧客を満足させられるシームレスなエクスペリエンスを創出することで、より多くの顧客を維持できます。 以下でご紹介する指標、戦略、および例から、顧客にリピーターになってもらうために必要なあらゆることが明らかになります。
このガイドの詳細:
企業にとって顧客維持が重要な理由
顧客がリピーターになると利益を簡単に高く保つことができるため、顧客維持は企業にとって重要です。
顧客維持から製品やサービス品質が顧客の期待を超えているかどうかが分かることから、ほとんどのサブスクリプションベースの企業やサービスプロバイダーにとって必要不可欠です。 とはいえ、顧客維持は業界に関係なく企業に複数のメリットをもたらす存在です。
- 大幅なコスト削減: 顧客維持は新規顧客を獲得するためにコストを使うよりも費用対効果が高く、顧客がリピーターになると購入金額が増え、CAC(顧客獲得コスト)を相殺することができます。
- 収益性の向上: 既存の顧客にアップグレードをすすめたりクロスセルを行ったりすることは、より多くの収益を生み出すための優れた手法です。 また、過去に貴社の製品やサービスを購入したことのある顧客であれば、貴社の製品の良さを知っていて信頼しているので、新規顧客に購入してもらうよりも簡単です。
- 顧客ロイヤルティの向上: 顧客が一度貴社の製品を信頼すると、一般的には貴社の競合他社への関心が低くなります。 さらに、満足度の高い顧客は強力なブランド支持者になることが多く、説得力のある口コミによって無料で貴社への関心を集めてくれます。
営業やマーケティングは重要ですが、顧客維持を優先することによって企業に真の輝きが生まれます。
測定すべき主要な顧客維持の指標と公式
以下の公式によって、顧客維持指標を評価することができます。
顧客維持率
顧客維持率を測定すれば、最も明確に顧客維持について把握できるかもしれません。 顧客維持率によって、特定の期間の中でロイヤルティを保っている顧客の割合が分かります。
まず、1か月、四半期、1年といったように、測定の対象となる期間を指定する必要があります。 次に、期間開始時の顧客数、期間中に獲得した顧客数、期間終了時の顧客数を洗い出してください。 ここまでのすべての情報を、下記の公式に当てはめてください。
顧客維持率=[(期間終了時の顧客数-期間中に新たに獲得した顧客数)÷期間開始時の顧客数]×100
顧客解約率
より間接的に顧客維持を示すものとして、一定期間に失った顧客の割合を表す解約率があります。 カスタマーサービスによる顧客維持に悩んでいる企業であれば、通常は解約率が高くなります。
顧客維持率が低い、または解約率が高いのは悪い兆候である可能性があり、カスタマーエクスペリエンスの何かがうまくいっていないことを示しています。 しかし、慌てる必要はありません。解約率を下げるためにできることがいくつかあります。
顧客解約率=(期間終了時点で失った顧客数÷期間開始時の全顧客数)×100
顧客生涯価値
顧客生涯価値とは、ある顧客との取引期間中にその顧客から期待できる総収益を測定するもので、最もロイヤルティの高い顧客を見つけるのに役立ちます。 顧客がロイヤルティを保つ期間が長いほど、顧客生涯価値は高くなります。
たとえば、50%割引の料金で加入して、その後解約した顧客の生涯価値は低くなるでしょう。 生涯価値が最も高くなる顧客グループを把握できれば、利益を最大化し、お互いにとって良い機会を知ることができます。
顧客生涯価値=平均購入額×年間購入回数×維持率
リピート率
リピート率とは、2回以上の購入を行ったすべての顧客の割合です。 これはeコマース企業にとってポピュラーな顧客維持指標であると同時に、他のビジネスモデルにも適用できます。
リピート率=(リピーター数÷全顧客数)×100
購入頻度率
購入頻度率は、特定の期間の中でどれだけのリピート購入があったかを示すものです。 期間は1週間から数年の範囲で指定できます。 しかし、一般的には季節性などの特定の要因が果たす役割や変動を明確に把握するために、一年に一度のペースで計算するのがベストプラクティスです。
購入頻度率=注文数÷ユニーク顧客数
8つの顧客維持戦略
カスタマーサービスによる顧客維持を改善させるということは、カスタマーエクスペリエンスを向上させるということです。 ここでは、成功につながるCX(カスタマーエクスペリエンス)を創出し、顧客にリピーターになってもらうための戦略を8つご紹介します。
1. オムニチャネルサポートを導入し、顧客にとって都合の良いプラットフォームでリーチ
オムニチャネルサポート、さらにはオムニチャネルカスタマーサービスは、顧客を維持するための有効な手法です。 これで、サポート担当者は顧客に関する背景情報をプラットフォームを越えて閲覧できるようになるため、一人ひとりに合わせた適切なエクスペリエンスを創出できます。
会話型セールスやサポート戦略を実行できることに加えて、顧客にとってもより良いCXを創出します。 オムニチャネルサポートを導入すれば、顧客が選択したプラットフォーム上の担当者とチャットすることによって、より迅速に問い合わせを解決できます。
2. カスタマーサポートの問い合わせに迅速に対応
最初に迅速に返信すると、顧客満足度が高まる可能性があります。 チケットをすぐに解決できない場合でも、顧客にできるだけ早く対応することにメリットがあります。
顧客からの質問を受け付けたことを知らせる短文の簡単な返信で構いません。 または、問い合わせを解決するのにどれくらいの時間がかかるのか予測を提示するとベターです。 担当者が解決に向けて積極的に取り組んでいることが分かれば、顧客はさらに前向きに待つことができるでしょう。対応にかかる時間の予測を前もって決めておくと有効です。
3. 顧客一人ひとりに合わせたサポート
顧客は、何度も同じことを説明する必要があると不満を感じます。そして、疲労の大きい反復的なやり取りによって、顧客が解約する可能性が高まります。
簡単に顧客情報を引き出したり、会話履歴を確認したり、会話を合理化したりできるよう、サポート担当者に必要な機能を備えたカスタマーサポートツールを提供してください。 たとえば、Zendeskのエージェントワークスペースは一人ひとりに合ったエクスペリエンスを提供できるよう、顧客の背景情報を提示します。
4. ロイヤルティの動機付け
ロイヤルティのある顧客に報酬を提供することで、顧客維持率を高められます。 顧客に感謝の気持ちを示すことで、もう一つ貴社に定着する理由が生まれます。
顧客からの信用を得るには、下記のものを実施することをご検討ください。
- ロイヤルティプログラム
割引コード
スペシャルオファー
VIPイベント
早期アクセス特典
ロイヤルティプログラムには、ポイントベースの仕組みから段階的な報酬まで、いくつか種類があります。 このような動機付けによって詳細な顧客データを収集し、より一人ひとりに合ったエクスペリエンスとメッセージを提供できるようになります。
5. 紹介プログラムを提供
紹介プログラムは、顧客維持を促進しながらも顧客獲得を補助するというように2つの目的を果たします。 このような口コミマーケティング戦略は、信頼する人からのおすすめということで既に貴社を信頼している新たな見込み顧客が増えるので効果的です。
また、既存顧客は貴社で購入し、貴社のブランドを支持することでさらなるメリットを享受できることから、既存顧客とも良い関係を築くことができます。 動機付けとしてポピュラーなものを以下に挙げます。
現金
商品の無料提供
ストアクレジット
このような動機付けによってリピート購入を促進することができます。また、ロイヤルカスタマーがソーシャルプルーフを形成することで競争力が増すため、貴社にメリットをもたらします。
6. ポジティブな従業員エクスペリエンスを創出
一般的に、満足度の高い従業員は非常に高いレベルのサポートを提供し、顧客と長期的な関係を築いて顧客維持を改善する傾向があります。 顧客とのつながりを作るよう従業員に動機付けを行うことは、信頼を構築するうえで大きな役割を果たし、たとえ問題が発生しても顧客ロイヤルティを保ちやすくなります。
また、前向きな職場環境作りによって離職率を減らし、従業員エクスペリエンスを向上させることができます。 従業員の在籍期間が長くなるほど知識が増え、顧客が抱えている問題に対してより深く共感できるようになるため、前向きな職場作りには大きなメリットがあります。
7. 顧客からのフィードバックを高頻度で収集
顧客からのフィードバックは、顧客維持率を高め、解約率を下げるための最も重要なものの一つです。 顧客から見た良い点と悪い点を知りたい場合は、本人から直接聞くことができます。
アンケートを実施して、顧客に意見を言ってもらいましょう。 顧客満足度調査は、チケット解決後に「満足ですか?不満ですか?」と尋ねるといったように大幅に簡略化することが可能ですが、次のような具体的な質問をするとさらに効果的です。
弊社の製品を使用された感想を教えてください。
悪かった点とその理由を教えてください。
- 次のチャネルのうち、カスタマーサポートを受ける際に利用したいものはどれですか?
さらに、カスタマーサービスチームのメンバーにもアンケートを実施してフィードバックを集め、顧客満足度調査を補完しましょう。 カスタマーサービスチームは顧客に最も近い存在であり、よく届くクレームや一般的な好みを特定することができます。
8. 強力な顧客コミュニティの構築
ロイヤルカスタマー同士が交流し、エクスペリエンスを共有するためのオンラインコミュニティを作りましょう。 これは顧客が貴社の製品についてより詳しく知るための学びの場として機能し、顧客の考えや抱える問題がダイレクトに届きます。 このようなオンライン空間で顧客と交流することで彼らの懸念に早い段階で対処し、長期的に関わりを持ち続けることができます。
顧客維持にまつわる6つの例と成功理由
顧客維持は成功の鍵を握っています。 しかしこの言葉だけで納得してはいけません。 ここでは、有名企業が顧客維持を優先的に大切にしていることが分かる実際の例をいくつかご紹介します。
1. スムーズなオンラインエクスペリエンスを提供
顧客維持戦略の最も基本的な例の一つとして、顧客の期待に応えることが挙げられます。 現代の顧客は、対面でのエクスペリエンスと同等以上のオンラインエクスペリエンスを求めています。 Zendeskベンチマークのデータによると、実際に65%の顧客が「迅速かつ簡単なオンライン取引が可能な企業から購入したい」と考えています。
Amazonはそういった体験を提供している素晴らしい企業の一つであり、シンプルな取引、Prime会員を対象とした無料の2日間配送、使いやすいUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供しています。
2. 顧客一人ひとりがVIP
ラグジュアリーホテルは、質の高い高級なカスタマーサービスを提供することで名高い存在です。 Four Seasonsはその極めて質の高いサービスとテクノロジーを組み合わせて、すべての顧客に贅沢感を提供しています。
Four Seasons Chatを利用すると、ゲストはWhatsAppなどのチャネルを経由してスタッフにメッセージを送ることができます。このサービスにより、レストランのおすすめや予約、ルームサービスの注文、アライバルやアーリーチェックアウト、プライベートジェットの予約などに関する問い合わせやリクエストをすることができます。
3. 共感を持って顧客と関係を構築
カスタマーサービススキルについて知っておくべきことの一つとして、顧客との関係を持続させるためには共感が鍵になるということが挙げられます。 Zapposは、顧客がサポートチームメンバーと通話したりチャットしたりできるホットラインをコロナ禍に開設しました。話題は最新のNetflixの番組のことなど、どんなことでも構いません。 ホットラインによって、正直で個人的な交流を育むことができました。これで、Zapposは顧客のことを気にかけており、ただの大勢の中の一人として扱ったりしないということを示せました。
4. 先手を打って問題解決
顧客はブランドにニーズを予測してほしい、そして実際に問題が発生する前にそれに気付いて対応してほしいと期待しています。 だからこそ、顧客を維持するうえで先を見越したサービスが非常に重要になります。 Dollar Shave Clubでは、カゴ落ちが発生したり顧客がカスタマーサポートに連絡したりする前にチャットボットがwebサイトの訪問者を温かく迎え入れ、よくある質問に答えています。
5. 顧客が関心を抱いている取り組みを支援
顧客の意識はますます高まっており、職場における多様性と包括性を重要視し、社会的責任を負っている企業から優先的に購入するという顧客も多くいます。 そこでBombasでは、1点購入があるたびにホームレスシェルターやホームレス関連の慈善団体に衣料品を寄付しています。
6. 顧客情報を集約して可視化
Zendeskベンチマークのデータによると、ビジネスリーダーの73%が「ビジネスパフォーマンスとカスタマーサービスには直接的なつながりがある」と答えています。 顧客情報を一か所でまとめて確認できるようにすることで、より豊かで顧客一人ひとりに合ったエクスペリエンスを創出できます。 Polarisは得意客を維持するべく、強力なサポートツールを利用して複数のチャネルで業界屈指のサポートを実現し、サポート担当者の生産性を30~40%向上させています。
よくある質問
Zendeskで顧客維持を強化
企業の良好な評判とロイヤルカスタマーの基盤を構築することは容易ではありません。しかし、努力を重ね、適切なCXパートナーと提携することによって、顧客からの信頼獲得に大幅に近付くでしょう。
Zendeskを導入して、顧客とのつながりを強化しませんか?AIエージェントや自動QA、さらに一つのワークスペースからサポートできるといった一流のカスタマーサービス機能により、人々が絶賛するようなカスタマーエクスペリエンスの創出にさらに近付くことができます。
顧客と有意義なつながりを築くうえでZendeskのカスタマーサポートツールがどのように役立つか、ぜひご確認ください。
