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顧客ロイヤルティの意味、メリット、ロイヤルティ向上のヒント

顧客ロイヤルティとは、顧客がリピートという形で企業の努力に応えてくれることです。この記事では、顧客ロイヤルティを向上させ、ブランドの永続的な成功を実現する方法をご紹介します。

発行日: 2021年12月9日
更新日: 2022年5月17日

世の中には、顧客の心をつかんで離さないブランドが存在するようです。

20キロ圏内にStarbucksがある地区で、Starbucks信者がTully's Coffeeの行列に並ぶことはまずあり得ないでしょう。アスレティックウェアを展開するLululemonの熱烈なファンは、同ブランドを代表するレギンスに定価の3倍の金額を支払ってでも、「Luluライフスタイル」の実践者たろうとします。そして、Appleユーザーの多くは、テキストメッセージの吹き出しが青以外の色で表示されると(つまり、相手がiMessageを使用していないと)、鼻で笑います。

こうしたブランドは顧客ロイヤルティの秘訣を心得ており、カルト的なファンはブランドのためなら高値を支払うことも厭いません。これほどまでの顧客ロイヤルティを達成することは難しいものの、努力するだけの価値はあります。顧客ベースのロイヤルティが高ければ、市場の浮き沈みを乗り越え、今後何年にもわたって成功を収めることができるからです。

「顧客ロイヤルティ」の意味

顧客ロイヤルティとは、顧客がリピートという形で企業の努力に応えてくれることです。ロイヤルティの高い顧客は、常に決まったブランドから購入し、そのブランドを他社との競争で優位に立たせてくれます。

顧客ロイヤルティを高く維持できれば、自社ブランドへの愛着が強い顧客ベースを獲得できます。こうした顧客は、たとえ他社が同じような製品を低価格で販売していても、値段を気にせずにどんな製品も購入してくれます。また、ロイヤルティと満足度の高い顧客はブランドの支持者となり、友人や家族に自社の製品やサービスを勧め、困難な時期もブランドを支えてくれます。

顧客ロイヤルティを実現するためには、顧客が何度でも利用したくなるようなカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります。

顧客ロイヤルティを実現するためには、顧客が何度でも利用したくなるようなカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります。ロイヤルティが特に高い顧客は、総じてブランドとの間に情緒的なつながりを感じています。

ロイヤルティの高い顧客には、基本的に以下の特徴があります。

  • リピート購入をする
  • 競合他社によそ見をしない
  • 複数のチャネルで連絡してくる
  • 製品やサービスの改善につながるフィードバックを提供してくれる
  • ブランドを熱烈に支持し、製品やサービスを他人に勧めてくれる

顧客ロイヤルティが重要な理由

顧客ロイヤルティの向上は、企業が長く存続するために欠かせないことです。ブランドとの間に情緒的なつながりを感じている顧客は、ブランドをより長期的に支持する傾向にあり、顧客生涯価値の向上や収益の拡大に貢献してくれます。

  • ロイヤルティの高い顧客は、お気に入りの企業から購入するためなら多少の無理も厭いません。 競合他社ではなく常に自社ブランドを選んでくれる顧客は、「次の大きなトレンド」の波が来てもブランドを支えてくれます。
  • 顧客の75%は、優れたカスタマーサービスを提供している企業になら、購入額を増やしてもかまわないと回答しています。 つまり、優れたブランドエクスペリエンスを提供して顧客を惹き付けられれば、支出額が後々増えても顧客が離れる可能性は低くなります。したがって、収益を確保し、時間と共に拡大することができます。
  • 一方で、顧客の約半数は、カスタマーサービスで一度でも不快な対応を受けたら他社に乗り換えると回答しています。 満足度の高いカスタマーエクスペリエンスを提供すれば、ロイヤルティは向上しますが、不快な思いをさせてしまうと、その顧客は二度と戻ってきません。
  • 新規顧客を獲得するより顧客を維持する方が、コストの面でもはるかに効率的です。 顧客維持率をわずか5%上げるだけで、利益が25~95%上昇します。

顧客維持率を5%上げるだけで、利益が25~95%上昇します。

リピーター、ともすると何世代にもわたってのリピーターがいるということは、その人たちが自社の製品やサービスに揺るぎない価値を認めていて、自社から総じて質の高いエクスペリエンスが得られているということを表しています。企業にとってこれほど嬉しい評価はありません。

ロイヤルティの高いファンを獲得して維持するためには、顧客の需要や望みをビジネスの中心に据える必要があります。顧客重視の姿勢を貫くことで、顧客の信頼を得て、良好な関係を構築できます。そしてこの2点こそが、ロイヤルティ向上のカギとなります。

顧客ロイヤルティの高い顧客のタイプ

価格の安さ、利便性、企業価値、製品の品質など、顧客が企業を支持する理由はさまざまです。ここでは、ロイヤルティの高い顧客をタイプ別にいくつかご紹介します。

  1. 満足度の高い顧客

    純粋に自社の製品やサービスを気に入り、定期的に購入してくれる顧客です。満足度は高くても、他社が低価格の製品、割引、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供していれば、すぐに乗り換える可能性があります。

  2. 利便性を重視する顧客

    便利だという理由で自社から購入する顧客です。この場合、購入のしやすさ、立地、配送スピードなどが評価されています。このタイプの顧客をつなぎとめるのは利便性の高さであり、そのためなら購入額を増やしてもかまわないと考えています。

  3. ロイヤルティプログラムを気に入っている顧客

    このタイプの顧客は、ブランドというよりもロイヤルティプログラムを支持しており、割引や無料特典を目当てに購入しています。ロイヤルティプログラムに価値を見出している間は、競合他社でなく自社を利用してくれるでしょう。

  4. 低価格を重視する顧客

    他社よりも低価格であるという理由で自社から購入する顧客です。価格が安いままなら購入を続けてくれますが、他にもっと低価格の製品が見つかれば、あっという間に離れていきます。

  5. 真にロイヤルティの高い顧客

    自社の熱烈なファンで、ブランド支持者とも呼ばれる顧客です。製品やサービスを愛用しており、そのことを大声で表明します。真にロイヤルティの高い顧客は、自社のことを友人や家族に話し、自社を選ぶように勧めてくれます。また、購入の頻度も高く、フィードバックも提供してくれ、ロイヤルティプログラムにも参加します。そして何より、他社に流れてしまう可能性がきわめて低いという特徴があります。

顧客ロイヤルティの測定方法

企業は常に顧客ロイヤルティ向上を目標に掲げています。それでも、いざ顧客ロイヤルティ戦略の成果を評価するとなると、ひと筋縄ではいかないと感じる企業も多いはずです。

顧客との関係をどれだけの期間維持できているかで判断する企業もあれば、サービスの中断や事業の伸び悩みといった厳しい時期にも変わらず支えてくれた顧客を評価に入れる企業もあるでしょう。多くの企業は、チャーンレート(解約率)などの指標を使って顧客ロイヤルティを測定しています。

顧客ロイヤルティを総合的に把握するためには、数値と行動の両方の観点から調査する必要があります。

顧客ロイヤルティを総合的に把握するためには、数値と行動の両方の観点から調査する必要があります。

数値に関しては、カスタマーサービスソフトウェアを使用すると、主要な指標をすばやく確認できます。

  • 顧客維持率 : 企業が一定期間内に維持した顧客の割合です。成功を目指す企業は、この指標を注視する必要があります。
  • チャーンレート : 製品の購入やサービスの利用をやめた顧客の割合です。チャーンレートからはロイヤルティが低い顧客を割り出せ、それ以外の顧客はロイヤルティが高いと判断できます。
  • 直近のアカウントのアップグレード : 製品やサービスへの満足度が高く、購入額が増える見込みのある顧客を特定できる指標です。気前よく支出を増やしていて、製品やサービスをいっそう積極的に利用しているようなら、その顧客はロイヤルティが高いと考えられます。

顧客ロイヤルティを把握するためには、指標と同じくらい顧客の行動を追跡することも重要ですが、行動データの方が分析しにくい可能性があります。

  • SNSでの行動 : SNSで自社ブランドに関連するキーワードを定期的に検索して(ソーシャルリスニングソフトウェアを使用するのも手です)、顧客の評価を確認します。自社について常に肯定的な意見を投稿している顧客を探しましょう。
  • 購入パターン : 自社から定期的に購入している顧客を特定します。こうした顧客は本質的にロイヤルティが高く、時間と共に購入額が増えている場合は特にその傾向が強くなります。Amazonプライムの例で考えてみましょう。当初は、Amazonで数回しか購入していなかった顧客も、ロイヤルティが向上すると、有料のプライム会員になります。そうなれば、会費の元を取り、会員特典のお急ぎ便を使い倒そうと、顧客はAmazonをもっと頻繁に利用するはずです。

顧客に関するインサイトを正確に把握するためには、定量的な観点と定性的な観点の両方が必要です。定量調査と定性調査を組み合わせると共に、トレンドを確認すると、顧客ロイヤルティへの理解を深めることができます。

顧客ロイヤルティと顧客維持率を向上させる方法

5 ways to increase customer loyalty and retention

1つはっきりしているのは、ロイヤルティは育成していかなければならないもので、一度獲得すれば後は自然と維持されるという類のものではないということです。

カスタマーエクスペリエンスの分野に秀でた企業によると、個人レベルの人間関係で重視されることの多くが、顧客とブランドの関係にも当てはまります。たとえば、首尾一貫している、聞き上手である、学んだことを行動に活かす、誠実であるといった資質は、いずれの関係でも大切になります。

ロイヤルティ向上のためには、総合的なカスタマーエクスペリエンスに目を向けながら、社内のプロセスと人間の感情的要素を組み合わせる方法が理想的です。

  1. 顧客の負担を減らす

    顧客ロイヤルティを向上させる方法の1つに、顧客の負担を減らすというアプローチがあります。そのためには、わかりやすく利用しやすいカスタマーエクスペリエンスを設計する必要があります。シームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供すれば、顧客がリピーターになる確率が上がります。

    顧客の負担を軽減するためには、カスタマーサービスにオムニチャネルのアプローチを取り入れます。これにより、顧客は、連絡するチャネルやタイミングを気にせずサポートを利用できるようになります。また、問題が発生した場合には、担当者の対応を待たなくてもセルフサービスで簡単に解決することができます。

    こうした「負担の少なさ」の実現を目指すと共に、そのパフォーマンスを顧客努力指標(CES)を用いて確認しましょう。顧客ロイヤルティの測定に関しては、顧客満足度(CSAT)やネットプロモータースコア(NPS)®といった指標よりも、顧客努力指標を用いた方が適切です。これは、Corporate Executive Board(CEB)が実施したカスタマーサービスとロイヤルティに関する調査で明らかになった重要な事実です。

    顧客の維持に重要なのは、顧客のニーズにぴったりの完璧な製品やサービスを開発することではなく、優れたユーザーエクスペリエンスを提供し、簡単に購入できる選択肢を設けることです。使いやすく便利なユーザーエクスペリエンスを目指すことで、顧客のロイヤルティ向上に確実に近づくことができます。

  2. 優れたカスタマーサービスを提供する

    優れたカスタマーサービスを顧客ロイヤルティにつなげている企業は、一様に先を見越すことの大切さを唱えています。先を見越すとは、顧客からの質問を予測し、問題を未然に阻止できるようにサポートすることを指します。優れたカスタマーサービスを提供できれば、顧客は自社のことを、単なる問題の解決者ではなく、戦略的パートナーと見なしてくれるようになります。

    当然のことながら、顧客の期待を上回ろうという努力は、CSATスコアおよび顧客ロイヤルティの高さに直結します。カスタマーサービスチームの訓練が十分なら、目の前にある問題は解決できますが、それに加えて満足度の高いカスタマーエクスペリエンスを提供できるチームは、長期的なパートナーシップを築けます。そのため、新しいサポート担当者を採用する際には、技術的な知識と同様にソフトスキルも重視しましょう。ソフトスキルの例としては、共感力を示す、信頼関係を構築する、プレッシャーがかかる状況でも顧客と情緒的なつながりを築くといった能力が挙げられます。

    問題の解決よりも情緒的なつながりを強化したいのであれば、チームの主要業績評価指標(KPI)の見直しも必要です。たとえば、インテリアブランドのMagnoliaでは、解決済みのチケット件数や解決までの所要時間が最適なKPIであるとは考えていません。と言うのも、同社ではカスタマーサービスの成功の定義として、単に請求や配送に関する問題を解決するよりも、人間味のあるつながりを築き、コミュニティを形成するためのさまざまな活動を重視しているからです。顧客はカスタマーサービスに対し、画一的なサポートだけでなく、一種の「経験」を求め、親身に耳を傾けてくれるサポート担当者に自分の話をじっくり聞いてもらいたいと考えています。

  3. 情緒的なつながりを作り出す

    顧客との間につながりを築く方法はたくさんありますが、まずはブランドに思い入れを持ってもらうことが重要です。高い還元率を誇るリワードプログラムや、SNSのインフルエンサーによるプロモーションも、そもそも顧客とブランドの間に情緒的なつながりがなければ効果はありません。

    感情データを有効活用すると、長期的な関係を築ける見込みの高い有望な顧客を割り出せます。Deloitteの調査から、感情データを賢く使えば、顧客生涯価値を高め、ブランド支持者の獲得につながる可能性があることがわかっています。

    あらゆる人間関係と同じで、顧客に情緒的なつながりを強要することはできません。顧客との間にそうしたつながりを築くための最善策は、事業のあらゆるレベルで顧客のニーズに耳を傾けて顧客の意見を尊重することです。メッセージングなどの新しいチャネルの登場によって、顧客と人間味のあるつながりを築くための選択肢は増えています。顧客の大半は、友人や家族との会話に使用しているメッセージングチャネルで企業ともやり取りしたいと考えています。そのため、WhatsAppやFacebook Messengerなどのチャネルを利用すれば、親近感の沸く1対1のカスタマーサービスを提供し、顧客と情緒的なつながりを築くことができます。

    また、顧客データは倫理的に扱わなければなりません。小遣い稼ぎに売ったりするのは言語道断です。あくまでカスタマーエクスペリエンスをパーソナライズし、顧客をビジネスの中心に据えるために活用することが大切です。顧客重視を最大限まで推し進めたブランドの中には、顧客のニーズを中心にビジネスモデル全体を構築し、顧客との信頼関係を強化しているところもあります。

  4. ロイヤルティプログラムを開始する

    情緒的なつながりを築けたら、次は顧客ロイヤルティプログラムを開始すると顧客維持率の向上が期待できます。ロイヤルティプログラムやリワードプログラムの一環として、たとえば自社と取引を始めてから1年が経つなど、一定の基準を満たした顧客に割引や無料特典を提供すると、さらなる購入を促進することができます。

    たとえば、コスメブランドのSephoraを例に挙げると、同ブランドが提供するBeauty Insiderプログラムでは、購入金額に応じてポイントが付与され、顧客はそのポイントを好きなギフトと交換することができます。ロイヤルティの高い顧客は購入を続けるだけで特典が得られるため、ブランドとの結びつきがさらに強まり、他社では得られない価値を獲得できます。

    ロイヤルティプログラムや紹介プログラムを構築する際には、自社の顧客が魅力を感じるような特典を選びましょう。特典を付与する基準としては、購入金額、購入頻度、紹介人数などが考えられます。顧客が何に魅力を感じるかがわからないなら、直接たずねてみてください。

  5. 「顧客ロイヤルティ」の定義を再検討する

    顧客ロイヤルティの向上をもたらす要素を理解したら、それでおしまいというわけにはいきません。顧客ロイヤルティは、さまざまな変化の影響を受けるため、継続的に取り組んでいかなければならないものです。

    ロイヤルティの高い強固な顧客ベースを獲得できるかは、そうした変化を察知して機敏に対処していけるかどうかにかかっています。これは、顧客ロイヤルティの定義が時代に即さなくなれば、それを捨て去ることも厭わないということでもあります。

    従来、顧客ロイヤルティは、「顧客が長年にわたって常によそ見をせずに1つの企業(航空会社、靴のブランド、自動車メーカーなど)を選ぶ」といったことだと考えられていました。しかし、現代では、顧客が(競合他社も含め)複数のブランドにロイヤルティを示す方が一般的です。

    先見の明のある企業では、こういった顧客の行動も寛容に受け止めます。The Nielsen Companyで小売製品リーダーシップ担当SVPを務めたJulie Currie氏は、2019年、全米小売業協会主催のBig Showで、顧客のディスロイヤルティ(ロイヤルティの低さ)について次のように概説しています。

    「ディスロイヤルティにあふれた時代に、顧客を惹き付けられるのは利他の心を持つ小売業者です。企業は、既存の顧客かどうかに関係なく、個々の消費者のニーズを満たすために全力を尽くす必要があります」

    もう1つ考慮すべきなのが、ロイヤルティは企業と顧客の間の互恵的関係であるという点です。企業はどんなときも変わらず贔屓にしてくれるリピーターを求めますが、必ずしも顧客の恩に報いることができていません。いくらでも選択肢がある中で、顧客の購入先候補に残るためには、企業の側から顧客にロイヤルティを示す必要があります。たとえば、顧客の視点に立った意思決定を行うために個人データを慎重に活用する、顧客ごとにマーケティングをパーソナライズする、好みに合わせてサポートチャネルを選べるようにする、顧客の時間を尊重するといったことが求められます。

顧客ロイヤルティ向上のカギは顧客を徹底調査すること

ビジネスの長期的な安定と成功のために、ロイヤルティの高い顧客ベースの獲得が重要であることは明らかです。高いロイヤルティを獲得するためには、継続的な調査が不可欠です。熱烈なファンを持つ企業は、顧客のことを理解し、情緒的なつながりを築くことを心がけています。他の人間関係と同じく、これには時間がかかりますが、顧客の信頼を得てロイヤルティを獲得するために、今すぐできることがあります。

顧客の行動に関する最新の統計情報を確認し、顧客に定期的なフィードバックを依頼することで、顧客の心の内を理解することができます。それを踏まえて、カスタマーエクスペリエンスを見直し、改善できる点を洗い出しましょう。また、カスタマーサービスソフトウェアに投資すると、顧客とその購入パターンに関する有益なインサイトを得ることができます。今すぐ利用を開始しましょう。顧客調査のメリットをすぐに実感できるはずです。