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顧客ロイヤルティ向上に効果的な6つのカスタマーリテンション戦略

顧客と良い関係を築き、なるべく長く利用してもらうために取るべきカスタマーリテンション戦略とは?

更新日: 2024年2月22日

多くの企業では「カスタマーリテンション(顧客維持)」が単なる指標になっており、大事なことが見落とされています。それは「顧客そのもの」です。

確かに顧客維持率の向上は業績に良い影響を与えます。実際、Bain&Companyが行った調査では、顧客維持率を5%向上するだけで利益が最大95%増加することがわかりました。しかし突き詰めればカスタマーリテンションとは、顧客に「自分は大切にされている」と感じ続け続けてもらえる関係を築くこと。つまり大切なのは、顧客を売上やコンバージョン、問い合わせ数などの「数値」として見るのではなく、「人」として扱うことなのです。

良いときも悪いときも長い目で顧客と良い関係を育むには、顧客離れを抑えてロイヤルティを築くためのスキルと戦略が欠かせません。それでは、詳しく見ていきましょう。

カスタマーリテンション戦略

カスタマーリテンションに必要なスキルとは?

カスタマーリテンションは特定の部門だけが考えるものではありません。満足度の高い顧客体験を生み出すには、社内の全チームにそれぞれの専門性を活かしてもらうことが大切です。例えば、カスタマーサービスチームの「顧客の感情をつかむ力」や、営業チームの「関係を築く力」、マーケティングチームの「ピンチにすばやく対応する力」など、各チームはそれぞれ独自の味わいを「顧客体験レシピ」に加えることができます。それら材料(つまりスキル)をビジネス全体という大きな鍋のなかで混ぜ合わせることで、すばらしい顧客体験が生まれ、結果的に顧客維持率の向上につながるのです。

私たちが考えるカスタマーリテンションに重要なポイントは次の3つです。

高い顧客ロイヤルティを誇る企業に学ぶ6つのカスタマーリテンション戦略

企業の戦略では、たいてい事業成長と新規顧客獲得に重点が置かれています。しかし、新規顧客獲得のみに投資して既存顧客の優先度を下げることは、顧客ロイヤルティの構築がおろそかになるうえに費用対効果の面でもおすすめしません。 というのは、新規顧客獲得には既存顧客維持よりも5〜25倍のコストがかかるからです。

カスタマーリテンション施策は散発的に行うものではありません。きちんとした戦略に則って、顧客中心主義、透明性、共感のスキルを活用しながら進める必要があります。

「カスタマーリテンション戦略とは顧客離れを抑え、できるだけ多くの既存顧客を維持するためのプログラムまたは活動です」Teresa Anania, VP of Global Customer Success and Renewals, Zendesk

ではここで、 顧客維持率を高めるのに有効な6つの戦略事例をご紹介しましょう。

  1. 1. 「顧客の声を聞く(VoC)」プログラム


    「話を聞いてもらえない」と感じると顧客は離れてしまいます。VoCプログラムとは、顧客をブランド戦略に積極的に巻き込み、フィードバックが得られる仕組みを作るための取り組みです。さらに、 カスタマーサービスの分析顧客満足度調査から得られたインサイトを活用して顧客からのフィードバックを深く理解し、ビジネス全体に展開することもできます。これについてLeeは「VoCプログラムは重要な顧客維持戦略です。顧客がビジネスに参加する機会を提供するのですから」と評価します。
    例えば、動画プラットフォームのVimeoでは、新製品のローンチ前にカスタマーサポートチームが必ずデザインを確認し、顧客が不満に感じそうな点を指摘し、機能について顧客の要望を伝えています。さらにローンチ後は、顧客が新しい機能や製品について抱えている不満や課題を集め、その反応を社内に共有しています。customer retention strategies

    2. ナレッジとコミュニティで信頼を築く


    Zendeskのカスタマーエクスペリエンスレポート2020年版によると、顧客は自分で課題を解決したいと考える傾向にあることがわかりました。しかし、こうした顧客が、自分自身で問題を解決するために持っている「セルフサービス」への期待を満たせている企業は全体の3分の1にとどまります。
    セルフサービスを実現して顧客の信頼を得る方法としてはナレッジベースがおすすめです。問題の解決に役立つ情報を1か所に集めておけば、顧客が問題にぶつかるたびにそこに行けばいいからです。また、1対1のサポートができるコミュニティフォーラムを設けておくと、コミュニティを通したブランドに対するロイヤルティ醸成に効果的です。
    WebデザインプラットフォームのCanvaは、自社のナレッジベースのコンテンツをカスタマージャーニーに合わせて定期的に更新しています。例えば、新規ユーザー向けには、サービスを使い始める際のポイントが書かれた記事を用意しています。

    3. 人間同士のつながりを作る


    Deloitteの調査によると、「感情的なつながり」が顧客ロイヤルティを加速させること、そしてその効果は会員特典による割引のインセンティブよりも大きいことがわかりました。「コーヒーを5杯飲むと1杯無料」のような会員特典ではなく、本物の人間同士の関係を築くことが求められているのです。
    製品を越えて顧客と企業が人間同士のつながりを作ることは、顧客維持のために欠かせません。顧客維持を成功させるためには、顧客と取引関係ではなく信頼関係を築くことが必要なのです」とLeeは言います。
    営業やサポート担当者は顧客と直接話す現場にいるため、顧客との人間的なつながりを築くうえで大事な役割を担っています。例えば、自然食品を手頃な価格で提供するThrive Marketでは、食品の産地を重視する顧客が多いため、担当者を教育して自然食品についての知識を十分備えた状態で接客しています。カスタマーサービスチームは顧客がこだわるものをしっかり提供することで、より人間的なレベルで顧客とつながることができるのです。
    化粧品のサブスクリプション・販売を行うBirchboxでは、サービス改善プログラムとして、初期対応レビューで不満を感じたと回答した顧客にスタッフが個別にフォローアップしています。また靴小売り業のZapposでは、商品の返品理由が「その靴を履く人が亡くなったため」だと知ると、その顧客に花を贈るという取り組みを行っています。

    4. AIを活用して先回りして対応する


    「先回り」もまた、重要な顧客維持戦略の1つです。顧客体験を基に戦略を立てている企業は89%にも上っており、もはや顧客ニーズに対応するだけでは十分に差別化できません。今や顧客の期待はかつてないほど高まっています。自分が求める前に必要なものが提供されることを期待しているのです。
    そこでテクノロジーの出番です。実際、顧客の48%の顧客がテクノロジーを使って顧客とつながり、やり取りするブランドに対してロイヤルティを持つことがわかっています。
    例えば、モバイルネットワークのUltra Mobileではチャットボットを活用してWebサイトを見ている顧客の情報を集め、顧客がサイトから離れる前にそれぞれに合った担当者につないでいます。またソーシャルメディアのPinterestでは、カスタマーサポートを受けた顧客がアンケートに答える前にAIが会話を分析して顧客満足度を予測しています。Customer Retention Strategies

    5. 顧客が選んだチャネルですばやくやり取りする


    Zendeskの調査によると、顧客ロイヤルティを高めるには顧客の選んだチャネルですばやくやり取りすることが効果的だとわかりました。満足度の高い顧客体験とは、顧客にとって手間のかからないものです。さらに、今や顧客はモバイルアプリ、ソーシャルメディアからでも、LINEのようなメッセージアプリからでも企業とやり取りできることをますます期待しています。
    チャネルを横断して顧客が期待し、満足する体験を提供するには、担当者が全チャネルでの会話の内容や履歴を把握できるようなシステムが必要です。もし顧客が3つの部門に対してそれぞれ同じことを繰り返さなければならないとしたら、その人がリピーターとして定着する可能性は低いでしょう。
    民泊サイトのAirbnbは、顧客が世界中のどこにいてもやり取りできるように、電話、メール、ソーシャルメディア、ショートメール、メッセージアプリなどあらゆるチャネルでサポートを提供しています。満足度の高い顧客体験の裏にあるのは、最先端のカスタマーサポートシステムです。これによってすべてのチャネルで顧客情報や顧客とのやり取りが共有できます。顧客がどのチャネルで連絡してきても、問題の緊急度やAirbnbでのサービス利用履歴、あるいはその顧客が旅行中なのか前なのかなど、担当者は顧客をしっかりサポートできるだけの情報がすぐに手に入るのです。

    6. データに基づいて顧客体験をパーソナライズ

    80%の顧客は、パーソナライズされた顧客体験が得られるブランドを選びます。


    ただし、実際にパーソナライズするには、部門の垣根を越えてカスタマージャーニー全体のデータをつなげる必要があります。つまりカスタマーサポートシステムから、マーケティングオートメーションシステム、注文管理ツールまで、さまざまなデータソースから顧客データを組み合わせるということです。こうして顧客データが統合されたエコシステムができれば、最近問題が解決した顧客に対してパーソナライズしたプロモーションを送信したり、1人の顧客に2つの部門から同じプロモーションを送ることを避けたりと、できることが広がります。
    「パーソナライゼーション、つまり適切なメッセージを適切なタイミングで送ることもまた、カスタマーリテンション戦略として重要です。例えば、顧客全員に同じメールを一斉配信するのではなく、顧客それぞれのカスタマージャーニーにおける位置に合わせてメール内容を最適化するのです」と、Leeは説明します。例えば料理デリバリーのFreshlyでは顧客再獲得戦略として、定期宅配を止めた顧客に対して、キャンセル理由に合わせたメッセージを送ることで再開をすすめています。

    まとめ


    顧客維持率の向上は、より良い関係づくりから始まります。 そのためにはまず顧客を数字で見るのではなく人として扱うこと。そうすれば顧客により深いつながりを感じてもらえるようになるでしょう。

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