顧客ロイヤルティとカスタマーリテンション(顧客維持)の違い
- カスタマーリテンションとは、商品を買ってくれる顧客はいても、ブランドに強いこだわりを感じている顧客ではないため、他のブランドに乗り換える可能性がある状態です。
- 顧客ロイヤルティとは、顧客がその会社を気に入っていて、他のブランドではなく必ずそのブランドを選ぶファンになっている状態です。
別の言い方をすれば、ロイヤルティの高い顧客を持つ企業はカスタマーリテンションが実現できていることになりますが、カスタマーリテンションが実現できていても必ずしもロイヤルティが高いとは言えません。
カスタマーリテンションは、顧客が前回たまたまその商品を買ってくれた場合や、品揃えに限りがある小売店などでその商品しか置いていなかった場合にも達成できます。これに対して、ロイヤルティはもう少し努力しなければ獲得できません。ですが、これがうまくできれば、顧客がリピーターになって、高い評価を口コミで拡散してくれるようになります。
「顧客が複数の部署を回って、正しい回答を得るために何度も同じ質問をしたり、適切なソリューションを得るために複数のチャネルを使用しなければいけないのであれば、顧客の負担が大きすぎます」86%の人はリピートしたいお気に入りのブランドを選ぶ時に、信頼性を重視すると答えています
ロイヤルティプログラムのような戦術はロイヤルティを高める助けにはなります。ですが、何年にも渡るブランドロイヤルティを築くことが目的であれば、特典を設けるだけでは十分ではありません。顧客との間に本物のつながりを築き上げて、顧客の信頼をつかむ必要があります。その方法をご紹介します。
顧客ロイヤルティとカスタマーリテンションを高める方法
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスの経済学者トニー・ホークリー氏の協力を得て作成した弊社のeBookには、消費者にとって、企業との関係は友人関係と似たようなものであると記されています。企業が誠意・敬意・思いやりの心を持って、楽しめる経験を提供していれば、消費者は「友情」を感じて報いてくれるものなのです。
では、どうすれば顧客の役に立ってロイヤルティを勝ち取ることができるのでしょうか?具体的なポイントを見ていきましょう。
常に誠意と良心を忘れない
私たちが友人に誠実な態度を求めるように、顧客は企業に誠意を求めています。2017年のある調査によれば、86%の人はリピートしたいお気に入りのブランドを選ぶ時に、信頼性を重視すると答えています。つまり、顧客に必要とされる情報を提供すること、販売する商品を偽りなく表現すること、そして間違いを犯した時はどんなにひどい失敗であっても非を認めることが求められているのです。
顧客の時間を尊重する
Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート 2020年版にまとめられた結果によると、60%以上の顧客は満足できるカスタマーサービスにとって重要な点として、「迅速な対応」を選んでいます。顧客がどの問い合わせ方法を選んでも、スピーディにサポートできるよう、必要なツールを揃えておくことが肝要です。例えば、LINEやFacebook Messangerなどのメッセージアプリで返信できる体制を整えておけば、競合他社との差別化につながるかもしれません。
共感を示す
自らの意見を尊重されていないと感じさせてしまうと、顧客は離れていきやすいものです。消費者からフィードバックが届いたら、まずは耳を傾けて、その体験に共感を示しましょう。改善に取り組むのはそれからです。満足度調査やフォーカスグループといった手法を用いて実態をより深く見抜くようにすれば、顧客ニーズをしっかりと理解しそのニーズに応える方法を見出すことができます。
遊び心をもつ
商品にシールのおまけをつける、読めば笑顔になるような短いソーシャルメディア投稿を行う、お客様コミュニティーを作るなど、できることは色々あります。例えば、スターバックスはパンプキン・スパイス・ラテのファンを集めたFacebookグループを作って、ファンの熱い想いを心置きなく表現できる場にしています。顧客は商品やサービスを求めてやってきます。ですが、顧客がロイヤルティを感じるのは、そこにあるコミュニティに参加するのが楽しいからなのです。
ひとたび信頼を得られたら、顧客にとって特別な経験にすることでロイヤルティを高めていきます。顧客ロイヤルティを築くうえで役立つヒントはこれ以外にもあります。こちらもぜひご覧ください。
顧客ロイヤルティとカスタマーリテンションの測定方法
顧客ロイヤルティとカスタマーリテンションという観点でブランドの位置づけを評価する際に役立つ指標がいくつかあります。そのうち、広く認められている指標をご紹介します。
- リテンションレート(顧客維持率)
リテンションレートは、ある期間にわたって維持することのできた顧客の割合を示しています。維持率が高いということは正しい活動ができていると考えることができます。高いリテンションレートを達成できたら、ロイヤルティを高めるための取り組みに焦点を合わせていきます。
- カスタマーチャーンレート(解約率)
それに対して、カスタマーチャーンレートはある期間にわたって失われた顧客の割合を示しています。顧客離れは避けられないこととはいえ、この指標はブランドの健全性を示す指標、潜在的な問題の警告として利用できるので、追跡しておくことが重要です。
- 顧客満足度(CSAT)
顧客満足度とは、顧客に「今日の体験にどれくらい満足していますか?」という簡単な質問をすることで得られる指標です。簡単に言うと、顧客満足度はこの質問に対して「満足している」と答えた顧客の割合です。
- NPS(Net Promoter Score℠、ネット・プロモーター・スコア)
NPSは、顧客に「その商品を家族や知り合いにどれくらい勧めたいと思いますか?」と質問して、10段階で答えてもらう評価です。その評価に応じて、顧客を推奨者(Promoter)・中立者(Passive)・批判者(Detractor)の3種類に分類します。
顧客ロイヤルティを決めるのはカスタマーエクスペリエンス
顧客ロイヤルティは、単にお買い得か、あるいは顧客が価値を感じる商品かという点だけで決まるわけではありません。顧客との関係は、マーケティング・販売・カスタマーサポートをはじめ、顧客が企業と接した時にどんな体験をしたかで決まります。たとえ世界で最も優れた商品を扱っていたとしても、販売プロセスで冷たい対応をしたり、カスタマーサポート」が一貫していなかったりすると、顧客の信頼を失いかねません。それまで多大な労力を投入して築き上げてきた関係が損なわれてしまいます。
「顧客の期待値を上回る」ことが実践できればロイヤルティの高い顧客の獲得につながります。Zendesk Support Suiteの無料トライアルで、ぜひZendeskが顧客ロイヤルティの向上にどのように貢献するかをお確かめください。