従業員満足度とは?向上させる10の方法

すべての企業が従業員の満足度を目標に掲げています。 しかし、どうすれば満足度を促進・維持できているかどうか確認できるのでしょうか? こちらでは従業員にとって本当に重要なことをご紹介します。

著者: Peter Alig

更新日: 2023年9月7日

ピュー研究所によると、2021年11月に米国では過去20年間で最も高い離職率を記録しました。主な理由としては、低賃金、昇進するチャンスの少なさ、職場で見下されているように感じるといったことが挙げられます。

しかしながら、実際にはさまざまな要因が従業員満足度(またはその欠如)に寄与しています。幸せな労働者を生み出すためには、経営陣がチームメンバーと話してその人ならではの従業員エクスペリエンスを把握し、改善点を特定する必要があります。

そしてもちろん、従業員満足度の基本も理解しなければなりません。

従業員満足度とは?

従業員満足度とはチームメンバーが職務や組織に対して感じる満足レベルのことです。「仕事の満足度」や「職場の満足度」も同様の意味です。

従業員満足度と従業員エンゲージメントの違いは?

従業員満足度とは、社員がどの程度仕事に満足しているのか示すものです。一方従業員エンゲージメントとは、仕事に対する興味の度合いについて言及するものです。

従業員エンゲージメントとは従業員満足度の表れであるものの、満足している従業員が必ずしも仕事に熱中しているとは限りません。満足している従業員は、機嫌良く出勤して必要最低限の仕事をしたら退勤しているかもしれません。熱心な従業員は非常に自発的なので、期待以上の働きをしたいと思うものです。

従業員満足度が重要である理由とは?

従業員満足度を向上させる方法が分かれば、成功する職場を作ることができます。チームメンバーが仕事を楽しめば仕事がはかどり、職場に定着しやすくなります。従業員が幸せということは、顧客も幸せということがよくあります。

2021年11月、米国では過去20年間で最も高い離職率を記録。

  • 従業員の定着

    満足している従業員は長く在籍するものです。12年間に及ぶ従業員満足度調査を経て、iOpener Instituteは最も幸せな労働者は最も幸せでない同僚よりも2倍長く職場に在籍すると結論付けました。

    従業員の入れ替えには巨額の事業費が必要です。米国中小企業庁は、1人の従業員を入れ替えるのに必要な費用は給与の約1.25倍から1.4倍と試算しています。

    労働者は組織に対して在籍する理由を求めるものです。しかし半分以上の労働者は、雇用主は労働者に定着してもらうことを十分に気にかけていないと述べています。Gallupによると、既存の従業員の52%がマネージャーや組織が従業員満足度に重点的に取り組んだことによって、離職しようという決断が回避された可能性があると述べているということです。

  • 顧客満足度

    幸せな従業員は明るく熱意を持って顧客と対話します。こういった姿勢によって顧客は安心するため、ブランドとの関係構築を促すことができます。

    ポジティブなカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)は利益を生み出します。IDC調査によると、ビジネスリーダーの85%が「従業員エクスペリエンスが向上し、従業員エンゲージメントが上がると、カスタマーエクスペリエンスの改善、顧客満足度の向上、組織の収益アップにつながる」と回答しています。

従業員満足度を向上させるベストプラクティス10選

従業員満足度を向上させるベストプラクティス、メモに記入

労働者の満足度が高い企業が重点を置いているのは、日々の業務をより楽しくすることだけではありません。従業員の目標や願望の把握にも注力しているのです。

1. 従業員に意思決定に参加してもらう

労働者の日々のルーティンや業務に影響を与える方針を実行する前に、意思決定プロセスに参加してもらうことで発言権を与えましょう。ハーバードビジネススクールによると、そうすること会社は社員のことを信用しており、意見を大事にしていることを示すことができます。これは従業員エンゲージメントを構築する上でのキーポイントです。

部門リーダーはチームメンバーを集めて戦略会議を開くこともできます。月もしくは四半期の目標を提示し、どうすればそれを達成できるか従業員に話し合ってもらいましょう。週に一度もしくは月に一度チェックインミーティングをスケジュールに入れて、目標に対する進捗状況を把握してください。

2. キャリア開発ロードマップを作成する

従業員が現在のポジションからより上級職に昇進するにはどうすればよいか理解していれば、目的意識を感じ、満足度も向上します。

Robert Walters Groupによる最近の調査では、ミレニアル世代の69%がキャリアアップによって職場に対する熱意を維持できると述べています。

例としてコールセンターを挙げます。この場合、コールセンターのシニアレベルの担当者、スーパーバイザー、マネージャーに期待されるコンピテンシー、アウトプット、給与レンジ、評価を一覧にしたドキュメントを作成してください。また、新たな担当者に対してシニアスタッフからメンターを割り当てて、役割に特有の質問に答えられるようにしてください。

3. 継続的な学習機会をサポートする

ロードマップは満足度を向上させることができます。しかし、その道のりを進むために必要なツールが無ければ満足度は冷めてしまいます。

多くのビジネスマンにとって、昇進するために教育は非常に重要です。若いビジネスマンにとっては特に言えることです。Statistaによると、Z世代の47%は職場での学習は新たなチャンスにつながる可能性があると考えているとのことです。

学習機会の質に関しては、従業員と一緒に確認して必ず評価してください。社員が現在取り組んでいる研修を終えたら、体験を評価できる簡易な満足度アンケートをその都度送りましょう。チームでチェックインミーティングを実施する際、新たに提供されている他の研修も見てみたいか確認することもおすすめです。

4. 定期的にフィードバックを行う

従業員は、マネージャーからのインプットを聞くために年次評価まで待ちたくないものです。Gallupのデータが、従業員がこの1週間で「有意義なフィードバック」を受けたと「強く思っている」場合、フィードバックを受けなかった同僚と比べて「積極的に関与している」と感じる傾向が約4倍強くなることを示しています。

企業の経営層の方々は、各マネージャーに直属の部下との30分間のミーティングを週に一度スケジュールに入れるよう依頼してください。こういったミーティングはマネージャーにとってチームメンバーと強みや成長領域について話し合う機会となり、従業員は改善策を練ることができます。

5. 他社に負けない給与と手当を提示する

Payscaleの調査によると、人材を引きつけ維持するための待遇全体に関して、企業の53%しかその効果に自信があると述べていないとのことです。

さまざまな職務の全国給与調査を調べるなど、その賃金率になった背景に透明性を持つことが自信を得る方法の一つに挙げられます。もし福利厚生が豊富という理由で相場以下の賃金率を提示しているのであれば、内定者や現在の従業員に対してはっきりと伝えてください。

6. 職場文化を定義する

満足している従業員は仕事をうまく進める方法を把握していますが、おそらく自身の仕事が重要である理由も知っています。企業文化やビジョンが共有されていれば、従業員は日々の業務に意味を見出すことができます。

Gallupによると、「組織の任務または目的のおかげで仕事を重要なものだと感じられると強く思っているのは、米国の従業員の10人に4人しかいない」とのことです。

職場が掲げている大義をどんなものでも文書化し、顧客に対応する中でそれを守るにはどうすればよいか従業員に伝えてください。

7. 従業員の節目を祝う

トップパフォーマーを常に把握しなければならない一方で、チーム全体やチームの懸命な努力に対する感謝の気持ちを伝える方法を押さえなければなりません。ハーバードビジネスレビューは、「表彰とは選ばれたごく一部の人を対象にした、エリート社員のための機会と捉えられることがあり、人材の大部分が『取り残された』『考慮に入れられていない』と感じているのを見捨てている」と指摘しています。

全従業員の誕生日や勤続記念日などの節目を祝って、大切にされていると感じてもらいましょう。お祝いはチームランチやクッキーといったシンプルなもので構いません。

8. 親睦会の機会を提供する

従業員がお互いについて知る時間を確保してください。チームのつながりは職場全員の幸せな気持ちを高めます。Wildgooseが実施した「2021年 職場の友情関係および幸福感の調査」によると、従業員の57%が職場に親友がいると仕事がもっと楽しくなると述べており、22%はより生産性が上がると主張しています。

チームビルディングを目的とした合宿を年に2回スケジュールに入れてみてください。こういった合宿はチームワークを育むだけでなく、従業員に親睦会の場を提供することができます。

9. ワークライフバランスを促進する

ワークライフバランスを欠いた従業員はストレスを職場に持ち込む傾向があり、そのせいで仕事の満足度が下がってしまいます。IBM Institute for Business Valueの研究により、従業員の51%がワークライフバランスがエンゲージメントのための最も重要な組織属性であると考えているということがわかりました。

ワークライフバランスには在宅勤務ができることから育児休暇方針まで、あらゆるものが含まれます。従業員への聞き取り調査に着手してワークライフバランスがどのように捉えられているのか把握し、企業文化や事業目標に沿った新たな取り組みを実施してください。

たとえば無制限有給休暇が最も多い回答だとしても、それは実施不可能です。有給休暇の1週間追加、もしくは決められた期間在職したら与えられる短いサバティカル休暇を提案して、妥協案を検討してください。

10. 柔軟な勤務スケジュールを設定する

パンデミック以降、労働者はますます希望のスケジュールについてはっきりと意見を述べるようになりました。最近のMcKinseyの調査により、従業員の52%がハイブリッドワークとリモートワークの両方を含む、より柔軟な勤務方式を好むことが明らかになりました。

各チームメンバーが同じ知識を活用することができ、正確な労働時間にかかわらず同じ待遇を受けられると体感できるのであれば、柔軟なスケジューリングは満足度につながります。生産性とコミュニケーションの基準は必ず全職務で同一にしてください。

従業員の仕事に対する満足度を調査・測定するには?

従業員の仕事に対する満足度の調査ツール

最大限正確に従業員満足度レベルを把握するためには、複数の測定方法を活用してください。

  • 従業員満足度アンケート

    従業員満足度アンケートを活用して、社員が職場で勤務するにあたって気に入っていることや気に入らないことを把握してください。定量的質問と定性的質問を混合したものを使用してください。こうすることで調査票に記入しやすくなる一方で、人事部門にとっても有益なものとなります。

    定量的質問には「職場で受けるフィードバックにどの程度満足していますか?」と質問したり、満足度を1(非常に不満)から5(非常に満足)のスケールでランク付けするよう促すものがあります。すべての調査票が提出されたら、肯定的な回答(4から5の回答)の合計を収集した全回答数で割ってください。そして、結果に100を掛けてください。パーセンテージは満足している従業員を意味します。時間をかけてスコアを比較し、満足度が向上しているか確認してください。

    また、「フィードバック制度に関して、一番気に入っている点(および気に入らない点)は何ですか?」といった定性的質問をしてください。こういった質問をすることで、回答者は評価について詳細に説明し、何を改善する必要があるのか正確に伝えることができます。

  • 従業員ネットプロモータースコア® (eNPS®)

    従業員ネットプロモータースコア®とは、単一質問をするシンプルなメトリックのことです。たとえば、「仕事を探している人にこの会社を勧める可能性はどれぐらいですか?」といった質問をします。回答者は1(極めて可能性が低い)から5(極めて可能性が高い)のスケールで回答します。

    eNPS®では、労働者が組織にどの程度忠実なのか正確に測定することができ、仕事の満足度に対する指標となります。

    eNPS®を計算するには、回答を推奨者(4もしくは5をつけた回答者)、中立者(3をつけた回答者)、批判者(2もしくは1をつけた回答者)の3つのグループに分け、下記の計算式を利用してください。

    eNPS® = (推奨者数 / 回答者数) – (批判者数 / 回答者数)

    -100から100の間で答えが出ます。0よりも高いスコアは、全体の意見が肯定的だということになります。Nailtedの調査によると、テクノロジー企業であればeNPS®の平均スコアは35とのことです。

職場の満足度とは、従業員のウェルビーイングのことだけではない

Campbell Soupの元CEOであるDoug Conantの有名な言葉に、「市場で勝ちたければ、まず職場で勝たなければならない」というものがあります。職場で勝つとは、顧客を喜ばせることができ、最終利益の改善に貢献してくれる、満足している熱心な従業員を生み出すということです。

従業員満足度を高め、測定するには、Zendeskのようなソフトウェアを導入することをお勧めします。このツールを使用すれば、ITワークフローと人事ワークフローの自動化、チームの専門知識活用、感情の動向の注意深い観察ができるようになります。

適切な職場の取り組みが組み合わされば、適切なツールによって従業員エクスペリエンスを強化できるようになります。そして、その過程で従業員満足度を向上させられるのです。

ネットプロモーター、ネットプロモータースコア®、NPS®はNICE Satmetrix, Inc.、Bain & Company, Inc.、Fred Reichheldの商標です。