メインコンテンツへスキップ

記事

従業員体験がカスタマーサービスチームに与える影響

カスタマーエクスペリエンスを重視するあまり、サポート担当者のニーズを見過ごしてしまっている企業は少なくありません。

更新日: 2023年9月7日

 

   

     

企業は長きにわたり、カスタマーエクスペリエンスを重視してきました。中には、「カスタマーオブセッション(顧客を最優先する考え方)」を謳う企業もあります。このバズワードはさておき、要するに、企業各社はあらゆるビジネス活動の中心に顧客を据えています。営業からマーケティング、カスタマーサービスに至るまで、カスタマージャーニーの各段階で顧客に満足してもらうことを目指しています。

一方、顧客のニーズに重きを置きすぎるあまり、サポート担当者のニーズは何かと見過ごされがちです。実際のところ、この2つは想像以上に密接に関連しています。従業員の満足度が上がるほど、業務の生産性は向上し、適切な業務ツールを使用すれば、カスタマーエクスペリエンスの改善にもつながります。

ここでは、従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス、Employee Experience、EX)への投資がサポートチームにとってプラスに働く理由をご紹介します。

従業員体験とは

カスタマーエクスペリエンスと考え方は同じで、英語のEmployee Experience(EX)を日本語に訳したものです。従業員体験とは、業務で使用するツールやワークフローから、従業員の健康と幸福を優先する施策まで、従業員と企業とのありとあらゆる接点を指します。従業員エクスペリエンスとも言われます。
簡単にまとめると、こうした要素は次の点に影響します。

  • 担当者がどれだけスムーズにチケットを処理できるか
  • 担当者がどれだけ質の高いカスタマーサービスを提供できるか
  • 担当者が「サポートチームの一員として日々の業務で大切にされている」とどれくらい感じているか

従業員体験が重要である理由

皆さんが最近利用したカスタマーサービスを振り返ってみてください。担当者は心優しく親しみやすかったでしょうか? ただひたすらにその日一日のタスクをこなしているだけといった印象を受けませんでしたか? また、簡潔でストレスのないやり取りはできましたか? あるいは、必要な情報を得るまでにいくつもの手順を踏まなければならなかったでしょうか? 従業員体験の質の良し悪しが顧客にたちまち影響を及ぼすであろうことは、容易に察しがつきます。

従業員体験の質が低いと、業務パフォーマンスの低下や、下手をすると離職率の上昇につながりかねません。離職率が上昇すると、サポートチームのナレッジベースは蓄積されず、結果的に顧客に優れたサービスを提供できなくなります。したがって、顧客を支援するには、まず自社の従業員への支援に取り組む必要があることは明らかです。

新たな課題が立ちはだかる中でも、従業員体験を優先するには

昨年以降、サポート業務の在り方は様変わりしました。従業員体験を改善したいと考えている企業は、その変化によって生じた影響と課題をまず理解する必要があります。

この1年で、顧客からの問い合わせ件数が過去最高を記録しただけでなく、サポートチームは長時間勤務、新しいテクノロジー、リモートワークでの孤独感といったさまざまな変化に適応してきました。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」では、サポート担当者の70%が強い疲労を感じていると回答していますが、無理もありません。

   

 

サポートチームに影響を与えている主な変化

  • 顧客からの問い合わせが世界全体で前年比30%上昇
  • サポートチームの50%がフルリモートワークに移行
  • 企業の36%がやむなくサポート担当者を解雇

 

   

     

このような業務環境の変化によって、精神面でも技術面でも新しい課題が浮かび上がってきています。企業は、リモートワークがもたらす困難を乗り越えながら、変わりゆく顧客の期待や需要に適応しなければなりません。たとえば、新しいチャネルへの人員配置、新しいシステムの習得、家庭の用事との両立、在宅勤務でのシステム環境の整備などの問題に対処する必要があります。

サポートチームは、担当者どうしで協力し知識を共有しながら成長していくものですが、リモートワークに移行したことで、多くのチームが連携体制を維持するために必要なスキルやプロセスを新たに習得しなければなりませんでした。ただ、それができたのは一部の恵まれたチームのみです。

リモートワークをスムーズに進めるためのツールを支給されているサポート担当者は、全体の54%にすぎず、残りの約半数は、適切なツールを利用できないまま、増大し続ける顧客のニーズに何とか対応している状態です。

サポート業務に起こった主な変化(担当者による回答)

  • 顧客の期待が変化した(41%)
  • 問い合わせの内容が変化した(31%)
  • 勤務時間が長くなった(28%)
  • 経営陣の期待が変化した(26%)
  • これまで担当していなかったチャネルにも対応するようになった(16%)

 

   

     

従業員体験を向上する3つの方法

従業員体験とカスタマーエクスペリエンスは密接に関連しているため、従業員への投資は、長期的には顧客に投資することにつながります。では、何から始めればよいのでしょうか。Zendeskによる世界規模の最新調査では、サポート担当者の55%が、パフォーマンスを発揮するために最も重要なのは、手厚い支援を受けられる職場環境であると回答しています。他には、アジリティ、テクノロジーの改善、新しいコミュニケーションチャネルの追加といった回答も多く挙がりました。

前述の世界規模の調査によると、サポート担当者は企業に対し、主に次の3つの取り組みについて改善の余地があると考えています。

  • 顧客のニーズの変化に機敏に反応する
  • リモートワークを改善するためのツールを追加する
  • 顧客に新しい連絡手段を提供する

以下では、企業がどのような課題に直面していても、従業員に焦点を当てられるようにするためのヒントをいくつかご紹介します。

  1. 業績ばかりに注目せず、サポート担当者を大切に扱う

    もちろん業績データを追うことは重要です。過去のパフォーマンスと比較して、目標やベンチマークを設定することができます。しかし、サポート担当者も血の通った人間です。顧客を一番に考えることと、サポート担当者の優先順位を低くすることをイコールにしてはいけません。

    サポート担当者のニーズ、健康、幸福を優先し、会社の大事な一員だということを示しましょう。これには、上司とコミュニケーションが取れるチャネルを立ち上げたり、リフレッシュのために半休あるいは全休の取得を推奨する曜日を設けたりと、さまざまな方法が考えられます。精神面が健康でないときに、最高のパフォーマンスを発揮できる人はいません。また、担当者が疲弊していたり、自分の役割に不満を感じたりしていると、顧客側にもそれが伝わってしまいます。

  2. あくせく働くのではなく、スマートに働く

    サポート担当者の時間は貴重なものです。複雑な問題に専念できるよう、業務(そして生活)を楽にするテクノロジーを導入しましょう。どこから手を付けたらよいのかわからない場合、まずはワークフォースマネジメントツールを導入することをお勧めします。チケットの受領確認メールの送信や、返品の処理状況に関する通知といった反復的なタスクを自動化できます。これにより、サポート業務を簡単に拡張できるだけでなく、予想外の変化にも混乱することなく対応できます。

    また、チャットボットやスマートデジタルアシスタントなど、AIや機械学習を搭載した機能を積極的に利用すると、顧客に手早く回答を提供し、サポート担当者が同じ質問に何度も答えずに済むようになります。

  3. サポート担当者の意見に耳を傾ける

    従業員満足度アンケート、オープンドアポリシー(部下と上司の垣根をなくして社内の風通しを良くするための取り組み)、定期的なチームミーティングなどを通じて、マネージャーはサポート担当者の状況を把握する必要があります。それを把握することなしに、問題を解消することはできません。

    また、多くの担当者は、製品の品質や顧客の満足度の向上につながるインサイトを得ています。しかし、これは最初の一歩にすぎません。フィードバックは、上層部の支持を得た場合にのみ効果を発揮します。

    ビジネスは変化しつつあり、おそらく今後も絶え間なく変化し続けていくでしょう。企業は従業員と足並みを揃えて、次のステージを乗り切る必要があります。この新しい世界で成功し発展を遂げるためのリソースを提供するには、まず従業員に注意を向けることが重要です。

関連記事

記事

今日から役立つチャットボットのシナリオテンプレート20選

チャットボットのシナリオや会話文をゼロから作成するのは手間と時間が掛かります。テンプレートを使えば、実用的なチャットボットをすぐにでも導入できます。本記事では、用途別に役に立つチャットボットのシナリオテンプレートを20個ご紹介します。

記事

ヘルプデスクの運用とは?ステップや課題と対策を解説

ヘルプデスクは社内外の問い合わせや不明点を解決する部署です。ヘルプデスク支援ツールを導入することで、ヘルプデスクの業務効率化や対応の品質向上・均一化につながります。本記事では、ヘルプデスク業務の運用のポイントやよくある課題、対策について紹介します。

記事

社内Wikiの作り方のポイントは?主な導入目的やメリット、注意点を解説

社内Wikiは、組織内の情報共有やナレッジ管理を強化するための効果的なツールです。社内Wiki導入にあたっては、ユーザーが使いやすく、かつ運用が容易であるといった配慮が必要です。本記事では社内Wikiの作り方についての、ポイントや注意点を解説します。

ダウンロード資料

ESGレポート: 人とAIが創る次世代の従業員体験

EXトレンドレポート2024をご覧ください。