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カスタマーサポートを効率化するセルフサービス:成功指標を徹底解説

発行日: 2020年1月28日
更新日: 2022年5月17日

近年、自分で情報を検索して自力で問題を解決する、いわゆる「セルフサービス」形式のサポートを好む顧客が急増し、カスタマーサービスの分野で大きな注目を集めるようになりました。Forrester Researchのトレンド予測でも、2017年の時点で既に第1位として取り上げられています。なぜ、こうした形式のカスタマーサービスの人気に火がついたのでしょうか? それは、他のどの方法よりもすばやく手軽に問題を解決できるからです。

サポート窓口に問い合わせる必要はなく、どこにいても24時間、年中無休で利用できます。おそらく「いつでもどこでも利用できる」というのが、モバイル、オムニチャネル、マルチスクリーンが常識となった今日において、多くのユーザーを惹き付けている最大のメリットでしょう。このトレンドに乗らない手はありません。セルフサービス向けのコンテンツを充実させれば、チケット数を削減できます。つまり、サポート担当者が対応するのではなく、顧客に自力で問題を解決してもらえるようになるのです。

もしも既に多額の投資を行って、パソコンやモバイル端末から簡単にアクセスできるような顧客向けナレッジベースを構築しているのに、なかなか顧客に利用してもらえないという悩みを抱えているのであれば、そうした状況を改善する方法があります。セルフサービスをトレンドのトップに押し上げる原動力となった最新のテクノロジーを活用すれば、セルフサービスによるチケットの削減率を劇的に向上できるのです。

人工知能と機械学習によって、頻繫に発生する顧客とのロータッチのやり取りの大部分を自動化することで、顧客は自らコンテンツを探し回らずに済むようになり、サポート担当者はもっと複雑な問題を抱えている顧客のサポートに時間を割けるようになります。セルフサービスは、顧客満足度の向上だけでなく、コスト削減にも大きく貢献します。

セルフサービスの課題は、どちらかと言えば間接的なカスタマーサービスである点です。これがおそらく、一部の企業が採用をためらっている理由でもあります。ヘルプセンターで優れたセルフサービスコンテンツを豊富に提供すれば、顧客がサポートをリクエストしたり、チケットを作成したり、担当者と話したりする必要がなくなりますが、そうした効果を実証するのは困難でした。

セルフサービスは現実に成果を挙げており、その有効性を示す指標もいくつか存在するとは言え、チケットの件数や顧客満足度への直接的な影響を示すデータを生成することは簡単ではありません。しかし、それも過去の話になろうとしています。

成功していても証明するのが難しい

私にとってセルフサービス型サポートは、昔から最も重要なカスタマーサービスのトレンドです。2011年の初めにZendeskに入社したとき、私に任されたのは、ナレッジベースを構築し、Zendeskのお客様向けのセルフサービスチャネルを確立することでした。それから数年間で、私はチームメンバーと共に数百もの記事やガイドを執筆し、自らに課した成功への最初のマイルストーンに向けて着実に歩みを進めました。そのマイルストーンとは、月間閲覧数100万回です。

この目標は、チームの立ち上げから約2年で達成できました。すると、CEOからは祝福の言葉、担当バイスプレジデントからは「#OMGMYFORUMWASVIEWEDLIKE1000000TIMES(フォーラムの閲覧数がなんと100万回に到達)」というハッシュタグが刻印されたマグカップが届きました。もちろん、他のパフォーマンス指標も測定していましたが、合計月間閲覧数は特に重要な指標であるため、達成感は相当なものでした。ただ、セルフサービスチャネルの有効性を証明するのに十分だったかと言えば、そうではありません。

セルフサービスのパフォーマンス測定方法

セルフサービスの指標を追跡することで、作成するべきコンテンツ、作成したコンテンツの品質、読者のエンゲージメントを的確に把握できました。その観点から言えば、これらの指標は非常に有益ですが、ヘルプセンターの利用とチケットの削減率との直接的な相関関係を示すことはできません。私たちが使用してきた指標は以下のとおりです。

▪閲覧数とエンゲージメント

ヘルプセンター(に限らずあらゆるWebサイト)のパフォーマンスを測定するための典型的な指標としては、閲覧数、ユニークユーザー数、エンゲージメントの指標(平均セッション時間、直帰率など)があります。Googleアナリティクスの標準的な指標を見れば、顧客がコンテンツを見つけて利用しているかどうか、顧客にとってコンテンツが有用だったかどうかを判断できます。その観点から言えば、すべて非常に有益な指標です。これらの指標の詳細については、「Googleアナリティクスとヘルプセンター - パート1:適切な答えを得るための質問」から始まる全4回の連載記事をご覧ください。

▪コミュニティのアクティビティとエンゲージメント

もう1つの重要な成功指標は、ユーザーコミュニティの規模と活気です。Zendeskのヘルプセンターは、Zendeskから情報を提供するだけでなく、お客様どうしが交流し、専門知識を共有して、学び合うための場所になってほしいと願っていました。

Googleアナリティクスでもコミュニティのアクティビティの一部を測定できますが、ここではサポート業務に直結する指標の方が役立ちます。Zendesk Supportでは、ヘルプセンターのレポートがナレッジベースとコミュニティの項目に分かれています。それぞれの項目について、投稿数、閲覧数、投稿の賛成票数、購読数、コメント数を追跡できます。各指標の目標は自由に設定できますが、言うまでもなく、各指標は高ければ高いほど望ましく、そのアクティビティは長期的に追跡する必要があります。

▪検索

Zendesk Supportのレポートタブでは、ヘルプセンターでユーザーが行った検索に関するデータも確認できます。このレポートには、結果が0件の検索(検索キーワードを含む記事が存在しない場合)や、記事がヒットしたのにクリックされなかった検索の数が表示されます。前者は作成するべき記事を判断するときに、後者はコンテンツの使い勝手を改善するときに参考になります(クリックされなかったということは、記事のタイトルが内容を十分に説明できていないか、顧客が使用している用語を使用していない可能性が考えられます)。

また、検索後に作成されたチケット数も確認できます。これでようやく、チケットの件数に対するセルフサービスの影響を示すデータが多少なりとも得られました(といっても、削減ではなく作成されたチケット数ですから、この指標が示すのはマイナスの影響ということになります)。

▪セルフサービススコア

上記の指標からはセルフサービスコンテンツのパフォーマンスや品質を把握できるのに対して、セルフサービススコアのねらいは、サポートチャネルとしてのヘルプセンターの効果を測定することにあります。具体的には、顧客の問題解決に役立っているかどうか、担当者が対応しなくてはいけないサポートリクエストを顧客が作成せずに済むかどうかを確認できます。

セルフサービススコアを割り出すには、以下の式を使用します。

セルフサービススコア =
ヘルプセンターのユーザー数 ÷ チケットを作成したユーザー数

セルフサービススコアは比率で表します。たとえば「4:1」なら、セルフサービスチャネルを利用して問題の自己解決を試みた顧客の4人に1人がサポートリクエストを送信したということです(セルフサービススコアについては、前述の記事でも説明しています)。

セルフサービススコアを測定すると、チケット削減率のベンチマークを設定し、毎月のチケット削減率を比較できるというメリットがあります。

Zendeskでは、ある時点で40:1に迫る比率を達成しました。この数字は経営陣に提出した報告書の上でも光り輝いており、その甲斐もあって昇進を果たすことができたと思っています。それでもなお、セルフサービスチャネルがチケットの削減率に与える影響を証明したいという私の欲求は満たされませんでした。周囲はまだセルフサービスチャネルの有効性について半信半疑のままだったのです。

どうすれば実際のデータに近付けるのでしょうか? そうです、ここでようやくあの最新テクノロジーの登場です。

人工知能の活用:人間とボットが手を取り合い、次世代のセルフサービスを実現

人間の力と新しいテクノロジーを組み合わせることで、自力解決がさらに促進され、セルフサービスの明るい未来が拓かれます。今日では、人工知能やオートメーションを使用して、顧客にコンテンツを提供できることに加え、コンテンツ利用と問題解決の直接的な相関関係を確認できるようになりました。これこそ、私たちがずっと待ち望んでいたデータです。

その未来を実現するのは、Zendesk Guideが提供するAI機能「Answer Bot」などの新しいセルフサービステクノロジーです。その仕組みを簡単にご紹介しましょう。

Answer Botはディープラーニングと自然言語処理(NLP)を使用して、顧客からのメールのテキストを読み取り、問題の自己解決に役立ちそうなヘルプセンターの記事を選んで、顧客に返信します。

顧客のメールによるリクエストからチケットが生成されるため、当然そのチケットを解決する必要があります。Answer Botの自動返信では、問題解決に役立つ情報が提供されるだけでなく、問題を解決できた場合に顧客が自分でチケットをクローズできます。そうすれば、担当者から連絡を受けることはありません。顧客側でチケットがクローズされないときには、担当者が連絡を入れ、フォローアップと問題解決を図ります。

私が特に魅力的だと感じるのは、こういったセルフサービスでのチケット解決についてレポートを作成できる点です。

Answer Botにより、セルフサービスは1つのサポートチャネルとしてさらに高度に統合されます。その結果、対応待ちのチケット数や顧客満足度への直接的な影響を明らかにし、セルフサービスの効果を証明するのに必要なデータを入手できるようになりました。Zendeskでは近いうちに、多数のサポートチャネルでこうしたデータの取得を可能にする予定です。そうすれば、セルフサービスの影響をマルチチャネルの観点から完全に把握できるようになります。

もちろん、顧客がセルフサービスコンテンツを使用する方法によっては、チケットの削減率を示すデータとして今後も追跡できない可能性はありますが、それでも問題はありません。たとえ数値で表すことができなくても、セルフサービスコンテンツは必ず顧客の問題解決に役立っているからです。

優れたセルフサービスエクスペリエンスを提供する方法については、『6個のヒント:ヘルプセンターの利用率を高めるには』をご覧ください。

この記事は、著作家であり写真家でもあるAnton de Young氏が執筆したものです。長年Zendeskに勤務し、カスタマーエデュケーションやカスタマートレーニングのチーム立ち上げに携わったほか、マーケティングディレクターとしてZendeskのカスタマーサービスに関するリーダー育成プログラムやイベントを次々と企画しました。こうしたイベントがZendeskカンファレンス「Relate」の源流となっています。同氏は現在、ポルトガルのリスボンを拠点に、フリーランサーとして世界を飛び回っています。Webサイトでの情報発信もチェックしてみてください。