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顧客獲得とは? 成功に導く9つの戦略や方法、チャネルを解説

顧客獲得戦略を成功に導くには、新規顧客の獲得を念頭に置いて、営業、マーケティングなどのチームが協力する必要があります

著者: Tara Ramroop, スタッフ執筆, @tara_ramroop

更新日: 2024年2月15日

顧客獲得

顧客獲得とは

顧客獲得とは、企業が潜在顧客に働きかけて、新規顧客として迎え入れる取り組みを指します。 顧客獲得の例としては、メールマーケティングやCRM(顧客関係管理)プラットフォームの活用のほか、優れたカスタマーサービスを提供して顧客対応の評判を高める取り組みなどが挙げられます。

顧客獲得の目的は、さまざまなチームやチャネル、戦略の力を駆使して、収益増加につなげることです。

顧客獲得管理とは、新規顧客の獲得プロセスを管理する取り組みを指します。 顧客獲得管理のアクティビティは次の3つの段階に分けられます。

  • 認知度向上


    ブランドを認知することから、カスタマージャーニーは始まります。 ブランドを発見したターゲットのオーディエンスは、全員潜在顧客に該当します。 つまり、企業がどんな製品・サービスを提供しているのか、どのような価値をもたらすことができるのかを伝える取り組みが、顧客獲得のファーストステップと言えます。 この段階ではさまざまな見込み客に接触することを優先します。 購入する意志が固まっていなくても、購買層の典型的な人物像(ペルソナ)に適合し、ターゲットのオーディエンスの条件を満たしているなら、顧客獲得の対象になります。
  • 検討


    検討段階になると、潜在顧客は購入を検討していることを示唆する兆候を見せるようになります。 たとえば、無料のデモやトライアルに登録する行為です。
  • コンバージョン


    ここで潜在顧客はセールスファネルに入ります。 購入する準備が整っている段階です。 この段階に到達する前に、ブランドとやり取りを行い、ある程度の下調べを進めており、 あと少しで、潜在顧客から正真正銘の顧客へと昇格します。 たとえば、「買い物かごに商品を追加した」、「1か月間の無料サブスクリプションに登録した」などが該当します。

営業担当者が手腕を発揮するのは、顧客管理の第二段階と第三段階です。 ジーンズを探しにお店に入った途端、あるいは職場のチームで使用するソフトウェアを探すためにウェブサイトにアクセスした瞬間に強引に購入をすすめられても困ります。 しかし、潜在顧客がある程度情報を収集し、次のステップについて考慮した後であれば、営業担当者の話に耳を傾け、時間とお金に見合った価値をなぜその会社が提供できるのかについて、興味が湧いてきます。

顧客を獲得する方法

顧客獲得にはさまざまなアプローチがあります。 どのような方法を採用したとしても、潜在顧客を次の段階へと導くには、多くのチームが協力する必要があります。 企業は顧客獲得コストを細かくチェックします。なぜなら、顧客管理は顧客の維持よりも多くの費用がかかるためです。 しかし、すべてのチームが協力して良好な印象を残すことができれば、見込み客が新規顧客へとステップアップする可能性は高まります。

セールスの取り組みには、さまざまな組織が関与します。その一例を以下に挙げていきます。

  • クリエイティブチーム:会社の製品・サービスに対する興味を引き起こします。 その手段として利用するのが、広告を含む各種のデジタルキャンペーンやブランドキャンペーンです。
  • マーケティングチーム:今まさに読んでいるこの記事のようなブログの投稿やオンラインセミナー、メールのニュースレターなどを通じて、さまざまな顧客や見込み客に接触します。
  • 営業チーム:クリエイティブチームやマーケティングチームの取り組みが実を結び、獲得したリードや見込み客を営業チームが引き継ぎます。 つづいて、自社製品・サービスを購入するメリットを強調して、要点を理解してもらいます。 最後に取引を成立させます。これで、見込み客から「見込み」が消え、晴れて顧客となります。
  • カスタマーサクセスチーム:顧客の期待に確実に応え、可能ならば期待以上の成果を出せるように後押しします。 カスタマーサクセスチームは、通常、見込み客が顧客になってから登場しますが、顧客の維持や顧客ロイヤルティの向上、解約率の低減において主導的な役割を果たします。

契約を常に成立させる営業のプロを投入するだけでは、「どうすれば顧客を獲得できるのか」や「どうすれば売上を増やせるのか」という難問を解くことはできません(ABC)。 また、営業戦略を策定するだけでは不十分です。各部門の顧客獲得プロセスにおける役割を理解していない状態では、顧客獲得戦略は期待する成果をもたらさないでしょう。 闇雲に見込み客に接触しても、新規顧客の獲得にはつながりません。 つまり、適切なソリューションや製品、サービスを適切なタイミングで提示して、見込み客のニーズを満たす必要があります。

顧客獲得戦略とは?

顧客獲得戦略とは、より多くの顧客を獲得するために企業が拠り所にする大まかなプランを指します。 先程言及した営業、マーケティング、クリエイティブをはじめとするさまざまなチームが、この戦略を実行する上でそれぞれ役割を与えられます。 また、顧客獲得戦略には、これらのチームが見込み客を説得し、良好な関係を構築するために用いるアクティビティやチャネルが定められています。

それでは、9つの顧客獲得戦略について解説します。 企業のニーズに合わせて、一部のみを使用することも、すべて使用することも可能です。

9つの顧客獲得戦略

  1. 良質なウェブサイトを用意する
  2. モバイルエクスペリエンスを向上させる
  3. AIを活用して積極的に顧客を獲得する
  4. 営業チームが顧客データにアクセスできるようにする
  5. マーケティングを活用して有望なリードを獲得する
  6. CRMソフトウェアを使用する
  7. 既存の製品やサービスを考慮してサービスを追加する
  8. 顧客のフィードバックに耳を傾ける
  9. カスタマーエクスペリエンスに力を入れる

良質なウェブサイトを用意する

魅力的なウェブサイトは、顧客を獲得する取り組みにおいて重宝します。 見込み客はさまざまなウェブサイトにアクセスし、あなたのウェブサイトにたどり着きます。 この努力に報いるべきです。 ウェブサイトは店頭と同じような存在であり、理由がなければ、人々は歩みを止めずに去っていきます。

ウェブサイトに立ち寄ってもらうには、シンプルなUXが必要です。 必要としているものが見つかり、販売されている製品・サービスが、求めているものと同じかどうかを簡単に判断できるウェブサイトを用意しましょう。 「この商品をずっと探していたんだ」とウェブサイトのビジターに思ってもらえるウェブサイトが理想です。 この条件を満たすことができれば、購入を検討してもらえる可能性は高まります。 見込み客のツボを押さえたウェブサイトは、すぐに購入することを望む見込み客(クレジットカードを使って、エンタープライズ向けソフトウェアをオンラインで即購入する顧客もいます)だけでなく、慎重な見込み客にも対応できます。

近年では、小売業のエグゼクティブが、シンプルな顧客ファーストのウェブサイトの重要性を力説しています。 その背景にあったのは、コロナウイルスの蔓延です。買い物や注文、テイクアウトでさえも、シンプルに実行できることが必須になりました。 たとえば、大手ホームセンターのLowe'sは、レシートをメールやSMS経由で送信するなど、シンプルな工夫を行い、大きな成果を得ています。

顧客を主役に据えてデザインすることで、わかりやすく、使いやすいウェブサイトを提供できるようになります。 凝り過ぎると、顧客獲得をはじめとする企業のニーズが中心となり、顧客のニーズは軽視されてしまいます。 2021年にハーバード・ビジネス・レビューに掲載された記事の抜粋を以下に掲載します。

ただし、顧客が決定を下すまで、企業は黙って見ているべきだと指摘しているわけではありません。 購入へのルートを設定して顧客を誘導するのではなく、顧客が目的を達成することを優先するべきです。これが顧客中心のプロセス、そして、ユーザーエクスペリエンスであり、より大きな影響力をもたらす秘訣です。

モバイルエクスペリエンスを向上させる

UXの主要な柱の一つが、モバイルエクスペリエンスです。そして、いかに円滑な体験を提供できるかが、顧客獲得の成功を左右します。 モバイルサイトが利用されるのは、外出時だけではありません。 朝、家でコーヒーを飲みながら、ソファでNetflixを見ながら、就寝する直前など、さまざまな状況でモバイルサイトは利用されています。

つまり、顧客とのつながりを得られるチャンスは至るところにあります。ただし、このチャンスを活かすには、顧客ファーストのレスポンシブなモバイルウェブサイトが必要になります。 ここで大事なポイントがあります。「買ってもらう」ことだけを意識するのではなく、使いやすく、正確な情報を伝え、役に立つことを心掛けましょう。

見込み客がもともと興味を持っていて、すぐに購入に至るケースもあります。 そのため、営業担当者との連絡や無料トライアルへの登録、デモの提供に加えて、決済時の問題発生に備えてカスタマーサービスによる対応を円滑に進められる体制を整えておくことが大切です。 決済やモバイルサイトがややこしいために、オンラインでの買い物を諦めた経験は、一度や二度ではないはずです。

AIを活用して積極的に顧客を獲得する

革新的な企業は、顧客獲得に能動的なアプローチを採用します。 AIの力を借りれば、複雑な作業にも、多額の費用にも別れを告げられます。 チャットボットはウェブサイトやアプリのビジターを自ら歓迎し、質問への回答や助けを必要としている場合、スムーズに営業やサポート担当者に引き継ぎます。 ポップアップを表示して、いつでもサポートできることを見込み客に理解してもらいましょう。このような些細な気遣いが大きな効果をもたらします。

営業チームが顧客データにアクセスできるようにする

顧客データにはサポートや販売のデータなど、フィードバックのプロセスには欠かせない情報が詰まっています。 顧客のニーズや要望を推測に頼る時代は過ぎ去りました。 顧客データや分析データのトレンドからヒントを得られるため、推測する必要がないのです。 これらのデータは、製品計画や見込み客とのコミュニケーションの手法などに影響を与えます。 たとえば、カスタマーサービスに頻繁に寄せられる苦情には、思いがけない事実が隠れているかもしれません。 営業チームがこのデータにアクセスすることができれば、顧客が求めているものを理解し、適切なピッチを考案しやすくなります。

売上の増加以外にも、顧客データを全社レベルで共有するメリットはあります。 顧客にフォーカスした企業は、顧客が抱える問題に関するデータを改善に活用します。 Zapposは、返品に諸費用がかかることに対して既存の顧客が不満を持っていることを知り、費用を会社が負担し、無料化に踏み切りました。 この方針転換により、初めて買い物をする顧客が安心して商品を購入できるようになりました。 これは、顧客中心の経営判断が、顧客獲得に直接的な影響を及ぼした事例です。

マーケティングを活用して有望なリードを獲得する

一部の企業はセールスリードを購入していますが、オンラインセミナーやライブイベントなど、ターゲットを絞ったマーケティングアクティビティによりリードを獲得できることも多々あります。また、有益な資料のダウンロードと引き換えに情報を求めるアプローチも効果的です。 顧客になる可能性が低いリードを与えられて、営業担当者が困ることがあります。 しかし、顧客中心主義的な言い方をすれば、購入する意思があると企業側が勝手に勘違いしたにすぎません。

これは難しい問題です。 デモやニュースレターに申し込んだ見込み客全員が、購入する意志を固めているわけではないのです。 そのため、営業部門のリーダーは、積極的にマーケティング部門と協力して、可能性の低いリードを有望なリードに変える取り組みに力を入れるべきです。 リードがリードのまま行き詰まる理由を突き止め、他部門と協力して計画を練り、有望なリードの獲得に臨みましょう。 顧客の立場で言うなら、企業にはさまざまなタイプの見込み客をより正確に区別できるように努力してもらいたいものです。

CRMソフトウェアを使用する

顧客関係管理(CRM)システムは、オーディエンスのニーズを正確に理解して、より効果的な営業プロセスを構築する上で役立ちます。

CRMソフトウェアを使うと、リードに関する情報やセールスファネルでの動きを確認したり、メールの送信やデータ収集を自動化できるほか、新しい機会を見出すことも、パフォーマンスを追跡することも可能になります。 セールスパイプラインを可視化することで、営業担当者の生産性は向上し、顧客満足度の改善を導きます。 その結果、セールスプロスペクティングから、顧客および企業の双方にとってより有益なメリットを得られる可能性は高まります。

既存の製品やサービスを考慮してサービスを追加する

コロナウイルスの影響で外出が難しくなると、工夫を凝らす必要性が生じました。 多くのレストランが自宅で食べるためのメニューを考案し、アルコール飲料のテイクアウトサービスを始めたバーが増加しました。

2021年のNational Retail Federation Big Showで、講演者のMitch Joel氏は、小売業がコロナウイルス蔓延のピンチを乗り切るための工夫について説明しました。 Joel氏はその一つの例として、既存の製品やサービスを考慮した上でサービスを提供し、多種多様な製品を顧客にアピールするアプローチを挙げていました。 Joel氏は具体的にWalmartの名前を挙げ、同社がペット保険を開始した経緯を説明しました。 当時、コロナウイルスの大流行により、ペットを飼う人が急増しており、すでに各種のペット用品を販売していたWalmartにとっては、ペット保険は顧客獲得の機会を活かす理にかなったアプローチでした。

あらゆる産業のリーダーが、新規の顧客に接触する新たな手法を考えなければならない状況に追い込まれました。 Joel氏は、顧客のニーズを満たしているなら、この短期間のイノベーションを継続するべきだと唱えています。

顧客のフィードバックに耳を傾ける

市場調査のデータが誤っていることもあります。また、顧客の好みは頻繁に変わります。 だからこそ、意図していたかどうかに関係なく、顧客からフィードバックを得たら、真剣に向き合う必要があります。

多くの企業は、市場が求めていると企業が思い込んでいる製品やサービスを押し付けています。 その結果、製品の売れ行きが予想を下回ると、多くの在庫を抱えてしまった理由やセールスピッチが失敗した理由について分析します。 そして、この問題を解決するのは、カスタマーフィードバックを参考にして、顧客中心の意思決定を行うことです。 具体的には、アンケートやレビューなどの公式のフィードバックに目を通し、顧客から苦情を受けたらサポートチームに引き継ぎ(上記を参照)、SNSやオンラインコミュニティでの投稿に目を光らせるのです。

カスタマーフィードバックは、実際に購入した顧客だけが提供するものではありません。 潜在顧客や見込み客も、企業とのやり取りに関するフィードバックを常に送っています。 フィードバックが行われる場所がどこであっても、このような会話に注目し、対処するかどうかは企業次第です。 営業担当者がネガティブなニュースや炎上中のSNSの投稿に気づかなければ、的外れなピッチを行ってしまいます。そのため、フィードバックは顧客獲得において重要です。

カスタマーエクスペリエンスに力を入れる

カスタマーエクスペリエンスは購入の意思決定に影響を与えます。つまり、顧客獲得を左右する要素だと言えます。 Zendeskのアンケートでは、B2Bの顧客の62%が、B2Cの顧客の42%が、カスタマーエクスペリエンスに満足した後、さらに製品・サービスを購入していたことが明らかになっています。 また、B2Bでは66%、B2Cでは52%の顧客が、カスタマーサービスとのやり取りに不満を持った結果、購入を見送ることも判明しています。 大半の潜在顧客にとってはカスタマーサービスとのやり取りが、企業とのはじめての直接的なコミュニケーションになります。 そのため、潜在顧客が今後もコミュニケーションを取りたいと思うような対応が求められます。

また、別の調査により、感情が購入の決定において大きなウェイトを占めることも明らかになっています。 カスタマーサポートは最前線で顧客に対応することから、その言動がブランドに対する感情を左右します。

顧客獲得チャネル

顧客獲得チャネルとは、企業が潜在顧客や既存の顧客との接触・コミュニケーションに使用するチャネルやツールを指します。 これらのチャネルは、上記の顧客獲得戦略の多くを実現するために必要であり、カスタマージャーニーのすべての段階で活用できます。

以下に顧客獲得チャネルを挙げていきます。

  • 企業のウェブサイト

  • 企業の公式ブログ、およびその他のコンテンツマーケティングの取り組み

  • メールマーケティング

  • イベントとフィールドマーケティング

  • SNS

  • 有料広告(GoogleやFacebookでのオンライン広告)

  • 電話営業

  • 製品(製品内にコールトゥアクション(CTA)を組み込んで、新しい機能の詳細を紹介したり、企業とのコミュニケーションを推奨する)

顧客獲得のエキスパート、Matthew Barby氏は、製品をバイラル化させることも可能と示唆する一方で、下手なPRや猫の動画がバイラル化する仕組みは参考にならないと指摘しています。 同氏が例として挙げているのは、Dropboxです。 Dropboxは、製品内の紹介制度をカスタマーエクスペリエンスに結びつけ、無料で利用できる容量を提示しています。 これは、上記の複数の戦略を活用した、顧客獲得の見本ともいえる取り組みです。

  1. ストレージの増加を介して、紹介したユーザーのカスタマーエクスペリエンスを改善しています。

  2. また、Dropboxは、リードを得るために大量のリソースをつぎ込む必要がなかったため、顧客獲得コストを抑えることにも成功しました。 同社が実施したのは、製品内に紹介機能を組み込むことだけでした。

顧客獲得を達成する秘訣

顧客獲得は複雑なプロセスです。しかし、社内のさまざまなチームと連携して、顧客の意見に耳を傾けることで、営業チームは適切なアプローチを選べるようになります。 契約を成立させることだけが仕事ではありません。ニーズを満たす最適な製品・サービスを自社が提供できることを顧客に理解してもらう必要があります。

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