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ワークフォースマネジメント(WFM)とは? コスト軽減と品質維持を両立させる考え方

更新日: 2020年6月9日

少子高齢化により人手不足が顕在化し、適切な人員の確保が難しくなってきています。その一方で、企業が抱える固定費のうち「人件費が占める割合」は非常に大きく、人員を最低限にしてコスト削減を図りながら、サービス品質を維持するための施策が必要とされていいます。そこで注目されているのが、ワークフォースマネジメント(WFM)です。今回は、「WFMとは何か?」について見ていきます。

ワークフォースマネジメントとは

ワークフォースマネジメント(WFM)とは、生産性の高い労働力を維持する目的で実施される「人的資源管理の施策全般」のことを指します。必要な人員数の予測からシフトの作成、従業員のスキルマネジメント、勤怠管理まで、あらゆるフェーズが含まれます。

人件費削減のために人員を減らすと、業務量が過多になり、サービス品質の低下を招きます。一方、業務量に対して人員が多すぎると、ワークフォースの過剰が生じます。また、個々の従業員のスキルや経験、適性も異なるため、「適切な人員配置」を行うのは至難の業といえます。

そこで注目されているのがWFMです。WFMでは、「いかにサービス品質を維持(もしくは向上)しながら人員を適切に配置するか」という点が重視されます。人件費のカットのみを目的として人員削減を図る、いわゆる「リストラ」とは根本的な考え方が異なります。

これまで多くの職場で、現場マネージャーの手作業によりリソースマネジメントが行われてきました。シフトの作成などにかかる業務の負荷は大きく、ミスも多発していたようです。WFMでは曜日別/時間別の業務量の違い、従業員のスキル、経験、適性などのデータをもとに、人員配置の最適解を探ります。一般的には、レイバースケジューリングプログラム(LSP)と呼ばれるITツールが活用されています。

なぜコールセンターでWFMが必要なのか



WFMは、小売り、ホスピタリティ、サービス業といった労働集約型のあらゆる産業に応用できます。特に、コールセンターで導入すると効果が高いといわれています。

コールセンターの運営者にとって、人員配置は最大の悩みといっても過言ではないでしょう。入電数に対してオペレーター数が不足すると応答率が下がり、顧客の再コールが増え「つながらない」といったクレームを招くことになります。逆に入電数に対してスタッフが過剰していると、オペレーターの稼働率が低下し、コスト面で大きなロスを招きます。

過去のデータから曜日別や時間帯別の入電数をある程度予測できたとしても、メディアでの露出や季節要因などによって業務量は大きく変化します。スタッフ数の多いコールセンターでは、さらに管理が難しくなります。こうした状況を踏まえ、2000年代初頭よりWFM専用のソフトウェアが登場するようになり、多くの成功を収めるようになりました。

WFMを成功させるポイント

WFMは人事部門のみならず、経営企画や営業、人事、ITなど、あらゆる部門をまたぐ施策になります。バリューチェーン全体に関わるマネジメント改革と考え、トップダウンでリーダーシップを発揮することが求められます。部署同士の連携を図り、部署間のエアーポケットをなくすために、「WFM革新チーム」のような社内横断的な組織を発足させてもよいでしょう。

データをもとにWFMの効果をより高めるには、ITツールの活用が欠かせません。最近では、初期投資を抑えて導入できるクラウド型のソフトウェアも登場し、普及が進んでいます。

最新のWFMは、人員配置の過不足予測、従業員のスキルマネジメント、シフトの自動作成などに加えて扶養控除や社会保険加入の有無、オペレーターの出勤希望日などにも対応するシフト作成機能が備えられています。

まとめ:「コスト」と「品質」を意識したHRマネジメントを

コールセンターではコストを切り詰めると品質が下がり、品質を上げればコストも上がる、という傾向があります。WFMは「コスト」と「品質」という一見すると相反するファクターを両立させる、有効な施策となり得えるでしょう。

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