メインコンテンツへスキップ

記事

カスタマーサービスの指針とは?策定方法や実例を紹介

一貫して優れたカスタマーサービスを提供するためには、優れたカスタマーサービスの指針が必要です。本記事では、明確で良質な指針を策定する方法についてご紹介します。

著者: Emily Miels, 寄稿者

更新日: 2024年10月11日

本を持ちながら階段を上る女性。

カスタマーサービスの指針とは?

カスタマーサービスの指針とは、企業が顧客からの問い合わせを解決し、顧客との信頼関係を構築するための一連の行動規範です。顧客とのあらゆるやり取りを変える可能性があり、このような指針があるからこそ、カスタマーサポートチームは優れた体験を提供できるようになります。

一流の企業は、一流のカスタマーサービスを提供することに余念がありません。サポートチームには最適な候補者を採用し、包括的なオンボーディングとトレーニングを提供し、定期的にパフォーマンスをレビューしています。とはいえ、サポート担当者が一貫性のあるサービスを提供するためにはさらなる仕組み、つまり指針が必要です。

カスタマーサービスの指針を定めることによって、サポートチームに指示を与えると同時に権限を与えられるため、最大限効果的なCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を提供することができます。本記事では、カスタマーサービスの指針の重要性と策定方法、そして一流ブランドにおける例をいくつかご紹介します。

目次

カスタマーサービスの指針が重要な理由

カスタマーサービスの指針は、あらゆる顧客とのやり取りの道標として機能する重要な存在です。カスタマーサービスの指針があれば、従業員は包括的なCXを提供できるうえ、顧客ロイヤルティを促進して、顧客維持率を高めることができます。

アメリカンフットボールのチームがプレイブックなしで試合に臨まないように、サポートチームは計画を立てずに顧客の問い合わせに対応するべきではありません。カスタマーサービスの指針は企業・顧客間のやり取りを形成するものであり、従業員がすべての顧客接点(タッチポイント)に対応するためのガイドになります。

カスタマーサービスの指針は以下のような場面で役に立ちます。

  • 一貫性の形成: 適切な指針があれば、顧客がいつ問い合わせをしようとも、そして問い合わせの担当者が誰であろうとも、顧客は同じCXを受けられます。
  • より強固なアイデンティティの構築: カスタマーサービスの指針を策定しているブランドは、提供している製品、サービス、理念について広く明確に伝えられます。ブランドアイデンティティが強固であれば、口コミや評判だけで新しいビジネスチャンスを引き付けることができます。
  • 従業員の準備を強化: 確固たる指針、さらに言えば効果的なCSM(カスタマーサービス管理)によって、顧客からの問い合わせに自信を持って対応できるようになります。

カスタマーサービスの指針はCX戦略と密接に関係しており、どちらも共通して常に変わらずに優れたサービスを提供し続けるうえで役に立ちます。

カスタマーサービスの指針の策定方法

カスタマーサービスの指針を導入することのメリットを理解したところで、次に指針を策定するためのヒントをいくつかご紹介します。

1. 会社の価値観との連動

強固なカスタマーサービスの指針を構築するうえで最も重要なのは、その指針を会社の価値観に結びつけることです。組織の基本方針と、すべての顧客とのやり取りにそれをどのように取り入れられるかを考えてみましょう。例えば、「お客様は常に正しい」という姿勢を大切にしているのであれば、その想いを指針に織り込むとよいでしょう。

2. 顧客を重視

すべての企業は、顧客志向にもとづいて会社としての指針を確立する必要があります。つまり、製品や利益ではなくあくまで顧客を企業の意思決定の中心に据えることが大切だということです。

このような考え方によってカスタマーサービス上のやり取りを改善できるうえ、顧客にとって最適な意思決定を積極的に行うことができます。顧客を中心に考えていれば顧客の懸念に即座に対処できるうえ、将来的には顧客の期待を超えることができます。

3. 実践的な方法を提示

明確な道標がなければ、ここのサポート担当者が企業のカスタマーサービスの指針を最後まで守り続けるのは困難です。実践的な方法と明確な行動を示すことで、チームは指針に従って行動し、優れたカスタマーサービスを提供することができます。

こちらの記事(英語)では、Appleのカスタマーサービスの指針を、Appleのそれぞれのアルファベットを頭文字にして紹介しています。ぜひ、参考にしてください。

  • Approach customers with a personalized, warm welcome.(訳:一人ひとりに合わせた温かい歓迎の言葉で顧客に接する)
  • Probe politely to understand all the customer’s needs.(訳:丁寧に話を聞き取り、顧客のニーズをすべて理解する)
  • Present a solution for the customer to take home today.(訳:顧客が当日自宅で試せる解決策を提示する)
  • Listen for and resolve any issues or concerns.(訳:どんな問い合わせや懸念事項にも耳を傾け、解決する)
  • End with a fond farewell and an invitation to return.(訳:愛情のこもった別れの言葉を告げ、いつでも戻ってきてくれて構わないと伝える)

このように明確に行動指針を示すことにより、チームは最善のカスタマーサービスを提供するためにはどうすればよいか、きちんと理解することができます。

4. 主要な関係者の関与

組織内の主要な関係者に、カスタマーサービスの指針に関する意見を出してもらいましょう。誰もが異なる視点や経験を持っていますが、より合理的なプロセスを設計するためには、まずは組織の主要メンバーのみに意見を求めることが重要です。例えば、組織内のすべてのカスタマーサービス担当者から意見を集めるのではなく、マネージャーや部門の責任者に声を掛けましょう。

5. リーダーが模範を示す

マネージャーやさらに上級職の社員といった会社のリーダーは、自ら手本となって模範を示して指導する必要があります。カスタマーサービスを最優先に考え、顧客やチームとともに日々指針を体現していきましょう。例えば、傾聴がカスタマーサービスの指針において重要な部分である場合、社内でのミーティングや会話の際はいつでも積極的に相手の話に耳を傾けてください。

6. こまめな再確認・再検討

常にカスタマーサービスの指針を確認し、会社の成長に合わせた意思決定のガイドとして活用してください。また、パフォーマンスが期待値を下回った場合は、顧客や会社からの要求を満たすために必要な変更を行いましょう。

組織のリーダーが変わったときや新しいCXソフトウェアに移行することが決まった場合は、カスタマーサービスの指針を見直して、何かを変更する必要があるかどうかを判断してください。

カスタマーサービスの指針の例

指針を策定するにあたり、質の高いカスタマーサービスを提供していることで知られているトップ企業から多くのことを学ぶことができます。ここでは、いくつかの例をご紹介します。

The Ritz-Carlton

The Ritz-Carltonは業界屈指のカスタマーサービスを提供しており、高価格にふさわしい最高級ホテルとしての評判を維持し続けています。有数のホテルチェーンとしてゴールドスタンダードにもとづいた運営を行っており、その中ではサービスを提供するうえで重要な3つのステップを提唱しています。

  • ゲストの名前を呼び掛けながら、温かく誠実な挨拶をする

  • ゲストのニーズを予測し、それに応える

  • ゲストの名前を呼び掛けながら、温かい言葉でお別れをする

The Ritz-Carltonの各ホテルでは、言葉には表されていない望みやニーズにも応えられるよう努めていると同時に、全社的には、顧客に大きな喜びを与え常連客と感情的なつながりを築いて期待値を上回ることによって、顧客満足度と顧客ロイヤルティを継続的に向上させています。

The Walt Disney Company

The Walt Disney Companyは、テーマパークや店舗などで優れたカスタマーサービスを提供し、それによって「魔法の瞬間」を生み出すことに全力を注いでいます。このようなモットーは、とある全社共通の目標に由来します。それは、「世界中のあらゆる年齢の人々に一流のエンターテイメントを提供することで、幸せを生み出す」です。

The Walt Disney Companyは、可能な限り顧客の期待を上回るようチームメンバーに指導しており、このような指導によって忘れられない体験が生まれ、顧客は何度もリピートします。優れたカスタマーサービスモデルによって何百万人もの顧客が幸せになり、世界で最も有名なブランドが生まれることになりました。

Trader Joe’s

アメリカで多くの消費者が愛するスーパーマーケットTrader Joe’sは、製品だけではなく、カスタマーサービスの質の高さも有名です。スーパーマーケットとして買い物客を最優先に考え、競争の激しい市場で存在感を出せるよう尽力しています。

Trader Joe’sの指針として、「『質の高い製品を日々最安値で販売するという卓越した価値』の提供に全力で取り組むこと」を定めています。同社は独自の品揃えを提供し、コストを抑え、フレンドリーなスタッフを採用することによって、この指針を体現しています。

よくある質問と回答

適切なCXパートナーとカスタマーサービスの指針を最適化

カスタマーサービスの指針は、包括的で一貫性のあるサービスを提供するうえで重要な役割を果たします。とはいえ、独力で奮闘する必要はありません。貴社の頑張りを支えるパートナーがいます。

ZendeskはCXを知り尽くしたCXカンパニーです。あり、Zendeskエージェントワークスペースルーティングとインテリジェンスレポーティングと分析など、オムニチャネルで一貫性のあるCXを実現するための様々なソリューションを提供しています。CXを知り尽くしたエキスパートが貴社のカスタマーサービスの指針の設計をサポートします。

14日間無料でお試しいただける無料トライアルをご用意していますので、ぜひお気軽にお試しください。

関連記事

記事

応対品質の評価項目とは?スコアカードの紹介

カスタマーサービススコアカードとは、応対品質を評価し、サービスチームのパフォーマンスを改善するための重要なツールです。この記事では、スコアカードの作成手順と含めるべき項目やデータについて解説します。

記事

AIエージェント: AIを駆使したインテリジェントなサポートに備えて

AIエージェントは顧客が抱える複雑な問題さえも理解し、解決に導けます。 このガイドでは、顧客満足度の向上やサービス提供の効率アップ、収益の増加においてAIエージェントが果たせる役割について解説します。

記事

WFMツールとは?コールセンターに導入するメリットや選定時のポイントも

コールセンターの運営効率化と顧客満足度向上を目指すなら、人員配置や予測、スケジューリングを最適化するWFMツールの導入が欠かせません。本記事では、WFMツールの基本的な機能やコールセンターに導入するメリット、選定時のポイントについて詳しく解説します。

記事

コールセンターの呼量予測とは?基礎から運営効率化へのポイントを解説

コールセンターにおける「呼量予測(コール予測・入電予測)」は、運営改善・コスト削減に有効なプロセスです。本記事では、コールセンターの重要指標となる「呼量予測」について、基礎知識からメリットや算出方法までを解説します。