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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 意味・目的・プロセス

デジタルトランスフォーメーションでカギとなる3つの要素について、3人のエキスパートに話を聞きました。

発行日: 2021年3月22日
更新日: 2022年5月17日

デジタルトランスフォーメーションは、発展し続けるデジタル経済において生き残り、増大し続ける顧客の期待に応えるために、企業にとってもはや必須の取り組みとなっています。パンデミックの影響で情勢が目まぐるしく変化する中、その必要性はかつてないほど高まっておりGartnerの調査によれば、変革のスピードも数年から数週間にまで短縮されています。

デジタルトランスフォーメーションが重要なのは明白ですが、それを実施する方法、特に顧客ファーストを軸に推進する方法については議論の余地があります。

デジタルトランスフォーメーションとは、単に「時代遅れの運営体制の効率化」や「業務コストの削減」を指すのではありません。これらは最低限達成すべきことでしかないのです。デジタルトランスフォーメーションを成功に導くには、最も重要な対象である顧客に価値をもたらすことを念頭に置かなければなりません。

この記事では、デジタルトランスフォーメーションの概要と、顧客ファーストを軸にそれを達成する方法について説明します。

  1. デジタルトランスフォーメーションとは
  2. デジタルトランスフォーメーションとカスタマーエクスペリエンス
  3. デジタルトランスフォーメーションでカギとなる3つの要素

デジタルトランスフォーメーションとは? 意味・定義

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、企業がデジタルテクノロジーとデジタル戦略を用いて、自社のカスタマーエクスペリエンス(CX)、業務プロセス、運営プロセス、組織文化を根本的に変革するための継続的な取り組みを指します。

デジタルトランスフォーメーションの例

  • クラウドコンピューティングなどのITモダナイゼーション
  • 従業員のスキルアップ
  • 人工知能(AI)などのデジタルツール導入による、創造性や問題解決能力といった人的スキルの問われるタスクへの人員増強
  • デザイン思考に基づいた、カスタマージャーニーにおける課題の発見と解決
  • 顧客ニーズの変化に合わせたプロセスの見直し
  • リモート中心の働き方への移行

デジタルトランスフォーメーションとデジタル化

今日では、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを推進していると豪語していますが、実際にはデジタル化を指している場合がほとんどです。

デジタルトランスフォーメーションとは、全社規模で大きな価値転換を促すような変化を取り入れる取り組みです。一方、Gartnerによると、デジタル化はそれほど大規模な取り組みではなく、各種サービスをオンラインに移行したり、旧来のビジネスモデルに新しいテクノロジーを取り入れたりすることを指します。

デジタルトランスフォーメーションとカスタマーエクスペリエンスの関係性

Zendeskのカスタマーエクスペリエンスシステム担当バイスプレジデント、Bruce Hartwellによると、デジタルトランスフォーメーションとカスタマーエクスペリエンスはビジネスの要となるものです。

Hartwellいわく、カスタマーエクスペリエンスはほんの数年前まで、1、2か所ほどの巨大なコールセンターで提供されるものに過ぎませんでした。

しかし、今はそうではありません。

「リモート化が進んだ今日では、さまざまな場所に点在するさまざまな従業員がかかわるものとなりました。企業には、従業員が離れた場所で共同作業を行っていても、お客様にその背景をまるで窺わせないような優れたツールが必要です」(Hartwell)

とは言え、ZendeskとESGの共同調査によると、パフォーマンスの高いカスタマーサービスチームは、パンデミックが始まってから高性能なシステムやツールの重要性に気づいたわけではありません。そうした企業では、将来を見通す力のあるリーダーによって、敏速なトランスフォーメーションを可能にするテクノロジーが以前から導入されており、変化し続ける顧客のニーズに適応できる文化が既に育まれていました。

つまり、パンデミックは、リモート化に関して企業が既に向かっていた方向へ歩みを進めるきっかけに過ぎなかったのです。

「Zendeskでは、システムが一元化されていなかったころから、チャネル、言語、居住地域などの面で、顧客1人ひとりに合わせてパーソナライズされたサポートを提供することの重要性を認識していました」(Hartwell)

Hartwellによると、CXトランスフォーメーションがここまで重要視されるのは、透明性を保ちつつ簡潔かつパーソナライズされたサポートを顧客に提供できなければ、企業はこの先生き残れないからです。

「立ち上げるまでに何年もかかる巨大なコールセンターと高額なテクノロジーの下では、トランスフォーメーションは実現できません。必要なのは、敏速かつ柔軟なシステムとプロセスです」

デジタルトランスフォーメーションの3つの柱

顧客ファーストなデジタルトランスフォーメーションは、主に以下の3つの要素から成り立ちます。

  1. ユーザー
  2. プロセス
  3. テクノロジー

それぞれの要素について、Zendeskのエキスパート3名に話を聞きました。

1.ユーザー

顧客ファーストなデジタルトランスフォーメーションを実現するには、最初にユーザーについて考える必要があります。ユーザーとは顧客だけでなく従業員も含み、両者のエクスペリエンスは切っても切れない関係にあります。

ここでは、ユーザーの視点を取り込みながらトランスフォーメーションを推進するために重要なポイントをご紹介します。

  • だれに、何が、どのような理由で、いつ行われるのかを明確にする
  • ユーザーから支持を得られるようなビジネストランスフォーメーションを実現するには、透明性が不可欠です。とは言え、よく整理しないまま情報を共有してしまうと、従業員から不信感を持たれてしまいかねません。

    ユーザーファーストなトランスフォーメーションを実現するには、何を変更するのか、なぜそれを行うのか、いつ変更が実施されるのか、それによってだれが影響を受けるのかといった点をまずは明確にすることが大切です。

    Zendeskの変更管理担当シニアマネージャー、Dana Ottoは、トランスフォーメーションによって影響を受けるユーザーをまとめて「関係者」と呼んでいます。

    従業員やマネージャー、トレーニングチーム、HRビジネスパートナー、ベンダーのほか、トランスフォーメーションを推進、承認する立場にある人物も場合によっては関係者と見なされます。

  • トランスフォーメーションに対するユーザーの反応を評価する
  • トランスフォーメーションは、終始トップダウン型で推し進めるべき取り組みではありません。

    フィードバックループを構築し、関係者から直接話を聞く場を設けましょう。

    関係者の反応がつかめれば、コミュニケーション、トレーニング、マネージャー支援に関する計画が立てやすくなります。

    たとえば、カスタマーサービス部門でAIの導入が進んでおり、自分たちの職が奪われるのではないかと担当者が不安を覚えている場合は、その心配はないとマネージャーの口からはっきり伝える必要があります。

    Ottoは次のように話します。「関係者は最終的な意思決定を行う立場にあるわけではありませんが、彼らの不安を拭って意見を尊重する姿勢を示せば、トランスフォーメーションを推進しやすい空気を社内に作ることができます」

    「関係者の不安を拭って意見を尊重する姿勢を示せば、トランスフォーメーションを推進しやすい空気を社内に作ることができます」Zendesk、変更管理担当シニアマネージャー、Dana Otto

  • 最初に目的を説明する
  • 調査では、65%のシニアマネージャーが、トランスフォーメーションに向けてチームを率いる際に最も大切な要素はコミュニケーションであると回答しています。

    Ottoは、多くの企業が犯しがちな失敗として、トランスフォーメーションを実施する目的を最初に明示していないことを挙げています。

    「自社のOKR(Objectives and Key Results:目標と成果指標)や企業目標に直接関係しているかどうかにかかわらず、ユーザーには必ずトランスフォーメーションの目的が知らされるべきです。中には乗り気でないユーザーもいるかもしれませんが、目的が理解できれば、多少はその気持ちが和らぐかもしれません」

  • ユーザーが変更点を事前に認知し準備しておけるように、適切なロードマップを作成する
  • Ottoによると、優れたトランスフォーメーションロードマップがあれば、ユーザーが事前に変更点を認知し、準備しておけるようになります。

    具体的には、認知を高めるには十分なコミュニケーションが、準備を整えてもらうには万全なトレーニングが必要です。包括的な計画では、どちらの要素も盛り込むことが大切です。

  • 成功指標を継続的に測定する
  • Ottoいわく、人間については予測困難な部分が多く、結果を数値化するのも難しいことから、ユーザーファーストなトランスフォーメーションの成果を測定することは容易ではありません。

    トランスフォーメーションに関する取り組みでは、最終段階だけでなく、コンスタントに成功指標を測定するとよいでしょう。業務プロセスをガラリと変えたものの、結果的にうまくいかなかったら一大事です。少しずつ状況を見ながら調整を加えていく方がはるかに簡単です。

    Otto自身は、アンケートやインタビューを通して、ユーザーの認知度(具体的な変更点とその目的についてどれくらい理解しているか)や準備(変化に向けてどれくらい準備をしているか)といった指標を測定しており、いずれの指標も時間の経過と共に改善されていることがわかっています。

2.プロセス

顧客ファーストな企業は、自社が利益を得るためではなく、ユーザーにとって価値のあるプロセスを構築するためにテクノロジーを導入します。

業務プロセスや運営プロセスを見直す際は、以下のポイントを心に留めておくと、価値の転換という大きなビジョンを見失わずに済むでしょう。

  • 顧客を理解する
  • 顧客ファーストな企業では、大規模な変化を取り入れる際、顧客のニーズと関連づけて統合的なアプローチでトランスフォーメーションを推進します。

    Zendeskの製品成長&収益化担当バイスプレジデントを務めるNishanth Babuは、次のように話します。「自社の顧客層とそのニーズを見極めることが大切です。そのためには、お客様から継続的にフィードバックを収集する必要があります」

    「自社の顧客層とそのニーズを見極めることが大切です」Zendesk、製品成長&収益化担当バイスプレジデント、Nishanth Babu

    事実、調査結果から、かねてより顧客からのフィードバックに基づいて、顧客ニーズにすばやく応えるためのプロセスを整えていた企業では、コロナ禍でもスムーズに変化を取り入れられたことがわかっています。

    顧客からのフィードバックには、購買行動や製品・サービスの使用方法をはじめとした間接的なものと、サポート担当者やネットプロモータースコア(NPS)調査を介して寄せられる問題などの直接的なものとが含まれます。

    フィードバックを基に考えたいこと

    顧客はどういった点を改善してほしいと考えているでしょうか? また、それをどのように改善すれば、トランスフォーメーションに関する目標を達成できるでしょうか?

  • 顧客にとってできるだけシンプルなプロセスを構築する
  • ビジネスプロセスは、ユーザー、システム、情報が複雑に絡み合って成り立つものですが、顧客にしてみればそんな背景は知ったことではありません。

    課題の改善であれ、サプライチェーンの合理化であれ、どんなプロセスも顧客にとってシンプルなものでなければなりません。

    Babuは次のように話します。「お客様にはそれぞれの生活があり、身の回りで気にかけるべきことが山ほどあるのです。企業は、お客様にとってできる限りシンプルなプロセスを構築しなければなりません」

    「お客様にはそれぞれの生活があり、身の回りで気にかけるべきことが山ほどあるのです。企業は、お客様にとってできる限りシンプルなプロセスを構築しなければなりません」
    Zendesk、製品成長&収益化担当バイスプレジデント、Nishanth Babu

  • データ全体を俯瞰する
  • データを有効活用して成果につなげる目的で、デジタルトランスフォーメーションを実施する企業は少なくありません。

    ただし、顧客ファーストであるためには、データ全体を俯瞰して別の情報との関連性を読み解く必要があります。

    たとえば、Vimeoの製品チームは、サポートデータの分析結果を活用して、製品の変更が関係者全体にプラスの影響を生むような製造プロセスを構築することに成功しました。

    「データ単体でも何かしらの情報は得られるでしょう。しかし、問題の原因を特定して、有意義で大きな成果を得るには、対象のデータだけでなく、データ全体を俯瞰してさまざまな角度から分析する必要があります」(Babu)

    「問題の原因を特定して、有意義で大きな成果を得るには、対象のデータだけでなく、データ全体を俯瞰してさまざまな角度から分析する必要があります」Zendesk、製品成長&収益化担当バイスプレジデント、Nishanth Babu

    従来のシステムやプロセスでは、データが分散されていて全体像を捉えることが難しく、シームレスとはほど遠い一貫性に欠けたカスタマーエクスペリエンスが提供されていました。しかし今日では、CRMソフトウェアなどのツールを使うことで、企業はサポート、マーケティング、製造、営業といったカスタマージャーニーの各タッチポイントを結びつけたプロセスを構築することができます。

    「カスタマージャーニーの一部始終を把握し、その全体像やビジネス全体に与える影響をつかめれば、データをより有意義に活用できるようになります」(Babu)

  • パーソナライゼーションを文化に根付かせる
  • デジタルトランスフォーメーションに関する文脈で、よく使われるのが「パーソナライゼーション」や「カスタマイゼーション」といったバズワードです。

    パーソナライゼーションは、優れたカスタマーエクスペリエンスに欠かせない要素の1つです。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2020」によると、自分の好きなチャネルでやり取りしたい、タイプや状況に応じてサポート内容を変更してほしい、購入履歴や検索履歴に基づいて製品をお勧めしてほしいなど、パーソナライズされたサポートを期待している顧客の割合は76%にのぼっています。

    とは言え、適切にパーソナライズされたエクスペリエンスを生み出せるようなプロセスを、一夜にして構築することはできません。

    「パーソナライゼーションは望ましい要素ではありますが、多くの場合、初めからいきなり取り組むようなことではありません。まずは根本的な変革を行い、基盤づくりに徹するべきです。起業したばかりのスタートアップなら、最初からうまく軌道に乗せられるかもしれませんが、既にある製品やビジネスモデルを刷新する場合は、企業文化そのものを変革することにつながるため、段階的に取り組むべきです」(Babu)

    カスタマーサービス部門だけでなく、社内のあらゆる部門が常に顧客を中心に据えたプロセスを構築することが大切です。

3.テクノロジー

ZendeskとESGの共同調査によると、顧客ファーストなトランスフォーメーションを実現している企業は、CXテクノロジーの質を重視しており、その投資に関する判断も全社規模で行っています。

うまく機能しないテクノロジーほど苛立たしいものはありません。事実、どんな時期にも成果を出し続ける企業は皆、優れたツールに投資しています。

Hartwellは次のように話します。「CXテクノロジーは、正しく使えば大きな利益につながり、高い費用対効果が見込めます。一方で、正しく使わないと、せっかく投資したところでマーケティングや営業の利益につながらず、大きな痛手を被ることになります」

以下では、デジタルトランスフォーメーションの「パズル」にテクノロジーという「ピース」をうまくはめていくためのポイントをご紹介します。

  • 価値創出までの時間を重視する
  • デジタルトランスフォーメーションと聞くと、以前なら、導入に何年もかかる高額なシステムが必要だと考える人も多かったのではないでしょうか。

    しかし、革新的な企業の取り組みから、トランスフォーメーションの価値を生み出すまでには数年どころか数か月もかからないことがわかっています。

    「かつての巨大で扱いにくい高額なシステムは、変化の速い今の社会では通用しません。今日では、より低いコストで迅速に価値を生み出すことが可能です。さらに、インフラへの投資を徐々に増やしていけば、価値を継続的に高めていくこともできるでしょう」(Hartwell)

    「かつての巨大で扱いにくい高額なシステムは、変化の速い今の社会では通用しません」
    Zendesk、カスタマーエクスペリエンスシステム担当バイスプレジデント、Bruce Hartwell

    ポイント

    デジタルトランスフォーメーションの取り組みでは、終始一貫して価値を重視し、変化を取り入れた後もその姿勢を保つことで、常に価値を維持し高め続けることができます。

  • エコシステムを構築する
  • Hartwellによると、自社で使用するテクノロジーは、ツールのエコシステム、あるいは複数のツールが共存するシステムのアーキテクチャとして捉える必要があります。

    「1つひとつのシステムを構築するのではなく、ブロックを組み立てるように複数のシステムを寄せ集めて1つのエコシステムを構築することが求められます。将来的には、クラウドベースのSaaSソリューションが複数導入され、それぞれの分野で効果を発揮しつつ、全体でもうまく連携されるといったことが可能になるでしょう」

    「1つひとつのシステムを構築するのではなく、ブロックを組み立てるように複数のシステムを寄せ集めて1つのエコシステムを構築することが求められます」Zendesk、カスタマーエクスペリエンスシステム担当バイスプレジデント、Bruce Hartwell

    また、うまく機能しないソリューションがある場合には、全体を再構築しなくてもソリューション単位で入れ替えられるような柔軟な環境も必要です。Hartwellいわく、「ブロックを1本だけ抜き、そこに新しいブロックをはめ込む」ようなイメージです。

    実際、トランスフォーメーションをうまく推進している企業は皆、柔軟な環境を構築しています。そうした企業では、テクノロジーに合わせてビジネスの方向を定めるのではなく、自社の目標を達成するためにテクノロジーを能動的に活用しています。

  • 新しい働き方に対応可能なツールに投資する
  • Hartwellによると、今後はオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド型の働き方が定着していきますが、後者がメインとなっていきそうです。

    「多大なコストをかけて会社という箱を作るといった従来の考え方は、影を潜めていくでしょう。部屋に入ってごく自然に明かりをつけるように、自宅からバーチャルな環境で同僚と話をすることも、今後は当たり前のことになっていきます」

    ビジネスツールも、新しい働き方に合うものが必要です。以下の要素を備えたシステムを導入しましょう。

    インタラクティビティ

    チームに必要なのは、可用性が高く、デジタルな環境でも同僚や顧客と隣で話しているかのようにやり取りできる、高度にインタラクティブなツールです。
    ビデオ会議のように顧客とリアルタイムでやり取りできるツールと、メッセージングチャネルのように非リアルタイムでも使えるツールの両方が必要です。

    柔軟性

    柔軟なシステムがあれば、従業員は場所を問わず働くことができ、企業も自前でデータセンターを構築、維持する必要がありません。

    クラウドベースのソフトウェアなら、リモートサーバー上でデータを運用、格納できるため、使用方法や使用場所が限定されません。

  • テクノロジーの存在を意識させない
  • 優れたデジタルツールとは、顧客や従業員にその存在を意識させることなく機能するものです。

    テクノロジーは業務をスムーズにしてくれるものですが、既存のシステムにうまく統合できないと、面倒を引き起こす種にもなり得ます。

    たとえばチャットボットは、うまく活用できれば、裏で動くテクノロジーを意識させることなく、顧客にパーソナライズされた回答をすばやく提供できますが、うまく活用できないと、テクノロジーの存在が悪い意味で意識されることになります。

    自動車のギアをリバースに切り替えるとき、その仕組みについていちいち考えることはありません。ただ車がバックすることを期待するだけでしょう。バーチャルの世界でもそれは同じだと、Hartwellは話します。

    Hartwellが語る、テクノロジーを意識させてはならない2つの対象

    企業は、顧客にテクノロジーを意識させないようにすることはもちろん、バックエンドの従業員に関しても、テクノロジーを強く意識せずに済むような環境を整えなければなりません。

    カスタマーサービスソフトウェアに関しても、バックエンドでチャネルや情報が統合されていないと、顧客が複数の部門をたらい回しにされたり、何度も同じ説明を繰り返したりしなければならず、顧客にとっても担当者にとっても大きなストレスとなります。

  • 顧客の動きに合わせたアジリティを強化する
  • 企業にとってデジタルトランスフォーメーションは、革新的な方法で成長し、変化する市場の状況に対応して、将来起こり得る混乱も乗り切れるようにするために必要な取り組みです。

    お馴染みのAmazonなど、早いうちからトランスフォーメーションに取り組んでいた企業は、顧客のニーズに合わせて速やかに方針を変更し、需要が低下した製品やサービスからはすぐに手を引いています。

    Hartwellは次のように話します。「多くの人は、アジリティを単に『機敏に対応する』ことだと考えていますが、補足すると、そこには『増大し続ける価値を手に入れるため』という目的が伴います」

    「多くの人は、アジリティを単に『機敏に対応する』ことだと考えていますが、補足すると、そこには『増大し続ける価値を手に入れるため』という目的が伴います」Zendesk、カスタマーエクスペリエンスシステム担当バイスプレジデント、Bruce Hartwell

    つまり、アジャイル思考を用いれば、すばやく成果を出せる一方で、増大し続ける価値を手に入れ、トランスフォーメーションに関してさらに高度な目標を達成できるようになります。

    「ビジネスには変化が必要です。1つのツールやプラットフォームに重点的に投資していると、事業方針を大幅に変更する際に、一からシステムを入れ替えるとなれば莫大なコストがかかります」(Hartwell

  • 顧客が好むチャネルに対応する
  • SNSをはじめとした最新のテクノロジーは、顧客にとって負担の少ないエクスペリエンスを実現する手段の1つです。

    今日の顧客は、友人や家族に連絡するときと同じ手段で企業ともやり取りしたいと考えています。つまり、会話形式で手軽かつパーソナライズされたサポートを受けたいのです。

    たとえばWestJetでは、Facebook Messengerボットを利用して顧客からのメッセージに速やかに応答しているだけでなく、Messengerのスレッド内で関連するプロモーションやフライトの予約サービスも提供しています。

    「メールで企業に問い合わせて返信を待つという方法は、ひと昔前のものです。今日の顧客は、自分にとって最も都合の良いチャネルを通じて、会話形式で迅速なサポートを受けられることを望んでいます」(Hartwell)

  • AIと人間の力を融合させる
  • 現在、企業の60%以上が何らかの用途でAIを利用しています。

    AIや機械学習は、低コストでの業務拡張、ビッグデータの解析、優れたカスタマーエクスペリエンスの構築を可能にします。ただし、あくまで従業員の能力を補うツールとして使った場合に限ります。

    カスタマーサービス部門なら、顧客から頻繁に寄せられるリクエストの対応をチャットボットに任せると、人間の力が必要な難しいタスクに担当者が集中できるようになります。また、マーケティングの分野では、AIに膨大な量の顧客データを読み込ませると、マーケターがそれをヒントに、高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを顧客に提供することができます。

    ポイント

    AIは人員削減のための手段ではありません。

デジタルトランスフォーメーション戦略は、常に顧客ファーストを念頭に

デジタルトランスフォーメーションは困難を伴いますが、企業にとって必須の取り組みです。

従業員の働き方、業務プロセス、テクノロジーについて再検討する際は、顧客を常に中心に据えることで、スムーズに価値の転換を図れるでしょう。

顧客ファーストを徹底すれば、企業は単にデジタルトランスフォーメーションを達成するだけでなく、デジタルリーダーへと成長できるようになります。