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プロアクティブサポート:カスタマーエンゲージメントへの道のり

更新日: 2024年1月30日

不信の時代だからこそ重要なプロアクティブサポート

大量のスパム、個人情報管理の杜撰さ、日常化したデータの悪用。社会的不信感はかつてないほど膨れ上がっています。こうした状況を背景に、顧客は常に最悪のケースを前提とするようになっています。だからこそ、顧客の信頼を勝ち取ることに意義があるのです。企業によるカスタマーケアでは、状況に対して受け身(リアクティブ)に反応するのではなく、先読みして行動する積極的(プロアクティブ)な姿勢が重要です。

プロアクティブなサポート/エンゲージメントは、顧客に信頼感を与え、長期的関係を築くのに役立ちます。では、何をもって「プロアクティブ」と呼ぶのでしょうか?

プロアクティブサポートとは、顧客が直面するであろう問題を先読みし、早い段階で解決したり、さらには問題を未然に防ぐことを指します。プロアクティブエンゲージメントとは、顧客に頼まれなくても、顧客に前提知識がなくても、より利便性の高いカスタマーエクスペリエンスを企業側から進んで提供することを指します。

具体例としては、搭乗予定のフライトの出発が遅れることを知らせるテキストメッセージや、お気に入りのスニーカーの新デザインを紹介するメール、伝票に書かれた配送先住所に間違いがないか確認する電話などが挙げられます。

プロアクティブなサポート/エンゲージメントは、標準的、すなわちリアクティブなサポートを凌駕します。リアクティブサポートでは、問題を抱えた顧客が連絡してくるまで待つことが前提になりますが、連絡をしてきた時点で、既に顧客はブランドに対して苛立ちを感じている可能性があります。問題を抱えた顧客が連絡してくるまで待つということは、観葉植物が萎れてから水やりをするようなものです。

プロアクティブサポート/エンゲージメントのメリット

 

  • カスタマーロイヤルティの向上

    顧客と積極的に関わり合うほど、顧客との関係は長く続いていく可能性が高まります。実店舗では、販売スタッフが顧客との個人的なつながりを大切にしながらセールスを行っています。顧客についての情報、顧客の好みに合いそうな商品、自分自身のセールス経験など、あらゆる知識を総動員しています。Eコマースの時代には、プロアクティブなエンゲージメントを通じて、オンラインで顧客と個人的につながり、ロイヤルティを築いていきます。

  • CSAT(顧客満足度)の向上

    チャットにおけるCSATは、実に92%がプラスに評価されています。自分に関心を持ってほしいと思うのは、誰もが持つ習性のようなものです。そのため、オンラインチャットなどを使った顧客への積極的な働きかけは、総じて好意的に受け取られます。満足度が高まれば、顧客はそのブランドから商品を購入する確率が高くなります。

  • 売上の増加

    ある調査によれば、疑問に対する答えがすぐに見つからなければ、購入をやめると回答した消費者は55%にも上っています。顧客がチェックアウトのページで躊躇する様子が見られたら、一声掛けるだけで顧客の問題を解決したり、疑問に答えたりできるかもしれません。だから、プロアクティブなサポート/エンゲージメントが必要なのです。Forresterの報告書によると、リアルタイムで顧客にリーチし、プロアクティブなサポートを提供すれば、売上が最大で29%増加する可能性があります

プロアクティブな魔法の効き目は、数字に表れています。Spartan Raceでは、オンラインチャットによるプロアクティブサポートを追加してから、オンラインストアの売上高が27%増加、チャットに対する顧客満足度は97%となっています。

では、顧客へのプロアクティブなサービスやエンゲージメントが、ビジネスにどう貢献するかを見ていきましょう。

プロアクティブエンゲージメントが光る!
6つのシチュエーション

  • 1. オンボーディング


    顧客が製品に慣れるまでのオンボーディング期間は、きわめて重要です。製品を使いこして何ができるかを理解するまでには、幾つかのハードルがあります。面白くてためになる、有益なヒントの提供はエンゲージメントのひとつであり、優れたカスタマーエクスペリエンスの提供につながります。

    たとえばサンフランシスコでレンタルバイクのサービスを展開しているScootでは、初めて電動スクーターに乗る人に対し、オンラインで短時間のコースを受講してテストに合格することを義務付けています。オンラインコースのお知らせとともに、初めての乗車に対する不安を拭い去るのに役立つヒントやアドバイスを送っています。
    優れたカスタマーサービスの例としてはもうひとつ、Slackが挙げられます。同社では、積極的なカスタマーエンゲージメントとオンボーディングのために、Slackbotを開発しました

    2. サポート

    顧客にリーチする方法として最も当然かつ重要なのが、プロアクティブサポートです。たとえば特定の難しい状況にある顧客に向けて関連メッセージを送ったり、問題の解決をサポートします。SaaS製品には(どんなタイプの製品でも)、新規ユーザーから見て難解に感じられる部分が往々にしてあるものです。そんなとき、カスタマーサービスの改善につながる優れたプロアクティブサポートとは何でしょうか? 顧客に製品内メッセージを送信し、正しい使用手順やベストプラクティスを伝えます。これによって非常にスムーズなカスタマーエクスペリエンスが得られ、サポートチームが顧客の質問に答える時間も節約されるのです。

    3. リスク回避(Mitigate)


    継続中の未解決問題や、予定されているサービス更新について、事前に最新の情報を顧客に知らせておくことが重要です。たとえば、ソフトウェア更新を実施した直後の状況を想定してみましょう。すべて滞りなく進むのが理想的ですが、起こるかもしれない不具合に備えておく方が現実的ですし、有益でもあります。ソフトウェア更新の期間中、顧客に情報提供をし続けておけば、更新の影響によって問題が起こった場合にも、サポートチームの時間を節約できます。それと同時に、顧客からの信頼感が確かなものになります。

    4. 通知(Notify)


    もうひとつ、優れたエンゲージメントとして挙げられるのが、新製品、新機能、次のステップ、新しいスタイルについての最新情報を随時、提供することです。たとえばCinemarkでは、劇場公開予定の新作映画について、そのタイプの映画に関心がありそうな顧客に向けて、事前の告知を送っています。Zendeskでも、ウェビナーの出席者を増やす目的で、関心があると思われる顧客セグメントを対象に、キャンペーン管理ツールの「Zendesk Connect」を使って製品内メッセージを先行的に配信しています。

    5. 育成(Nurture)


    カスタマーエクスペリエンスは非常に広い範囲に及んでいて、顧客がどのようにブランドに関わっていくかには様々な要因が関係してきます。プロアクティブエンゲージメントは、カスタマージャーニーの鍵のひとつです。各種の提案、興味深い情報、あるいは製品に関するベストプラクティスや業界のトレンドなどを提供することで、顧客との関係が育まれ、信頼を得やすくなります。調査でフィードバックを入手する方法も有効です。

    6. アップセル

    顧客との関係構築に成功したら、過去に顧客が興味を示したことに関連性のある、新しいオファーで追加購入をそれとなく促すことにより、先回りする形でカスタマージャーニーを延長できます。顧客が前に使ったコンタクトポイントを利用して、問題への解決策となるようなアップセルを提案するのが得策です。結果として、長期にわたって顧客との関係を維持できるようになります。

まとめ

プロアクティブなカスタマーサポート/エンゲージメントは、顧客のつまずきそうな問題を先回りして解決し、顧客が必要な情報を簡単に見つけられるにするだけでなく、顧客に適切な指示を与えるだけで、顧客自身がセルフサービスによって問題を解決できるようサポートします。顧客が助けを求めてくるまで放置せずに、プロアクティブなサポート/エンゲージメントを活用すれば、長期的な関係を構築する可能性があります。

カスタマーサポートの分野では、顧客にリーチできる手段が、Web、モバイル、メッセージング、ライブチャットなど、かつてないほど豊富になっています。業界と製品が進化するにつれて、プロアクティブなカスタマーサポートに必要な知識もどんどん変化しています。自社のサポート戦略を見直し、より多様で積極的なコミュニケーション方法について考えてみるべき時期が訪れています。

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