コールセンターの管理者は「仕事内容や役割がはっきりしない」と言われることがあります。これは、それぞれの職場によって「管理者に求められる役割」が異なることが原因です。とはいえ、「オペレーターを管理する立場」と考えれば、共通して求められる役割やスキルは自然と明確になるでしょう。ここでは、コールセンターの管理者に求められる仕事やスキルについて説明します。
コールセンターの管理者の役割
コールセンターの管理者は、一般的にスーパーバイザーと呼ばれています。オペレーターの指導や教育、現場管理などを行う立場です。管理者の仕事は多岐にわたり、現場全体をコントロールしなければなりません。そのため、コールセンターの質は「管理者の質」であるとも言われるほどです。
コールセンターの管理者には、大きく分けて3つの役割があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
コールセンターの管理者の業務

管理者としての役割を果たすために、スーパーバイザーには次のような仕事があります。
コールセンター全体を管理し、他の部署との調整を図るものです。
- コールセンターの運営
- コールセンター全体の品質管理、生産性管理、損益管理
- 業務改善計画の策定と実行
- コールセンターの人間関係の調整
- 中間管理職として他の部署や管理部門との調整
オペレーターの直接の上司として、指導や管理を行います。
- 新人オペレーターの教育
- オペレーターのパフォーマンス評価やスキルチェック
- オペレーターの対応についての指導
- オペレーターの教育プラン作成および実行
- オペレーターのケア(モチベーションの維持管理)
- オペレーターのシフト作成や勤怠管理
上位のオペレーターとして、オペレーターだけでは難しい顧客対応を行います。
- エスカレーション対応
- クレーム処理
- 上司や他部署、クライアントへの企画・提案・報告
コールセンターの管理者に必要なスキル

これらの仕事を処理するため、管理者には次のようなスキルが求められます。
管理者には、文字通り管理能力が必要になります。日々、コールセンターの品質管理や生産性管理、人事管理など、さまざまな管理を行うためです。ただし、管理者が具体的な管理方法や目標数値を確立していないコールセンターも多く、管理能力の向上が求められています。
管理者には、オペレーターを指導・育成する能力とリーダシップ(統率力、指導力)が求められます。オペレーターの育成は、管理者の重要な業務のひとつです。さらに、特定のオペレーターを贔屓(ひいき)しないで全体を公平に見る目や指導力も必要になります。
職場の人間関係に問題がある場合には、その原因を発見し、解決していく調整能力が必要です。オペレーターの人間関係が悪くなると、コールセンター全体のレベルが低下してしまいます。また、他の部署や管理部門との調整を行うことも管理者の仕事になります。
管理者は、オペレーターに業務指導を行うため、オペレーターとしてのスキルも必要になります。指導力とオペレーターとしてのスキルは別物ですが、オペレーターとしての業務知識や顧客対応の能力が低いと、管理者の指導に従ってくれるオペレーターも少なくなってしまいます。
また、エスカレーションやクレームに対応するときは、管理者自身が顧客対応を行う必要があります。この際にしっかりとした対応ができないと、オペレーターからの信頼を失い、指導や管理が難しくなるでしょう。
他の部署や外部から管理者を起用した場合、オペレーターとしてのスキルが低くて業務内容を把握しきれず、管理業務まで上手くいかなくなるケースがあります。このような場合は、オペレーターとしてのスキルを自主的に身につける必要があります。
管理者には、上に記したような能力が求められます。とはいえ、これらのスキルを完全に習得している管理者は少ないものです。管理者はコールセンターの要になる立場なので、すでに完成された優秀な管理者を募集するだけでなく、現在の人材を活用していく必要もあります。それには2つの方法があります。ひとつ目は、オペレーターの中から素養のある人材を管理者として育成していくことです。2つ目は、管理者向けの研修を行ってスキルアップを図り、より能力のある管理者として育成していく方法です。
まとめ:コールセンターを動かしているのは管理者
コールセンターの管理者は、オペレーターほど表に出ることはありません。しかし、コールセンターをスムーズに動かすには、管理者の指導力や管理能力が求められます。つまり、コールセンターをうまく運営していくには、管理者の資質や能力がカギとなるのです。コールセンターでは、オペレーターの育成だけでなく、能力のある管理者の育成も求められています。