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チャット/チャットボットで社内問い合わせ業務を効率化

更新日: 2023年9月9日

総務、経理、人事、労務、法務、社内ヘルプデスクなどのバックオフィス部門は、社内問い合わせ対応に多くの時間を費やしており、効率が悪いと感じている企業は少なくありません。社内問い合わせには、同じ内容の問い合わせやマニュアルを読めば分かるような簡単な問い合わせが多く含まれます。これらに電話やメールで対応すると、1対1の個別対応になり非効率です。

効率を上げるには1対nの同時複数人対応ができるようにすることが必要です。同時に複数人対応が可能な手段として、チャット/チャットボットや社内FAQなどがあります。今回は社内問い合わせ対応業務の効率化を実現できる方法・手段について解説します。

社内問い合わせを受け付ける手段

問い合わせの受付手段は大きく分けると以下の2つです。

(1)1対1の対応が必要な受付手段

電話

電話は直接会話ができるため、微妙なニュアンスも伝えやすく意思疎通の図りやすい手段です。しかし、担当者は業務を中断して対応しなければならないため、業務の遂行に支障が出る可能性があります。一方、問い合わせする側のデメリットは、担当者が離席中などの場合、すぐに回答が得られないことです。

また、電話では図や表などを示せないため、的確な回答を得るまでに必要以上の時間を要する場合があります。さらに、説明が個々の担当者のスキルに依存するため、回答の品質に個人差が生じやすく、担当者によってはやりとりに余分な時間を要する可能性があります。

メール

電話と異なり業務を中断しなくても回答できるメリットがありますが、回答が遅れることで、催促を受けたり、クレームになったりする可能性があります。また、文章を考えてテキスト入力する時間が必要であるほか、細かなニュアンスが伝えられないため、やりとりが何回も必要になることもあり、電話よりも時間や手間が多くかかります。

回答の品質に個人差が出る問題は、電話と違ってメールの場合、回答者以外の社員が回答内容をチェックすることで回避できます。しかし、余分なプロセスが入ることで効率が低下し、回答までの時間が長引きます。

(2)1対nの対応が可能な受付手段

チャット/チャットボット

チャットを利用の場合、テキスト入力が必要であるとはいえ、複数人からの問い合わせに同時に対応できます。また、問い合わせに対する回答を自動化できるチャットボットを導入すれば、担当者不在でも365日24時間の受付・回答が可能です。チャットボットで回答できない場合、社内FAQのコンテンツや回答が可能な部門への案内、あるいは担当者が対応するチャットに引き継ぐことで効率化を促進できます。

なお、最近ではFacebook MessangerやLINEなどのメッセージングアプリをカスタマーサポートに活用する企業が増えています。メッセージアプリなら、チャットと同じくテキストでメッセージのやりとりができます。その違いは、チャットの場合はメッセージのやりとりをしないと接続が切れるため、あらためてメッセージのやりとりが必要なのに対し、メッセージアプリではその必要がないことです。メッセージアプリはメールと同様に、あとから時間のあるときに返信できます。

このようにメッセージアプリには、チャットやメールにない機能やメリットがあるため、社内のコミュニケーションツールとして、メッセージアプリを利用している場合は、社内問い合わせ対応にも活用できる可能性があります。

チャットボットの回答イメージ

社内FAQ(社内ポータルサイト、社内マニュアル)

従業員からよく寄せられる問い合わせと回答を社内向けFAQやポータルサイト、マニュアルとしてまとめて作成すれば、従業員は困ったことがあれば、FAQの記事を読み、自ら解決することができます。社内向けページ公開後に、社員にまずはFAQを検索し、FAQにないときに問い合わせをするように意識付けすることで、社内問い合わせ件数の削減ができ、業務の効率化が可能です。

ただし、FAQの内容が少ない、あるいは検索しにくく使いにくいと、社員は使うのが面倒になって結局は問い合わせ件数が減らず、効率化できません。FAQシステムを導入すれば、短期間で社内FAQサイトを構築することができます。チャットやチャットボットと連携できれば、業務効率化において相乗効果をを発揮できます。

社内問い合わせツールとしてのチャットボットの実力

チャットボットでできること、利用するメリット、および効果が期待できる問い合わせの内容、業務・部門について紹介します。

チャットボットでできること、得られるメリット

  • 問い合わせ対応の自動化による効率化と回答する側の負担の軽減

    チャットボットは、テキストによる問い合わせに対して回答を自動的に提示するため、問い合わせ対応を自動化(省人化)でき、業務を効率化できます。24時間365日いつでも回答が可能となり、問い合わせした人の利便性も向上します。働き方の多様化による働く時間帯の変動や、人材の流動化による基本的な問い合わせの増加などの対策に効果的です。

    チャットボットシステムによっては、問い合わせ担当者を特定のWebページに誘導するためのフローを設計することもできますし、AI搭載型チャットボットならユーザーが入力した内容に基づいて、AIが解決につながるFAQ記事を自動で返し、ユーザーのフィードバックを受けて学習していくことも可能です。

    Zendeskのチャットボットの設定画面: ドラッグ&ドロップで回答フローの作成が可能

  • 複雑な問い合わせに集中でき、事前ヒアリングによって対応の手間も軽減

    回答担当者はチャットボットで解決できない問い合わせのみに対応すればよくなり、複雑な問い合わせに集中できます。また、チャットボットによってあらかじめ問い合わせの種類、概要など基本的な情報を収集できれば、人間の担当者から回答に必要なヒアリングの手間の一部を省けます。

  • 問い合わせ対応にかかるコストの削減

    社内からの問い合わせに対応する時間が削減できると、回答担当者は付加価値の高い本来業務に集中できます。経理上の人件費は変わりませんが、付加価値の高い業務やより幅の広いの業務に時間を使えるようになり人件費を有効に利用でき、コスト削減と同等の効果を得られます。また、問い合わせ業務の効率化で担当者の総人数を削減できれば、経理上の人件費の削減もできます。

  • 回答品質の均一化(属人化の防止)

    人間の担当者が顧客とやり取りする場合は、担当者の経験、スキル、知識のレベルに回答が左右される場合がありますが、チャットボットは予め設定した内容に基づいて回答するため、一定の品質で回答できます。また、フローの設計やFAQ記事の作成など、経験、スキル、知識に優れた担当者のナレッジをチャットボットに生かすことで、ナレッジの属人化を防止するとともに、回答の質を上げられます。

  • 問い合わせする側の利便性、生産性の向上

    回答までの時間がかる、待たされる、たらい回しにされる、回答者が要領を得ないといった、問い合わせする側の問い合わせ時の不満を軽減できます。また、24時間対応ができるので、昼食時間中や就業時間後をはじめ、いつでも必要なときに回答が得られ、問い合わせ者に利便性や生産性が向上します。さらに、問い合わせる内容によっては人間の担当者に質問することに心理的な負担、ためらいが生じることもありますが、チャットボットであれば気軽に質問できるのもメリットのひとつです。

チャットボットに適した問い合わせと効率化できる業務・部門

  • チャットボットに適した問い合わせ

    チャットボットに向いているのは、問い合わせ頻度が多く、定型的かつ明確に回答できる問い合わせです。例えば「Aの処理にはBの申請が必要」「パスワードを忘れたら、この手順でリセットできる」「パソコンを紛失したら、ここから報告・申請する」など、回答を明確に一意的にできる問い合わせが適しています。

  • チャットボットで問い合わせ対応を効率化できる業務・部門

    基本的には業務の種類に関係なく、上述のようなチャットボットに適した問い合わせが多く生じる業務であれば、すべて対応効率を上げられます。例えば以下のような業務・部門です。

    (1)事務処理に必要な申請や手続きなどの書類に関する基本的な問い合わせが多い業務

    これらに関する問い合わせは、就業規則や業務マニュアルなどを読むことで自己解決できることが多く、自動応答できるチャットボットに適しています。

    (2)FAQを用意していても利用されにくい部門

    就業規則や業務マニュアルなどを検索しやすくして社内FAQとして公開しても、利用されにくい部門があります。例えば業務範囲が幅広い人事部門や総務部門などが、充実した社内FAQを作成するために、様々なカテゴリーでどんどんFAQを作っていきFAQが膨大な数になった場合、いくら検索機能をつけたとしても、ユーザーが上手に検索できずに「聞いたほうが早い」と思われてしまいます。

    また、人材の入れ替えが激しい部門の場合、業務マニュアルやノウハウをまとめたとしても、ユーザーがどういうコンテンツがあるのかや検索すべきキーワードを把握していない場合があります。この場合は、効率的にFAQを検索できないことから電話やメールを使いがちになりますが、チャットボットを活用してよりシンプルにユーザーを案内することで、よりスムーズにユーザーが探しているFAQ記事へ導くことができます。

    (3)働く時間帯や曜日が異なる部門

    リモートワークが進んでいる部門や、本社・支店の営業日と異なる店舗、現場事務所などの部門には、365日24時間稼働で自動回答できるチャットボットが適しています。

チャットボットの利用に向いている具体的な部門名

チャットボットの活用が有効と考えられる具体的な部門名は以下のとおりです。

・事務処理方法や申請の手続きなど基本的な問い合わせを多く受ける「総務・人事・経理部門」
・IT関連(パソコン、ネットワーク、その他のツール)に関する問い合わせを多く受ける「情報システム部門」
・担当者の不在が多く問い合わせ対応を迅速にできない「営業部門」
・顧客サポートで忙しい「カスタマーサポート・コールセンター部門」
・複数の製品やサービスの事業を展開していて回答者が事業ごとに必要な部門

チャットボットについてさらに理解を深めるためには、以下の「チャットボット完全ガイド」をご一読ください。

チャットボット完全ガイド

チャットボットだけでは不十分?
社内問い合わせ対応をより効率的にするには?

チャットボットは、電話・メールなどにはないメリットがあり、問い合わせ対応業務の効率化も可能です。一方、チャットボットに適していない問い合わせもあるため、社内問い合わせ業務全体を効率化するには、チャットボットだけでは限界があります。こうした問い合わせは無理にチャットボットのみで解決しようとせずに、メールや電話、友人チャットなど、人間の担当者が対応できるチャネルにスムーズに誘導しましょう。

チャットボットに適していない問い合わせ

  1. クレームやトラブルに関する問い合わせ

    クレームやトラブルは、発生の背景・経緯・理由が同じであることは少ないうえ、それらが複雑に絡み合っています。また、クレームやトラブルには臨機応変な対応が必要であるため、一律的な対応になるチャットボットは適していません。

  2. 回答に必要な条件が多い、および条件に対する重要度の判断に差のある問い合わせ

    条件によって問い合わせに対する適切な回答がひとつではない問い合わせや、条件の重み付けの判断に個人差があるような問い合わせは、適切な回答が複数に分かれます。また、回答に際してスピード、コスト、時間などを考慮する必要があれば、どの条件を優先するかによって回答が異なります。これらの条件の重みをどう判断するかがケースバイケースである場合、判断によって回答が分かれることとなり、チャットボットに適していません。

  3. 特殊、高度で難解な問い合わせ

    問い合わせの内容が特殊、あるいは高度で難解な場合、チャットボットで対応することは困難です。こうした問い合わせは件数自体が少ないと思われるので、対応できるようにしても効率化に大きく寄与しません。また、チャットボットで回答できるようにするには負荷が大きく、費用対効果も悪くなるためチャットボットに適しません。

  4. 複数の疑問に同時に答えることを要求される問い合わせ

    チャットボットはひとつの問い合わせごとに回答するツールのため、問い合わせする側が複数の問い合わせを同時にしたい場合、面倒に思って利用しなくなる可能性があります。このような問い合わせに対しては、ある程度パターンを想定して、その問い合わせに適した回答をFAQにしておいて案内するといった工夫が必要です。それが難しい場合は、チャットボットでの対応は困難です。

チャットボットに適していない問い合わせ対応業務の効率化

チャットボットに適していない問い合わせの比率が高いと、業務の効率化には限界があります。問い合わせ全体に対する対応を効率化するには、問い合わせ内容のデータを一元的に収集・蓄積・分析して、豊富なFAQを作成する必要があります。

チャットボットは、受け答えをするUI(ユーザーインターフェース)プログラムのため、この作成作業はチャットボットを有効に利用するうえでも重要です。どういう問い合わせが多くて、どういう回答が多いかということを想定したナレッジベースを構築すると、チャットボットをより有効に活用できます。

ナレッジベースを構築できれば、よくある問い合わせをFAQ化して公開し、社員全員が共有することができ、いつでも、どこからでも、必要なときに検索できます。これにより社員の自己解決力が高まれば、問い合わせ件数を削減できます。また、高度で難解な問い合わせも、ナレッジベースを検索することで、従来よりも早く均一な品質での正確な回答が可能となり、社内問い合わせ業務を効率化できます。

ナレッジマネジメントツールとは?

チャットボット活用して
社内問い合わせ業務の効率化をまず始める

チャットボットの導入は、社内問い合わせ対応業務の負担を効果的に軽減できます。一方で、チャットボットが万能ではないことも理解し、チャットボットで対応できない問い合わせに対しても効率的に対応できるようにしないと、業務全体を効率化できません。

Zendeskを導入すれば、Webチャットに加え、AI搭載型ボット(Answer Bot)や、社内FAQへの動線の設置(Web Widget)を含めた多彩な機能で問い合わせ業務全体を効率化できます。社内問い合わせ業務をトータルで改善したいとお考えのときは、ぜひご検討ください。

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