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情報システム部門の業務効率化はFAQによる社内問い合わせの削減で実現できる!

更新日: 2023年9月9日

近年、情報システム部門の業務は、DXの推進、SaaSツールの増加やリモートワークを始めとする働き方の多様化などに対応する業務で多忙を極めています。さらに情報システム部門には、ITに関する初歩的な質問からトラブルの対処方法まで、社内から多くの問い合わせが来ます。

そのため、その対応に追われ、情報システム部門本来のコア業務が圧迫される状況に陥っています。本記事では、情報システム部門が業務に忙殺される理由を明らかにし、その対策について解説します。

情報システム部門の現状と課題

情報システム部門の本来の業務は、事業の円滑な運営や社員が快適に業務を進めるためのITの力の活用です。しかし現状、社内外の環境の変化によって社員からの問い合わせ対応に追われることが多くなり、本来の業務を円滑に遂行できないという課題に多くの企業が悩んでいます。

IT化の進展で社内問い合わせは、パソコンOSのアップデート、ネットワーク、セキュリティなどに関する不具合、各種機器の設定や使用方法などIT全般となっており、問い合わせチャネルも電話、メール、メッセージアプリなどと多様化しているため、問い合わせ対応に加えて管理の煩雑さも業務量の増大を招いています。

その結果、社内問い合わせ対応業務を効率化しないと、以下のような情報システム部門本来のコア業務に支障が出かねない状況となっているのです。

  • 企業全体のIT戦略の策定
  • 社内システムの開発・運用・保守
  • 社内IT業務の管理・運用
  • セキュリティ対策

情報システム部門の業務効率化には、社内ヘルプデスクや社内FAQの設置が効果的です。ヘルプデスクについては以下の記事で詳しく解説しています。

ヘルプデスクとは? 定義・要素・メリット

情報システム部門が多忙な業務に追われる理由と背景


情報システム部門が業務に追われる理由と背景を解説します。

  • 構造的なIT人材不足の問題

    IPA「DX白書2021」によると、「企業変革を推進する人材の量」が不足と回答している企業の割合(「大幅に不足している」と「やや不足している」を足した割合)は76%です。そして「質」が不足と回答している企業の割合(「大幅に不足している」と「やや不足している」を足した割合)は約78%ということで、質・量ともに不足していることが分かります。また、「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査(経済産業省の委託調査)」では、産業界全体のIT人材の不足数は2030年に最大で79万人と推計されています。

    参考1: IPA「DX白書2021
    参考2: 経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

  • ITの技術変化に対応できなくなる「2025年の崖」の問題

    「2025年の崖」とは、経済産業省の「DXレポート」で指摘されたDX推進を阻む障壁のことです。古い既存システムのブラックボックス化を解決しなければ、2025年を境に技術の変化に対応しきれなくなると指摘されています。

    参考3: 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

  • 働き方・雇用形態の多様化による社員の知識レベルのバラつき

    雇用形態の多様化や人材の流動化の進展で、情報システム部への問い合わせは、基本的・初歩的なレベルの内容が増加しています。また、リモートワークの増加によって、今までであれば部内のITに詳しい社員に聞くことで解決できていたこともできなくなり、情報システム部門への問い合わせ件数を増加させています。繰り返し同じ問い合わせを受ければ、簡単な内容でもそのたびに業務を中断して対応に当たらなければなりません。

  • SaaSツールの利用の増加

    企業の各部門において、さまざまなSaaSツールの利用が増加しています。その結果、「操作が難しい」「使い方が分からない」というように社員が使いこなせない問題が増え、それが情報システム部門への問い合わせの増加につながっています。

  • 回答に時間を取られる

    いくら情報システム部門の社員であっても、さまざまなアプリの使い方やトラブルの対処方法にまで詳しいわけではありません。多種多様な問い合わせに対して、即答ができず回答に時間を要したり、問題の切り分けや原因の調査に時間がかかったりすることもあります。

    また、問い合わせチャネルが多いと、問い合わせのメールが埋もれたり、対応した人によって回答内容が異なったり、回答の進捗管理ができないなどの問題で、時間を取られる可能性も高まります。さらに、社内システムの不具合のような全社的な障害が起こると、その処理の対応に加えて問い合わせが殺到し、さばききれないことも考えられます。

情報システム部門の業務効率化のカギは「可視化」と「セルフサービス」

IT人材不足のなか、多忙な業務を抱える情報システム部門の業務効率化のためには、まず社内問い合わせ対応業務の効率化を始めることが必要です。効率化を実現するカギは「可視化」と「セルフサービス」です。

問い合わせ対応にかかる時間や内容をデータにして可視化する

効率的なセルフサービスを実現するには、問い合わせに関するデータの可視化が必要です。セルフサービスとは、情報システム部門に問い合わせなくても社員自身で問題や疑問を解決できることを意味します。自己解決力を高めれば高めるほど問い合わせ件数は減少し、情報システム部門の負荷が軽減します。社員の自己解決力を高めるには、社員が何を問題にし、何に疑問を持っているかを把握し、FAQとしてナレッジを公開するとよいでしょう。

問い合わせ内容を可視化するには以下の作業が必要です。

  • 複数チャネルからの問い合わせの一元管理
  • 現状のFAQの自己解決率と未解決の原因の把握
  • 問い合わせ内容の分類(カテゴリー分け)
  • 問い合わせニーズ把握

Zendeskなら問い合わせを可視化可能

可視化されたデータに基づきセルフサービスの提供

可視化されたデータに基づき問い合わせ内容をパターン化し、FAQやナレッジベース に蓄積・共有して、セルフサービスによって社員の自己解決を支援します。そして自己解決率をより高めるために、利用しやすいインターフェースの設計、FAQページやナレッジデータベースのさらなる充実、チャットボットシステムの導入などを実施します。

社内向けFAQのイメージ図

カスタマーサポート部門には可視化やセルフサービスの提供に関するノウハウがあることが多いので、参考にすると作業を効率的に進められます。
問い合わせ対応の削減については、以下の記事で詳しく解説しています。

知っておきたい!問い合わせ削減・カスタマーサポート生産性向上の方法とは

FAQ活用によって担当部門の問い合わせ業務を改善した事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームで、社内FAQ構築ができる多彩な機能を有しています。Zendeskを利用して社内FAQを構築し、問い合わせ業務を軽減した事例をご紹介します。

株式会社サイバーエージェント「ITエンジニアのためのヘルプデスクツールを刷新し問い合わせ業務を効率化」

株式会社サイバーエージェントは、メディア事業を中心にインターネット領域で躍進を続ける企業です。同社では、技術本部がITサポートに関する社内ヘルプデスクの役割を担っています。サポート業務のプラットフォームには、WordPressベースで自社開発したヘルプセンターを利用。ヘルプセンターには開発環境に関する多様な申請をフォーム経由で受け付ける機能と、申請に関連するドキュメントの管理機能があり、別々のサーバー上で管理されていました。

しかし、障害復旧といった手間が発生すること、申請フォームの作成のための条件分岐の設定が複雑化を極めること、および管理画面が使いづらいことなど複数の課題があり、それらの解決を目的としてZendeskを導入します。

導入後、問い合わせの対応状況が一目瞭然となり、過去のナレッジを文字列で検索できない、ユーザーごとに閲覧できる情報を設定できないといった悩みも解消しました。また、これまではエージェント間での対話はチャット、ユーザーとの対話はメール、ドキュメントやタスクの管理は別のシステムと、コミュニケーションが分断されていました。

その結果、ナレッジが分散するばかりか二度手間も発生していましたが、Zendeskは一元管理できるので、すべてのコミュニケーションが一カ所で完結します。加えて同社では、トリガやマクロの機能を使って自動化できる部分が増えたことで、工数が格段に減ったと実感できたことを評価しています。

【Zendesk導入事例】
株式会社サイバーエージェント

自己解決率の向上が情報システム部門の業務を改善

IT関連の問い合わせ対応は情報システム部門の業務の一部ですが、その業務が増加すると情報システム部門のコア業務の遂行に支障をきたします。現在の問い合わせ業務を効率化するには、「可視化」と「セルフサービス」をカギとしてFAQの活用を図っていくことが必要です。

社員にとって本当に役に立つFAQを構築することで、情報システム部門の業務の負荷を軽減できます。これによりIT戦略の立案に注力でき、企業全体の生産性の向上が期待できます。

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