顧客ロイヤルティ向上のため、データ活用力と共感力を磨こう

顧客ロイヤルティ向上のため、データ活用力と共感力を磨こう

2018年11月30日
顧客ロイヤルティ向上のため、データ活用力と共感力を磨こう

大量生産・大量消費の高度成長期、多品種少量生産・個性的消費のバブル期を経て、現在の日本は消費そのものが疎んじられる「嫌消費」の時代、とさえ言われています。このような状況のなか、最近の企業のマーケティングでは、よく「顧客ロイヤルティ」の重要性が取り上げられます。

顧客ロイヤルティとは?

一般消費者の消費意欲が低く商品が売りにくくなった一方、世間には気に入った商品に強い愛着を持ち、自ら買い続けるだけでなく知人にも推奨し、SNSを通じて高評価を拡散する企業にとってありがたい顧客がいます。こういった企業に対する信頼や愛着の大きい顧客のことを、英語で忠誠心(Loyalty : ロイヤルティ)が強い顧客という意味で「ロイヤルカスタマー」(Loyal Customer)と呼びます。また、企業に対するロイヤルティの多寡を「顧客ロイヤルティ」と呼び、顧客ロイヤルティが高い(低い)と表現します。

 

顧客ロイヤルティの重要性 ~顧客満足との違い~

顧客ロイヤルティとよく似た言葉に「顧客満足」(CS : カスタマーサティスファクション)があります。顧客満足は1980年代から言われ始めた概念で、売り上げのような目に見える数値でなく、顧客の満足感を重視する考え方です。お客様アンケートや顧客満足度調査によって、顧客の満足度を図る方法が一般的です。

しかし、顧客満足度調査が普及するにつれ、必ずしも「顧客満足度が高い顧客」=「商品を継続的に購入する顧客」とは限らないことが分かってきました。例えば、商品には満足しているのに売り上げに寄与していない顧客について調べたところ、サポート体制への不満や購入プロセスの面倒さを理由に、継続的に商品を購入していないという調査結果が得られたのです。

また、購入金額が大きく、継続購入期間が長い優良顧客が、必ずしも「顧客満足度が高いロイヤルカスタマー」とは一致しないことも判明しました。こういった顧客はほかに選択肢がないといったような理由で漫然と買い続けていただけでしかなかったのです。

このような背景から、信頼や愛着を持って継続購入してくれる状態になっているか判断する「顧客ロイヤルティ」という概念が、1990年代ごろから浸透してきました。顧客ロイヤルティの意義は、単に顧客の好き嫌いを把握するのではなく、数値化によって顧客を選別し、かつ収益に寄与させることを目的としていることです。

実際、1:5の法則(新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる)や5:25の法則(顧客離れを5%改善すれば利益が25%改善される)、8:2の法則(パレートの法則、利益の8割は2割の顧客から得られる)の考え方からわかるように、顧客ロイヤルティの向上が収益に寄与することが認められています。

このような観点から見ると、アンケート調査で顧客の感情面のみ確認したり、漫然とファンを増やすような活動だけを続けたりする行為は、顧客ロイヤルティの活用としては不十分だと言えるでしょう。

 

顧客のデータベース化と評価の数値化

顧客ロイヤルティの向上を収益化につなげるには、以下のようなプロセスで取り組む必要があります。

  1. 顧客データベースの構築と管理
  2. 顧客ランクの設定と対策の計画
  3. 顧客ランクごと(特にロイヤルカスタマー)のプロモーション施策
  4. 施策の評価・改善と情報の共有活用

これらを実現するには、データベース化を前提に顧客を数値で客観的に評価する取り組みが欠かせません。そして、データベース化や顧客評価にはCRM(Customer Relationship Management : 顧客関係管理)が不可欠です。

 

CRMのメリット

CRMの導入により、氏名や年齢、所属先などの定量情報から、販売履歴や目的、嗜好性などの定性情報といった詳細な顧客属性情報を可視化、一元管理できるようになります。その結果、層ではなく顧客一人ひとりの状況を確認でき、「打ち手」につなげることができます。

 

顧客ロイヤルティの指標

顧客ロイヤルティの指標は、「これだけが正解」というものはありません。前述した顧客満足度のほか、さまざまな評価軸が利用されていますが、各指標は一長一短なので、組み合わせて総合的に評価する必要があります。一般的には、以下のような指標がよく用いられています。

顧客満足度
商品やサービスを利用した顧客が、どれだけ満足しているかという度合いを示す。満足度の高い顧客が必ずしもロイヤルカスタマーと一致するとは限らない。

継続利用年数
商品やサービスを利用し続けている年数。ほかに代替品がないという理由で継続利用しているケースも。

LTV(Life Time Value)
顧客あたりの生涯売上。その顧客が、商品やサービスについて取引開始から終了まで、どれだけ利益をもたらすのかを割り出したもの。

NPS®(Net Promoter Score)
顧客ロイヤルティを図る指標。アメリカのコンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーが開発。

 

顧客ロイヤルティ向上にはカスタマーエクスペリエンスの向上も

CRMはデータ重視型のシステムですが、得られたデータに対応して機械的にプロモーション施策の「打ち手」を考えるだけでは適切とはいえません。顧客の心情や感情を探り、カスタマーエクスペリエンスの向上を図ることが大切です。

カスタマーエクスペリエンスとは、顧客が企業・商品・ブランドとの接点で発生するすべての体験のこと。購入までのプロセスにおける体験はもちろん、購買時の体験、利用後の体験なども含まれます。

例えば、顧客のアプリに不具合が見つかったとき、WebサイトのQ&Aページでよく分からず、メールで問い合わせてもWebサイトと同じ内容。問い合わせ窓口に電話して長時間待たされ、やっとつながったオペレーターに説明すると、担当者に代わると言われてまた保留。担当者が出たら、また一から説明して……。

このような経験をすれば、顧客ロイヤルティは限りなくゼロに近くなるでしょう。では、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、顧客ロイヤルティの棄損を防ぐにはどうすべきでしょうか。

一般的には「カスタマージャーニーマップ」が利用されます。まず、アプリの不具合で連絡してくる顧客を具体的に想定(ペルソナ化)し、そのすべての行程でのカスタマーエクスペリエンスを可能な限り洗い出します。そして、企業ホームページ、問い合わせメール、コールセンターなど、顧客がコンタクトを持つ経路で「顧客が具体的に起こしたアクション」や「問い合わせ内容」をデータとして管理し、各セクションで共有できるようにする、いわゆるオムニチャネル化の体制を整えることが望ましいといえます。

 

まとめ:
共感力を持って顧客との関係構築を継続

顧客ロイヤルティを向上させ、収益化につなげるにはCRMによる顧客管理体制を整える必要があります。オムニチャネル化も有用な手段。しかし、それだけでは不十分です。データを活用して施策を打ち立てるには、常に顧客の立場から仮説検証(共感力)を継続し、現場も一体となった執行体制を形成する必要があります。

企業にとって、簡単な正解はありません。これからも、さまざまな試行錯誤が続いていくでしょう。顧客ロイヤルティ獲得への道は、企業と顧客の絶え間ない関係構築の道と言えるでしょう。

参考:

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