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新時代のコンタクトセンターとは? 構築で注意すべき3つのポイント

顧客接点が多様化して業務が複雑化する中、多くのコンタクトセンターが業務効率を改善する必要に迫られています。そうした状況に対応するためには、適切なシステムを活用して柔軟性の高いコンタクトセンター構築を実現することが大事です。本記事では、これからのコンタクトセンターが解決すべき課題、導入すべきシステムをご紹介します。

更新日 2023年1月5日

これからの時代に必要なコンタクトセンターとは?

コンタクトセンターとは、コールセンターを発展させた部門を指します。従来、顧客から企業への問い合わせ手段は電話が中心でしたが、近年はメールやチャット、Webサイト、SNSなど、顧客とのタッチポイントが多様化しています。

コンタクトセンターではそうした幅広いチャネルからの問い合わせに一貫して対応しなければならず、従来のコールセンターに比べると対応業務が複雑化しています。しかしながら、昨今はどの業界も人材不足のために人員を増やすことが難しく、新人への十分な研修期間を確保できないこともあり、接客レベルを高い水準に保つのは容易ではありません。また、働き方改革によるワークスタイルの多様化や新型コロナウィルスの感染症対策と言った時代の急激な変化に対応する必要もあります。

そこで、コンタクトセンター運営の課題を解決する方法として、現在注目を集めているのが在宅勤務やソリューションシステムの導入です。コンタクトセンター業務の在宅化に関しては、情報漏えいリスクや環境整備の難しさといったいくつかの懸念があるものの、出産・育児・介護にともなう優秀な人材の離職防止や、業務効率の向上、オフィスの賃料や通勤費の削減といったさまざまなメリットが期待されています。

また、人手が足りない上にタッチポイントが拡大している以上、デジタルシフトの必要性は高まる一方です。例えば、各チャネルをシームレスに連携させて顧客データを統合的に管理したり、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やAI、機械学習の導入によって業務を自動化・効率化したりなど、ソリューションシステムを活用する流れは今後も加速していくでしょう。



柔軟性の高いコンタクトセンターに必要な3つのポイント

複雑化する業務に柔軟に対応していく上で、これからのコンタクトセンター運営にはどのような取り組みが求められるでしょうか。以下3つのポイントから解説します。

  • マルチチャネル対応

今後のコンタクトセンターの在り方を語る上で、マルチチャネルへの対応は当たり前のことになっていくでしょう。マルチチャネルを実現したとしても、複数チャネルにまたがる顧客情報を統合的に管理できなければ、顧客とのコミュニケーションを共有できません。顧客は同じ説明を何度も繰り返さなければならず、顧客満足度の低下を招く危険性があります。これからの時代に必要となるのは、マルチチャネルを発展させたオムニチャネルです。

オムニチャネルとは、チャネル同士を連携させて顧客情報を効率的に収集・分析し、上質な顧客体験につなげることを目指す概念です。コンタクトセンターでオムニチャネルな顧客対応が実現できれば、顧客がどのチャネルから問い合わせても、また、問い合わせの途中でチャネルが変わったとしても、一貫した質の高いサポートを顧客は受けられます。

  • 業務効率化

マルチチャネルやオムニチャネルとも関連してきますが、業務をいかに効率化するかも重要です。例えば、一般的な質問はチャットボットやFAQで自己解決してもらい、有人でなければ対応できない問い合わせのみをオペレーターにつなぐことで、業務の削減が期待できます。

なお前述のオムニチャネルを実現するには、適切なシステムを導入してCRM(顧客関係管理)を一元化する必要があります。一つのプラットフォームに顧客からの問い合わせデータが蓄積されていけば、サービス品質の改善に向けたヒントを探ることもできます。オペレーターは顧客の基本情報や過去の問い合わせ内容なども参照できるため、スムーズな受け答えが可能となり、クレームの削減にもつながるでしょう。

実際に、Zendeskを導入した東京電力エナジーパートナー株式会社(*)では、「オペレーターがチャットで受け取るチケット数が約1,500件と、チャットの利用が急増している。しかも顧客対応への満足度は90%以上と非常に高い。

オペレーターの生産性も、電話の場合は1時間に3件が目安となるのに対し、チャットでは6件以上と倍もしくは倍以上。チャットが今後重要な顧客接点になることを予感させている。」とその効果を認めています。

  • オペレーター育成

オペレーターの育成は、単に応対品質を上げるだけでなく、リソース不足の解消にも関係してきます。限られた人数で多くの問い合わせを捌くには、稼働率を高めなければなりません。コンタクトセンターの稼働率は、顧客対応時間÷勤務時間の計算式で求められます。

顧客対応時間に含まれるのは、実際に顧客とやり取りした時間や保留時間、後処理時間などです。業務量に対してオペレーターの人数が適正であるにもかかわらず稼働率が低い場合、顧客一人にかける対応時間が長すぎるといったことが考えられます。

業務を効率化し、オペレーターの育成にかける時間をきちんと確保して応対品質を向上させれば、結果として平均対応時間が短縮され、オペレーター一人あたりの対応件数を増やせます。

また、オンラインマニュアルやFAQを整備することで、顧客サポートの品質向上ばかりでなく、社内においても、スタッフ間の知識や経験の共有、自己解決の促進など、さらにはスタッフの人材育成や新人教育としても効果を発揮します。



社内向けヘルプセンターのイメージ図

柔軟性の高いコンタクトセンターに求められる機能

柔軟性の高いコンタクトセンターを目指すにあたり、どのようなシステムや機能が必要なのでしょうか。ここでは、CRMシステム、チャットボット、FAQシステムの3つについて解説します。

  • CRMシステム

CRMシステム(顧客情報管理システム)は、コンタクトセンターの運営に欠かせません。CRMとは、顧客と良好な関係を維持していくための手法のことです。顧客情報を統合的に管理するシステム全般を指してCRMシステムと呼びます。

一口にCRMシステムといっても、営業向け、マーケティング向けなど、使用する職種によって搭載されている機能には多少の違いがあります。コンタクトセンター向けのツールには、顧客からの問い合わせを管理できる機能に加えて、氏名や年齢といった顧客の基本情報、過去の購買履歴などを記録し、顧客対応時にスタッフが参照できることが求められます。

蓄積されたデータはコンタクトセンター内で他のオペレーターと共有できるため、業務効率化や応対品質の均一化、顧客満足度の向上につながります。それ以外にも、応対中の疑問点をSV(スーパーバイザー)やベテランスタッフにメールやSlackなどのコミュニケーションツールでスムーズに確認できる機能や、よくある問い合わせへの回答テンプレートを作成・保存できる機能、データベースから知りたい情報をすぐに探せる検索機能などを備えたツールもあります。

また、問い合わせの内容や対応時間などを集計してレポートを作成できるデータ分析機能があれば、商品やサービスの改善に活かすこともできるでしょう。



Zendeskなら問い合わせ対応中に顧客の詳細情報や対応履歴を閲覧可能

  • チャットボット

チャットボットとは、顧客との自動会話ができるプログラムのことです。チャットボットなら顧客からの問い合わせ内容に応じて、問題解決につながるWebページを自動で案内したり、対応できない場合は人間の担当者につなぐことができます。

チャットボットには大きく2種類のタイプがあり、フロー型(シナリオ型)チャットボットはユーザーに幾つか選択肢を表示し、ユーザーがクリックした内容に合わせて回答を返してくれます。フリー入力型のチャットボットは、顧客がWebサイトやスマホアプリなどから入力した質問に対し、プログラムがテキストに含まれるキーワードを読み取って適切と思われる回答を返してくれます。

コンタクトセンターにチャットボットを導入すれば、オペレーターの業務負荷を低減しつつ、均一化されたサービスを提供できます。顧客側としても、コンタクトセンターが稼働していない時間帯でも知りたい情報を得られるほか、電話待ちの時間やストレスが軽減されるため、問い合わせの利便性が大幅に高まります。

コンタクトセンター向けのチャットボットにもさまざまツールがありますが、プログラムの開発や他のシステムとの連携が容易に行え、会話のシナリオを柔軟に作成できるツールを選びましょう。

また、AI搭載型のチャットボットなら、AIがユーザーの質問内容を自然言語処理技術で解析し、最適な回答を返し、さらに顧客からのフィードバックを受けて学習し、より精度の高い回答を返すといったことも可能です。



ZendeskのAnswer BotはAIがユーザーの質問内容を読み取り、ヘルプセンターの記事を紹介

  • FAQシステム

顧客の中には、電話やメールはじめとする対人のサポートよりもセルフサービス型のサポートを好む人も存在します。FAQシステムを活用すれば、そのような顧客のニーズにも応えられます。FAQシステムとは、問い合わせの多い質問とそれに対する回答を「よくある質問」としてWeb上でまとめて公開し、誰もが必要なタイミングで必要な情報を得られるようにするためのシステムを指します。

月間100万件に及ぶ膨大な問い合わせに対応する東京電力エナジーパートナー株式会社(*)では、あちこちに分散していたFAQをZendeskで構築したヘルプページで一括管理できるように集約しました。さらに、ZendeskとIBM Watson Discoveryを連携させることでFAQページの検索ヒット率を飛躍的に向上させることに成功しました。これにより、検索結果の表示が単なる文字列の一致ばなりでなく、AIが顧客の意図を汲み取って検索結果を返すことで、50%程度だった0件ヒット率が10%程度まで減少し、FAQページの閲覧数も月間40万から100万ほどに増加しました。

まとめ

顧客接点の多様化と深刻な人材不足により、コンタクトセンターの対応業務は複雑化し、オペレーターの負担は増加する傾向にあります。コンタクトセンターがこうした課題に対応していくためには、複数のチャネルをシームレスに統合して情報共有を効率化し、オペレーター一人ひとりの応対品質を向上してコンタクトセンター全体の稼働率を上げることが肝心です。

世界中10万社以上に利用されている「Zendesk」のコンタクトセンターソリューションなら、散在している顧客情報を柔軟なカスタマイズが可能なCRMプラットフォームで一元管理でき、チャットボット、FAQシステムも兼ね備えています。効率的なコンタクトセンター運営と顧客満足度向上の実現に向けてぜひご活用ください。

(*)文中で登場する東京電力エナジーパートナー株式会社のZendesk活用方法については、こちらのページで詳しくご紹介しています。ぜひ、Zendeskの導入効果についてご確認ください。
導入事例:東京電力エナジーパートナー株式会社
来を支え続ける柔軟性を強みに 最良のエクスペリエンスを徹底追求

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