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NPS®とは?計算方法から活用法まで徹底解説
NPS®は、顧客ロイヤルティと推奨意向を測定する指標です。NPS®の計算方法から活用法まで、CX強化と収益向上に役立つ実践ノウハウを解説します。
Mozhdeh Rastegar-Panah
製品マーケティング担当シニアディレクター
NPS®とは
NPS®(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)とは、顧客ロイヤルティを測定する市場調査の指標です。「友人・知人に当社をどの程度すすめたいと思いますか?」というシンプルなアンケート調査を通じて、顧客の推奨意向を数値化します。1993年にフレッド・ライクヘルド氏が考案したこの指標は、CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)の質を評価するために広く活用されています。
Zendeskのベンチマーク調査によると、顧客の60%が「期待できるサービスの質」を基準に購入先のブランドを選んでいます。サポートチームが顧客の期待に応え、最高レベルのCXを提供できているかどうかを判断するうえで、NPS®の追跡・活用はサービス改善の意思決定に役立ちます。
顧客満足度(CSAT)スコアや顧客努力指標(CES)が個々のやり取りや購入体験を評価するのに対し、NPS®はブランドに対する顧客の全体的な認識を測定します。この俯瞰的な視点により、NPS®は製品やサービスのアップデートを方向づけるうえで欠かせない、強力なCX指標となります。
NPS®とCSAT・CESの比較
| 指標 | 測定対象 | 代表的な質問 | スケール | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| NPS® | ブランド全体への推奨意向 | 「当社を友人にすすめる可能性は?」 | 0〜10 | 顧客ロイヤルティの把握、成長予測 |
| CSAT | 個別の体験への満足度 | 「本日の対応に満足しましたか?」 | 1〜5(または1〜7) | サポート品質の評価、即時改善 |
| CES | 顧客が費やした労力 | 「問題解決は簡単でしたか?」 | 1〜5(または1〜7) | プロセス改善、離脱防止 |
この記事では、NPS®データの収集・算出方法からスコアの活用法、ベストプラクティスまで詳しく解説します。
目次
NPS®の計算方法

NPS®を算出してCXの成果を測定するには、次の2つの方法があります。
- 手動計算: 計算式を使って手動でNPS®スコアを算出する方法。単発のスコア算出や少量データの処理に適しています。
- 自動計算: ソフトウェアでNPS®データの収集と計算を自動化する方法。プラットフォームにNPS®アンケートを直接組み込むか、メール自動化ソフトウェアでアンケート送信をトリガーします。
NPS®アンケートでは、自社を他の人にすすめる可能性を0〜10の段階で評価してもらいます。顧客アンケートの回答を収集したら、回答者を次の3つのカテゴリーに分類します。
- 推奨者(Promoters): 9または10と回答した人。口コミで自社をすすめてくれる可能性が高い層です。
- 中立者(Passives): 7または8と回答した人。良い体験が続けば、すすめてくれる可能性があります。
- 批判者(Detractors): 0〜6と回答した人。不満を抱えており、すすめる可能性は低いと考えられます。
分類後、以下の計算式または自動化ソフトウェアでスコアを算出します。なお、アンケートの回答は0〜10ですが、批判者と推奨者の割合によって実際のスコアは-100〜100の範囲になります。
NPS® =(推奨者数 ÷ 回答者総数)×100 −(批判者数 ÷ 回答者総数)×100
計算例:
回答者100名のうち、推奨者45名、中立者35名、批判者20名の場合
NPS® =(45÷100)×100 −(20÷100)×100 = 45 − 20 = 25
注: 中立者は態度が明確でないため、スコア計算には含めません。ただし、ターゲットを絞ったフォローアップを行うために、中立者を特定しておくことは重要です。
ヒント: NPS®アンケートを手動で収集する場合も自動で収集する場合も、送信スケジュールを決めて定期的に実施しましょう。また、回答率の基準値を設定しておくと、アンケート配信方法の見直しタイミングを判断できます。
良好なNPS®とは
正直なところ、「絶対に良好」といえるNPS®は存在しません。Forresterの調査によると、NPS®のベンチマークは業界によって異なります。さらに、スコアを評価する方式によっても解釈は変わってきます。
- 絶対NPS®方式: すべての業界で大まかに定義された「良好なスコア」の基準と比較する方法。たとえば、0未満のスコアは「顧客が自社をすすめる可能性が低い」ことを示唆します。
- 相対NPS®方式: 同業他社のスコアと比較する方法。たとえば、業界平均のNPS®が25で自社が31であれば、良好なスコアといえるでしょう。
数値そのものにこだわるのではなく、NPS®を評価する際は以下の観点を優先することをおすすめします。
- グローバルベンチマーク: NPS®の平均値・中央値を含め、世界各地の企業と比較した自社の位置づけ
- パフォーマンス四分位: 同業他社の中での順位(例:下位25%に位置する場合は改善が必要)
- 業界ベンチマーク: 業界内の平均値やトップ企業のスコア
- 背景情報: 提供する体験の種類、調査対象者、社内で設定した目標
顧客が優れたカスタマーサービスを見定めるのと同様に、良好なNPS®の基準も企業や組織ごとに異なります。重要なのは、期待値を設定してベンチマークと自社のパフォーマンスを比較し、自社のNPS®における強みと弱みを見極めることです。
NPS®を使ってできること

NPS®指標を活用すると、顧客の満足度とロイヤルティを維持する方法を見出すことができます。データを解釈した後、NPS®の結果に基づいて行動する方法として、以下が挙げられます。
- 改善機会の特定: 事業の改善点や成功している領域を見極め、必要に応じて優先順位や戦略をシフトする
- 顧客紹介プログラムの構築: 高スコアをつけた顧客は紹介候補として最適であり、無料特典や割引などのインセンティブを提供することで紹介を促進できる
- 解約リスクの検知と軽減: 低いNPS®スコアやネガティブなフィードバックは解約の予兆となるため、問題を特定・軽減しながら顧客維持率を向上させる
NPS®アンケートをCRM(顧客関係管理)ソフトウェアと連携させれば、ネガティブな回答に対する自動通知を設定し、解約を未然に防ぐことも可能です。
NPS®データの収集方法
顧客フィードバックの収集には、計画と分析が欠かせません。以下では、NPS®データを収集するために必要なステップを解説します。
NPS®アンケートを作成するうえで重要なステップは3つあります。
- 配信方法の決定: NPS®アンケートは、製品やサービスが購入されたその場で実施することも、単独の調査としてメールで顧客に送付することもできます。
- NPS®の質問を追加: 標準的なNPS®アンケートには通常、「[企業名]を友人や同僚にどの程度すすめたいと思いますか?」といった質問を含めます。
- 追加質問の設定: 顧客の考えや心情をより深く理解するため、属性に関する質問や自由回答形式の質問を追加するケースも多くあります。
回答率を最大化するには、アンケートを簡潔に保つことが重要です。質問数は3問以内が理想的。また、正確なフィードバックを得るために、明確で中立的かつ偏りのない表現を心がけましょう。
収集・自動化ソフトウェアの選定
フィードバックプログラムを大規模かつ効率的に運用するには、適切なNPS®ソフトウェアの選定がきわめて重要です。CRMやヘルプデスクソフトウェアなど、既存のテクノロジーと統合できるプラットフォームを選びましょう。
優れたソフトウェアには、以下の機能も備わっています。
アンケートの自動配信
カスタマイズオプション
- オムニチャネル対応
高度な分析ツール
リアルタイムレポート
- インテリジェントな自動化とルーティング
ケース管理
Zendeskのようなソフトウェアを活用すれば、顧客とのフィードバックループを完結させ、改善点を特定し、顧客のニーズと期待に応えることができます。
対象顧客を厳選して配信
有意義なフィードバックを収集するには、顧客基盤全体を代表する特定のセグメントにNPS®アンケートを配信する必要があります。また、カスタマージャーニーの重要なタイミングでアンケートを実施し、進行中の体験に関するデータを取得しましょう。具体的には以下のタイミングが効果的です。
- 顧客オンボーディングの直後
購入後
サポート対応後
より詳細なインサイトを得るには、アカウントの利用年数、使用パターン、製品レベルなどの顧客特性に応じて、セグメント別に配信することも検討してください。なお、アンケートを頻繁に送りすぎると顧客の負担になるため、既存顧客に対しては四半期または半年に一度の頻度で実施している企業が多く見られます。
データの収集と分析
NPS®の生データを実用的なインサイトに変換するには、効果的な収集・分析プロセスが必要です。定量的なスコアと定性的なフィードバックの両方を考慮した体系的なデータ収集を行い、以下の主要指標を追跡するダッシュボードを構築しましょう。
NPS®の総合スコア
回答率
セグメント別のスコア分布
自由回答における傾向
分析機能を備えたソフトウェアを活用すれば、スコアの経時変化を特定し、特定のビジネス施策や市場イベントとの相関を把握できます。こうした定期的な分析とAIアナリティクスの活用により、製品開発からサービス改善まで、戦略的な意思決定に役立てることが可能です。
NPS®調査結果の確認と活用
NPS®スコアからは、現状のパフォーマンスに関する有益なインサイトを得られるほか、事業の衰退や成長を予測することもできます。以下では、NPS®の結果を確認し、全社戦略に反映させるためのステップを紹介します。
データセグメントの比較
NPS®回答の顧客セグメントをすべて確認しましょう。NPS®スコアは、以下のようなカテゴリーによって異なる場合があります。
年齢層
性別
長期顧客
高額利用顧客
たとえば、特定の性別ではスコアが高く、特定の年齢層では低いといった傾向が見られることがあります。こうした分析から、顧客タイプに応じたアプローチの改善点を見出すことができます。
NPS®の経時変化を追跡
NPS®はリアルタイムで変動する指標であるため、継続的なモニタリングと回答収集が重要です。顧客アナリティクスを活用してパフォーマンスを追跡すれば、傾向、テーマ、変動のパターンを把握できます。その知見をもとに、スコア変動の要因を深掘りすることが可能です。
関連チーム間でフィードバックを共有
マーケティング、製品、営業、エンジニアリングなど、すべての関連チームがNPS®の結果と顧客フィードバックにアクセスできるようにしましょう。情報を全社で共有する方法として、以下が挙げられます。
チームのメッセージングチャネルにアンケート結果を送信
チームミーティングでNPS®調査の結果を報告
NPS®のインサイトを活用したケーススタディの作成
- 問題領域の解決策を検討する社内コラボレーションの実施
全員が認識を共有することで、スコア改善に向けた取り組みを部門間で一貫して効率的に進められます。
顧客とのフィードバックループを完結させる
何よりも重要なのは、効果的な顧客フィードバック管理を実践することです。たとえば、NPS®アンケート戦略の一環としてフォローアップの質問を設け、顧客がそのスコアをつけた根拠や背景をより深く理解することを検討しましょう。
フィードバックループを完結させることで、顧客の考え、ニーズ、期待を真摯に受け止めている姿勢を示すことにもつながります。
NPS®のベストプラクティス

正確なNPS®データを収集してスコアを算出するために、以下のプラクティスを参考にしてください。
- 適切なタイミングでアンケートを送信: NPS®アンケートは、購買プロセスに自然に組み込まれる形で送信しましょう。たとえば、購入前ではなく購入完了後に送信するのが効果的です。
- アンケートを簡潔に: 質問は短く具体的にまとめ、回答への負担を感じさせないようにしましょう。
- 追加フィードバックの収集: 成長機会に関する自由回答形式の質問を設け、チームが気づいていなかったり見過ごしていたりした可能性のある改善点を明らかにしましょう。
- フォローアップ許可の取得: 今後のフォローアップを許可してもらうチェックボックスをアンケートに設け、顧客フォローアップソフトウェアを使って迅速に連絡を取りましょう。
- お礼メッセージの送信: 回答への感謝を伝えるため、お礼のメッセージを作成・送信しましょう。
留意点: NPS®アンケートの実施方法や顧客の回答への対応も、ブランドに対する印象に影響を及ぼします。サポートやサービス対応時と同様のCXを提供することが重要です。
よくある質問
自動化でNPS®を向上させる
中立者や批判者の顧客をそのまま放置する必要はありません。自動化とサービス効率の向上によってNPS®を改善し、顧客満足度を高めることが可能です。
NPS®スコアを向上させるための具体的なアプローチとして、以下が挙げられます。
- 批判者への迅速な対応: 低スコアの回答を検知したら、自動通知を設定して担当者が即座にフォローアップできる体制を整える
- 中立者の推奨者への転換: 中立者に対してパーソナライズされたオファーや追加サポートを提供し、ロイヤルティを高める
- 推奨者の活用: 高スコアをつけた顧客を紹介プログラムやレビュー投稿に誘導し、口コミ効果を最大化する
- 対応スピードの向上: AIや自動化ツールを活用して初回応答時間を短縮し、顧客体験を改善する
Zendeskのようなソリューションでは、ワークフローの自動化などのAI搭載ツールがサポート業務の改善を支援し、エージェントがより複雑で細やかさを要するタスクに対応できる環境を整えます。Zendesk AIエージェントは、問い合わせ全体の最大80%を自動処理し、サポートの効率と正確性を向上させます。
既存システムと統合でき、NPS®の収集と分析を自動化できるプラットフォームをお探しなら、Zendesk AIの導入をご検討ください。
Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company, Inc.、およびFred Reichheldの登録商標です。
