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カスタマーサービスの「今」と「未来」 ~Part 2〜

超アナログ業界にチャットを導入し“言った・言わない”問題が解消

最後のセッションでは、工事業者向けの建設資材の通販サイトでCS部門を担当する野原ホールディングス株式会社 WEBカンパニー CSチーム リーダー 篠原明子氏が、建設業かつBtoB分野におけるチャット活用について紹介。篠原氏が「超アナログ」と前置きするとおり、依然としてFAXや電話がチャネルの大半を占める業界です。同社でも、言った・言わない問題が生じる、「いつものアレ」で通じてしまうことで担当者の交代を機にサービスレベルが低下するといった問題を抱えていました。加えて、建築資材が多岐にわたり、商品のデータ化が進まないため、日々同じ問い合わせがあちこちで起きるといった問題もありました。

野原ホールディングス株式会社 篠原明子氏

 

電話に代わるツールとしてチャットに着目した同社は、Zendeskを採用。導入当初の2015年は他に候補となるツールがなく、「クイックレスポンス・一元管理・ナレッジの蓄積」の3つの条件をクリアするチャットツールはZendesk Chatしかないという結論になりました。とはいえ、同社にとってツールを導入するのは初めてのこと。運営側も初めてなら、顧客にとっても初めてであり、手探り状態で運用を進めていったと言います。

新しいカスタマーサービスのあり方を追求するべくZendeskを導入して3年。「電話より問題解決が早い」「丁寧で親切、わかりやすい」といった声も多く、圧倒的に電話が優位な業界において、チャットが受け入れられつつあることが伺えます。

 

<Zendesk Chat活用のメリット>

  • 会話をしているような、ほどよい距離感
  • 電話で待たせるとイライラさせるがチャットは待ってもらえる
  • チャットですぐに解決できない場合はメールに切り替えるなど臨機応変に対応できる
  • 言った言わない問題を解決できるログが残り、あとで分析しやすい
  • ナレッジを蓄積できている

それでも「まだまだ十分に使いこなせていない」と篠原氏。そんな想いを抱えながら参加したユーザー会でZendeskのパートナー企業に出会い、現在は改善の取り組みを推進中だと言います。

篠原氏は、これから導入を検討しようという企業に向け、活用のポイントを次のようにまとめました。

 

<Zendesk活用のポイント>

1)走りながら考える
とにかく使ってみること。業務を回し、お客様の反応を見ながら、小さな改善を重ね、自社の求めるサービスの形を追求し続ける。
2)ユーザー会に参加する
Zendesk仲間を作り、ヒントを得たり、悩みを相談したりすると、解決策が見つかる。
3)専門家の支援を得る
Zendeskのメリットを最大限に享受するためにも、専門家と一緒に改善を進める。

 

■ユーザー3社に学ぶZendesk活用のヒント

セッション終了後は、篠原氏、JapanTaxi株式会社 カスタマー・エクスペリエンス部 マネージャー 手島健志氏、Pioneer DJ株式会社 マーケティング統括グループ CRMグループ マネージャー 西川正紀氏の3名が登壇。Zendeskの藤本寛社長をモデレーターにパネルディスカッションが行われ、各社のZendesk活用についてより具体的な話が展開されました。

パネルディスカッション

 

<情報共有のあり方>

手島:上長に対してデータを送る方法だとフィルターがかかってしまいますから、Slackでリアルタイムにチケットの情報やApp Storeのレビューなどを流しています。特に音声を共有できるのは、顧客の感情を理解する上で大きなメリットです。

篠原:超アナログ業界をデジタル化に向かわせようと急激に動いているところで、現段階では、他の部署との情報共有はまったくできていません。ただ、我々の部署をパイロットに、他の部署でもZendeskの導入検討が始まっています。

<チャネルごとのアサイン

手島:チャネルごとに担当者を変えることはしていません。電話で答えられない人は、メールでも答えられないからです。メールで対応できるようになってきたら、電話対応も任せるようにしています。

西川:今はチャネルごとに担当者をアサインするのではなく、地域ごとに配置しています。ただし、地域間をまたいでエスカレーションするとなると時差や言語の違いがあるため、いかに最適化するかが課題です。

Pioneer DJ株式会社 西川正紀氏

 

篠原:問い合わせの内容はまちまちですが、メールとチャットと電話に同じエージェントが対応しています。今後は内容による切り分けを検討したいと考えています。

<分析方法>

手島:毎月のお問い合わせについて分析し、打ち手をどうするか、月一回の会議で議論しています。また、お客様の要望に対してサポートスタッフには月4個は改善提案をあげてもらっています。お客様の生の声を聞くだけではなく、どう改善するかを考えてほしいからです。

西川:コミュニティに寄せられる投稿はCSVでダウンロードできるようにし、チケットについてはインサイト機能を使って分析し、新商品の改善に活用しています。当社はBtoBtoCなので、どのようなお客様が買ってくださったか直接知ることができません。売上はわかっても満足度がわからないので、お客様の声は貴重な情報です。

篠原:満足度を継続的に見ていますね。特にお客様の不満は何なのかに注目し、原因がフローにあるのかシステムにあるのかをチーム内で話し合っています。

<費用対効果>

手島:今までExcelで管理していたときに比べて断然使いやすくなっているので、返信が早くなったといった改善はあります。また、電話話回線からZendesk Talkに変えたところ、場所を選ばない、チケットに音声が残るなど、見えないところでコストが抑えられています。

JapanTaxi株式会社 手島健志氏

 

西川:今まで見えていなかったところがすべて見える、悪いところも含めて把握できると考えれば、Zendeskは決して高いものではないように感じています。

篠原:正直なところ、費用対効果は見ていませんね。使いやすさ、一元管理ができるといった点を重視したので、あとは経営側がこれをどれほど大事だと思ってもらえるかです。

<AIの導入>

手島:タクシーは24時間365日ですが、現在のサポート時間は9時~17時。AIを使ってなんとかしたいという思いはあります。

西川:来期後半には導入したいですね。それには、あらゆるパターンに対応できる資料を集めなければならないので、その土台づくりを進めていく予定です。

篠原:なにせ超アナログ業界ですから、AIは遠いお話しですね。どこかで導入はしたいですが、まずは今ある機能でできることをやっていきたいと考えています。

それぞれに確かな手ごたえを感じ、Zendeskのさらなる進化に期待を寄せる3社に、会場からも高い関心が寄せられていました。

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