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- FAQとは?Q&Aとの違いやFAQコンテンツの作り方を解説

Webサイトやアプリには、「よくある質問」が掲載されています。FAQまたはQ&Aと表記されているのを見たことがある人も少なくないでしょう。
では、FAQとQ&Aはどこが違うのでしょうか。そもそもFAQは何のために作成するのでしょうか。どのように作成すれば良いのでしょうか。
この記事では、FAQを設置する目的や、ユーザーにFAQを活用してもらうためにはどのように作ると良いのかといった情報を詳しく解説していきます。
FAQ(エフ・エー・キュー)の概要
FAQは、Frequently Asked Questions(直訳:頻繁に聞かれる質問)の略です。つまり、Webサイトやアプリでよく見かける「よくある質問」のことを指しています。
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FAQとQ&Aの違い
似た意味の言葉としてQ&Aがあります。Q&Aは、Question and Answer(直訳:質問と回答)の略です。つまり、Q&Aとは「(実際に問い合わせのないものも含めた)質問と回答」ということを表しています。しかし実際には、「FAQ」「Q&A」という表記にこだわらず、「よくある質問とその回答」という意図で書かれているケースも多く見受けられます。
どちらも質問と回答を指す言葉であり、明確な線引きはありません。そのため、混同して用いられる場合もあります。
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よく使用されるFAQ目次一覧
よく使用されるFAQの例としては、以下の通りです。
- 顧客向けのFAQ
- 社内向けFAQ
- コールセンター向けFAQ
登録している情報を変更したい
保険金や給付金の請求期限はあるのか
持病があっても保険に加入できるのか
解約方法を知りたい
どうやって解約するのか
アプリの設定方法を知りたい
返品はできるのか
クレジットカードは使えるのか
納品まではどのくらい期間がかかるのか
補償内容はどうなっているのか
送料はいくらくらいかかるのか
予約は当日でも可能か
駐車場はあるか
コンビニやスーパーは近くにあるか
インターネットは部屋で使えるか
各種手当はどうなっているのか
育児・介護休暇や子どもの看護休暇はあるか
会社から支給されているパソコンの調子が悪くなったらどうすればいいのか
テレワークのルールはあるか
CRMシステムにはどう登録するのか
離席する場合のルールはどうなっているのか
FAQの目的
あなたは、もしくはあなたの会社では、何のためにFAQサイトを設置していますか?ユーザーに活用してもらえる、意味あるFAQを作成するために、まずはその目的を明確にしておきましょう。
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企業がFAQを作成する目的
企業はなぜFAQを用意するのでしょうか。FAQにはどのような目的があるのでしょうか。多くの場合、次の2つのうちのいずれか、または両方を目的として作成されています。
1. ユーザーからの問い合わせを削減するため
FAQを用意すれば、ユーザーは質問があれば自分でFAQを見て解決できるため、問い合わせを削減することができます。なぜ、問い合わせを減らす必要があるのでしょうか。
たとえば、次のような状況の打破を目的としていることもあるでしょう。
- カスタマーサービスの業務量がキャパシティを超えている
- 同じ内容の問い合わせが何度も来て、対応に時間が掛かっている
- オペレータが不足している
- カスタマーサービスの人件費が高い
2. ユーザーの満足度を高めるため
FAQを設置するもう1つの目的は、ユーザーにFAQを提供し、満足度を高めることにあります。たとえば次のようなユーザーの不満を解消したり、要望に応えたりする目的でFAQを用意している例もあります。
- カスタマーサービスの混雑による待ち時間が長すぎる
- 問い合わせをするのは面倒
- 不明点を今すぐ解決したい
効果的なFAQを作成するためには、目的を明確にし、それに沿ったものを構築していくことが重要です。
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ユーザーがFAQを閲覧する目的
次に、ユーザーがFAQを閲覧する目的を考えてみましょう。ユーザーは、たとえば、次のような情報を得るためにFAQを利用します。
- サービス内容についての情報(例:「使い方を知りたい」「料金を知りたい」)
- 不具合やエラーについての情報(例:「ボタンが押せない理由を知りたい」「起動しない理由を知りたい」)
企業・ユーザーがFAQを使う目的は様々です。FAQの導入が最大限の効果をもたらすように、まずは導入する目的や、それによってユーザーにどういうメリットがもたらされるのかを整理してみましょう。
なお、FAQサイトは大きく次の2種類に分けられます。
- Webサイトやアプリに設置されている、一般ユーザー向けのFAQサイト
- 社員向けに設置されている、社内FAQサイト(社内ヘルプデスク)
FAQが社内向けなのか社外向けなのか、そして社外向けであれば新規ユーザー向けなのか既存ユーザー向けなのか、社内向けであればどの部署が対象になるのか等、どういう人がユーザーになるかでFAQの目的やコンテンツが変わってきます。FAQサイトを構築する際は、目的に合わせて、どういった方がユーザーになるかも考慮することが重要です。
FAQの活用シーン
ユーザーは、どのようにしてFAQを使うのでしょうか。ユーザーにとって使いやすいFAQにするために、FAQの使われ方を想定しておきましょう。
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FAQサイトで検索する・探す
FAQは従来、Webサイトやアプリ内に設置されているFAQサイト(FAQページ)を開いて情報を探すという使われ方をされてきました。現在も多くのWebサイトやアプリにFAQサイトが設置されています。
また、近年はこのFAQサイトにチャットボットが組み込まれているものをよく見かけるようになりました。ユーザーが質問を入力すると、アバター(オリジナルキャラクター)がチャットボットで関連FAQを表示するという形式になっています。アバターが使われていないこともあります。
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チャットボックスで表示する
Webサイトの右下に小さなウィンドウ(チャットボックス)を表示させ、そのウィンドウ上にFAQを表示させるというものもよく見かけるようになりました。
現在閲覧しているページに関連するFAQをウィンドウに表示させておくことで、ユーザーが質問する前に先回りして回答を提供し、ユーザーの離脱を防いでいます。
そのチャットボックスにチャットボットが組み込まれている場合は、ユーザーが質問を入力すると、チャットボットが関連FAQを返すこともできます。
FAQの活用で得られる効果
FAQでは、ユーザーの気になることや不安に感じることに対して、企業が予め回答を用意することになります。FAQを活用することで得られるメリットはさまざまです。ここでは、具体的にどのような効果が期待できるのかをご紹介します。
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問い合わせ件数の削減
FAQを活用すると、顧客は自ら調べて問題を解決できるため、「よくある質問」に関連した問い合わせ件数を削減できます。問い合わせ件数の削減はコールセンター・カスタマーサポートなどの負担軽減にもつながるでしょう。
社内向けFAQの場合は、総務部や労務部、情報システム部など、特定の部署にかかる負担を軽減することが可能です。担当者は本来やらなければいけない仕事により一層集中することができます。新規で採用されたスタッフの教育にも注力できるようになることも期待できるでしょう。
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顧客満足度の向上
商品やサービスに疑問を抱えているユーザーにとって、解決までに時間がかかるのはよいことではありません。いつでも確認できるFAQが充実していれば、速やかに疑問を解消できるため、顧客満足度向上にもつながるでしょう。
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コスト削減
問い合わせに対する対応を効率化できれば、コストの削減にもつなげられます。サポートセンターやコールセンターの対応は、企業の印象を決める重要な要素のひとつです。一定の品質を維持し続けるためには、ある程度の人数の人員が必要といえます。
そのような際にFAQを活用すれば、問い合わせの減少や対応の効率化につながるため、少ない人数でも問題なく回せるようになります。余った時間を人員確保や人材育成などに充てられるでしょう。
FAQの作成手順
FAQを多くの人に活用してもらえるかどうかは、ユーザーが知りたい質問が網羅されているかどうか、適切な質問を見つけられる仕組みになっているかどうかにかかっています。FAQの作成は、以下の4つのステップに分けて進めていきます。
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FAQコンテンツを集める
FAQは、スタッフの持っている知識や、ユーザーからの問い合わせをベースに作成するのが一般的です。質問を充実させるために、できるだけたくさん集めておきましょう。
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カテゴリ分けをする
FAQコンテンツを集めたら、それを分類してカテゴリ分けします。カテゴリの作成は、「なんとなく」進めてしまいがちですが、実はとても重要な作業です。あとで変更しようとすると手間がかかるうえに抜け漏れが生じやすいため、最初にしっかり組み立てておくことをおすすめします。
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FAQコンテンツの整備をする
集めたFAQコンテンツには、内容が重複しているものがあったり、辻褄の合わないものや内容が古いものがあったりします。そのままにしておくと、ユーザーが混乱したり、結局はFAQが役に立たず問い合わせをするしかなくなったりするため、ユーザーに公開する整備する必要があります。
少し手間のかかる作業ですが、ここを疎かにしてしまうとFAQの効果が半減してしまうため、しっかり整理しておきましょう。具体的な整理方法は次項で詳しく解説します。
ZendeskのFAQページ編集画面。直感的にコンテンツを編集できる
FAQコンテンツ整備のポイント
FAQコンテンツを整備することで、FAQの利用率やヒット率(FAQを検索した際に目的のコンテンツが表示される確率)が変わります。FAQを作成する前に、内容を整備しておきましょう。ここからは、FAQコンテンツ整備の手順をご紹介します。なお、FAQコンテンツは運用を開始してから修正することも可能です。
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表記ルールを決める
FAQコンテンツを整備する前に、まずはFAQ作成のルールを決めておきましょう。
表記ルールとは?
たとえば、次の2つのFAQはいずれも「◯◯が分からないので知りたい」という内容ですが、表記の仕方が異なります。
<例>
- ログインIDを忘れました
- パスワードを知りたい
この場合、ルールを決めて全て「ログインIDを忘れた」「パスワードを忘れた」という表記にすれば、FAQに統一感が生まれます。またルールが決まっていれば、FAQを作成する際に表記で迷わずにすむでしょう。表記は最後に調整すればよいと思われがちですが、FAQの数が増えれば増えるほど修正に手間がかかり困難になるため、事前に決めておくことをおすすめします。
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重複しているFAQを整理する
集めたFAQコンテンツの中には、内容の重複しているものがあるかもしれません。FAQシステムに流し込む前に、重複の整理をしておきましょう。
内容の重複とは、たとえば次のようなものをいいます。
<例>
Q1:アメリカに海外出張に行くのですが、仮払いはできますか?
Q2:出張費の仮払い申請の方法を教えてください。
この例では、Q1とQ2はどちらも内容は同じです。このように同じようなFAQが複数あると混乱の原因になるばかりか、修正の必要が生じた時に両方を直さなければならなくなるというデメリットもあります。今後の運用の手間を省くためにも、重複しているFAQは整理しておくことをおすすめします。
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わかりやすい言葉・説明文の徹底
FAQには、不要なワードが含まれていることがあります。必要のないワードが入っていると、検索結果が正しく表示されなかったりユーザーが迷ってしまったりするため、FAQの文章は必要なキーワードのみを含んだ簡潔なものにするのが理想です。
不要なワードが含まれている文章とは、たとえば次のようなものをいいます。
<例>
Q:アメリカに出張に行くのですが、仮払いはできますか?
このような用件でFAQサイトを検索する人は、おそらく次のように入力すると予想されます。
出張 + 仮払い
仮払い + 申請方法
つまり、FAQにはこの用語が含まれていれば十分であり、「アメリカ」「行く」といったワードは不要です。そこで次のような文章にすると、検索されるワードを含み、かつ簡潔な文章にまとまります。
<例>
Q:出張の仮払い申請方法
特にスマホやチャットボックスでの利用を想定している場合は、短いシンプルな文章に直しておくことをおすすめします。
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検索キーワードを意識して作る
FAQが整ったら、FAQにユーザーが検索するキーワードが含まれているかどうか確認します。検索の仕組みはFAQシステムによって異なりますが、多くの場合、FAQのタイトルや本文に検索キーワードが含まれていれば検索結果に表示されます。
検索キーワードは、たとえば次のようにして登録します。
<例>
Q:返品したい
購入した商品の返品を希望しているユーザーのために、このようなFAQを用意することは多いでしょう。しかし、ユーザーは「キャンセル」「サイズ変更」などと入力して検索する可能性もあります。そのようなケースに対応するために、FAQの本文に「キャンセル」「サイズ変更」といったキーワードを含めておきましょう。タグ(ラベル)の仕組みがある場合は、タグ(ラベル)に複数のキーワードを登録しておくことで、より検索結果に表示されやすくなります。
この作業には少し手間がかかりますが、ユーザーが知りたい情報を提供し、問い合わせを減らすためにとても重要です。
FAQを効率的に作成するならFAQでシステムの導入がおすすめ
FAQを効率的に作成したいのであれば、専門のFAQシステムの導入がおすすめです。FAQシステムの場合、既存のテンプレートを使用するため、初めて作成する人でも簡単に有用なFAQを作成できます。
FAQシステムはさまざまな種類があるため、迷ってしまうこともあるでしょう。ぜひ、カスタマーサービスソフトウェアZendeskのFAQ作成機能をご利用ください。
以下でZendeskの特徴を簡単にご紹介します。
- FAQを短期間で構築
- ボットと連携可能
- ユーザーが使いやすい仕組みが充実
- レポーティング機能が充実
充実したテンプレートを使用して自社FAQサイトを短期間で構築することができます。デザインもブランドや製品に応じてカスタマイズできます。
作ったFAQはボットの対応に活用できます。メールやチャットなどで、ユーザーから問い合わせがあれば、AI搭載型ボットAnswerBotが自動的にユーザーの質問に最適なFAQの記事を紹介します。
FAQサイトを構築する際にユーザーが利用しやすいかどうかは、最も重要なポイントです。ZendeskならFAQサイトのコンテンツをユーザーが探しやすいようにカテゴリー化して整理でき、キーワードを入力して記事を検索する機能も簡単に導入できます。
FAQサイトは公開して終わりではなりません。公開後にユーザーの反応や直近の質問をベースにメンテナンスを継続的に行い、よいっそうユーザーが使いやすいものに変えていくことが求められます。ZendesならFAQでどんな記事がよく見られているのかやどんなキーワードが検索されているのかなど、利用状況を分析できるレポーティング機能が充実しており、データをもとにして効率的に改善することができます。分析機能詳細はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、FAQとは何か、Q&Aとの違いやFAQの作成方法などについて解説しました。FAQを作成してもなかなか活用されないというケースは多くありますが、それは、FAQを作成する側と閲覧する側にズレが生じていることに起因しています。多くの人に活用してもらうために、FAQの目的や使われ方を整理し、それに合ったものを作成しましょう。
Zendeskは、世界160以上の国と地域で利用されています。短期間でFAQサイトを構築でき、FAQの修正はいつでも可能、検索で重要なタグ(ラベル)を設定することもできます。14日間無料で試せるので、ぜひ一度体験してみてください。
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