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単なるエージェントから特定分野のエキスパートへ

更新日: 2023年1月5日

サポート担当者(エージェント)は特定分野のエキスパートとして部門横断的に活躍しながら、社内のナレッジマネジメントで重要な役割を果たすことができます。

AIが進化するにつれ、エージェントと一対一で対話するヘルプセンターに代わり、ユーザーが問題を自分で解決できるセルフサービス用コンテンツへの需要は増すばかりです。社内で複数の部署がコラボレーションする際にも、セルフサービスは多用され始めています。こうした求められるコンテンツの変化は、コンテンツの保守・運用方法にも影響を与えます。

だからこそ、単調で煩雑な作業はAIに任せて自動化し、エージェントを反復作業から解放して、より有意義で生産的な作業に注力できるようにすべきなのです。しかし、こうした業務プロセスの転換を実現するには、サポート部門の責任者も発想を転換する必要があります。エージェントの役割を根本的に見直し、最前線に立つ単なるサポート要員から、ナレッジ重視の成熟した組織を構築するための戦略的パートナーに引き上げることが不可欠となります。このプロセス転換には、仕事に対するエージェントの満足度と献身度が高まるというメリットがありますが、メリットはそれだけに止まりません。

  • エージェントにオーナーシップを割り当てると、ヘルプコンテンツの正確性や信頼性が向上する。
  • 部門を超えたエージェントの貢献により、組織全体にポジティブな影響が即座に波及する。

プロセス転換はコンテンツ改善に直結

複数の企業における傾向を検証した結果、ナレッジマネジメントプロセスを確立する際には、重視すべき点がいくつかあることが分かりました。まず、コンテンツの公開を開始し、公開中に適宜更新しながら、最終的に公開を終了するまでの、コンテンツライフサイクル管理を整備する必要があます。次に、セルフサービス用コンテンツの重要性が増す中で、コンテンツの正確性と信頼性を保つためには、フィードバックを効果的に収集するプロセスも重要になります。

サポート部門全体の説明責任を果たすうえでは、各エージェントを報道記者のように捉え、特定の製品、サービス、業務の分野を割り当てるのも効果的です。報道記者が自分の担当分野の情報を収集して記事を執筆するのと同じように、エージェントは自身が担当する製品、サービス、業務の分野に関するコンテンツの作成や更新、ステークホルダーとの協業などに責任を負うのです。

金融サービス企業であるLendingClubはナレッジマネジメントにZendesk Guideを活用していますが、コンテンツの更新、検索頻度の高いキーワードの分析、閲覧回数の高いコンテンツの追跡に専任のチームを割り当てています。コンテンツに対するこの投資により、同社のセルフサービスは11:1という驚異的なスコアを達成しています。これはヘルプセンターの訪問者11人につき、セルフサービスで問題を解決できずチケット作成に至る訪問者はわずか1人であることを意味します。

一方、障害物レースの運営企業であるSpartan RaceもナレッジマネジメントにZendesk Guideを利用していますが、そこでもエージェントのコミットメントが大きな役割を果たしています。

Spartan Raceの顧客サービス担当ディレクターであるAja Varney氏は次のように述べています。「私はチームメンバーの力を最大限に活用しています。なぜなら、どんなコンテンツが不足していて、どのコンテンツが更新を必要としているのか見極めるうえで、彼ら以上のエキスパートはいないからです。」

プロセスの転換には、さらなるメリットがあります。エージェントなら誰でも、製品のローンチ、ブランドの刷新、障害発生など、チケット数が急増するタイミングを熟知しています。ナレッジマネジメントのプロセス転換が進めば、エージェントは先手を打ってコンテンツを拡充し、チケットの急増に備えることが可能になります。

オーナーシップで特定分野のエキスパートを育成

エージェントにとって、顧客に密接なサポートを提供しながらサポートコンテンツの保守・運用にコミットするのは、簡単なことではありません。しかし、プロセスを転換する過程で最新のテクノロジーを味方に付ければ、発生しうる問題や課題を事前にあぶり出して解決することは可能です。たとえば高機能なナレッジベース構築ツールを活用すれば、ヘルプコンテンツの正確性の確認や更新をシステムが支援してくれるので、記憶や当て推量に頼る必要がなくなり、保守・運用の労力が大幅に軽減されます。

製品をローンチする場合や障害が発生した場合、エージェントは膨大な数のチケットと個別に格闘する代わりに、必要に応じて社内ステークホルダーの力を借りながら、リアルタイムにヘルプコンテンツを作成して顧客に一括して情報を提供できます。たとえば、修正が難しいバグによってチケットが急増しても、そのバグは先月実施されたベータテスト時に発見されたバグと共通点があり、そこから解決のヒントを得られるかもしれません。サポートの最前線に立つエージェントがヘルプコンテンツの作成にコミットできていれば、こうした貴重な知見をナレッジとして蓄積し、活用することが可能になります。

チーム内で特定分野のエキスパートを育成することには、長期的なメリットもあります。前述したような製品ローンチで経験を積んだエージェントは、将来的には同様のローンチに対して貴重な提案を行える可能性があります。また、特定分野で豊富な知見を備えたエージェントは、複雑な問題を抱えている顧客に、エキスパートならではの密接で的確なサポートを提供できる可能性もあります。

蓄積した知見でサポート力を強化

ナレッジベースとエージェントの価値を最大化するには、ヘルプコンテンツの状態に関する的確な情報が、コンテンツを管理するエージェントに適切なタイミングで提供される必要がありますが、ここでも最新のテクノロジーが大いに役立ちます。適切なツールを活用すれば、たとえばセルフサービスの促進に最もインパクトがある記事を簡単に絞り込めます。また、閲覧回数が多く正確性の確認が必要な記事も簡単に特定できます。

その逆に、閲覧回数の少ないコンテンツを特定し、タイトルを変更して検索へのヒット率を改善したり、古くなったコンテンツを洗い出してアーカイブを検討したりすることもできます。さらには、突然チケットが急増した場合でも、ツールの支援を受けながら最も多く寄せられている質問を特定し、その回答をまとめたコンテンツを作成して顧客に提供できます。

特定分野のエキスパートに成長したエージェントは、複雑な問題を抱えた顧客に的確なサポートを提供できるなど、企業にとって極めて貴重な戦力となり得ます。したがって、エージェントがスキルを開発する過程で直面する可能性がある問題を適切なテクノロジーで解決し、彼らの成長を全力で支援しましょう。

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