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チャットボットと対話型AIの違いを徹底解説

チャットボットと対話型AIはよく同じ意味で使われますが、それは間違いです。自社のカスタマーサービスに最適なテクノロジーを判断するために、まずはその違いを理解しましょう。

発行日: 2022年3月18日
更新日: 2022年5月17日

今日の企業は、カスタマーエクスペリエンスの向上とカスタマーサービスのコスト削減の両立を目指しており、この目標達成を促進するうえで、チャットボットや対話型AIが役に立つという認識が広まってきています。専門家の試算によると、2024年までに世界のチャットボット市場は940万ドルに達する見込みです。

しかし、カスタマーサービス部門のリーダーの中には、この2つのテクノロジーのうち、どちらが自社の顧客や収益に大きな影響をもたらすかを理解できていない人もいます。皆さんが自社の社内プロセスとカスタマーエクスペリエンス(CX)の最適化に役立つテクノロジーを見極められるよう、この記事ではチャットボットと対話型AIの違いについて解説します。

チャットボットと対話型AIの違い

チャットボットとは、カスタマーエクスペリエンスの向上を目的として人間の会話をまねるコンピュータープログラムのことです。あらかじめ定義された会話フローに基づいて動作するものと、人工知能や自然言語処理(NLP)を使用してユーザーの質問を理解し、リアルタイムで回答を自動送信するものがあります。

対話型AIとは、チャットボットからSiriやAmazon Alexaなどのバーチャルアシスタントまで、AIを活用したコミュニケーションテクノロジー全般を指す広義の用語です。対話型AIプラットフォームでは、データ、機械学習(ML)、自然言語処理を使用して音声入力やテキスト入力を認識し、人間のやり取りを模倣して会話フローを進行させます。

チャットボットとは

今日のチャットボットは、ルールベースのチャットボットAIチャットボットの2種類に大別されます。
ルールベースのチャットボット(デシジョンツリー型、メニュー式、スクリプト型、ボタン式、または基本チャットボットとも呼ばれます)は、最もベーシックなタイプのチャットボットで、顧客が「X」と発言したら「Y」と返答するというように、あらかじめ設定されたルールに基づいてコミュニケーションを行います。会話がデシジョンツリーのワークフローのように設計されている場合、ユーザーは、ユースケースに応じて複数の選択肢の中から回答を選択できます。

ルールベースのボットは、顧客が求めている回答を得るまでに一連の選択を行わなければならないという点において、電話の自動応答メニューに似ています。このテクノロジーは、FAQの回答やごく基本的な問い合わせへの対応に適しています。

カスタマーサービス向けのAIチャットボット(コンテキスト型チャットボットまたはバーチャルエージェントとも呼ばれます)は、機械学習、自然言語処理、またはその両方を使用してユーザーの意図を理解し、回答を生成します。AIチャットボットは、顧客との会話から継続的に学習するため、時間が経つほど有益な回答を提供できるようになります。

どちらのタイプのチャットボットも、顧客が企業と直接やり取りする前の段階で、まずは手軽なセルフサービス型サポートを提供します。

月間2万件のサポートリクエストに対応しているカスタマーサービスチームの場合、チャットボットを利用すれば月240時間以上を節約できます。

対話型AIとは

対話型AIとは、音声入力やテキスト入力を認識して応答するテクノロジーのことです。カスタマーサービスの分野では、人間と似た形で顧客とやり取りするために利用されています。対話型AIとのやり取りは、メッセージングチャネルのボットや、電話の音声アシスタントなどを介して行われます。大量のデータを学習した対話型AIは、ディープラーニングのアルゴリズムを使用してユーザーの意図を判断し、人間の言葉を適切に理解します。

2023年には、対話型AIの活用により小売業界の収益が約120億ドルに達すると見られています。

チャットボットと対話型AIの関係

チャットボットは対話型AIの一種ですが、すべてのチャットボットが対話型AIに分類されるわけではありません。ルールベースのチャットボットは、キーワードやその他の言語識別子を使用してあらかじめ作成された回答を引き出すもので、対話型AIテクノロジーは活用していません。

対話型AIチャットボットは、人間のやり取りをまねることが得意で、ユーザーエクスペリエンスの向上や担当者の負担の軽減に貢献します。ボットは簡単な問い合わせに対応し、担当者は人間にしかできない複雑な問い合わせに集中できるため、結果的に顧客の待ち時間が短縮され、繰り返し寄せられる質問に対応する時間も削減できます。

チャットボットと対話型AIの違い:カスタマーサービスにおける実例

ルールベースのチャットボットでも、対話型AIの一種でも、自動応答テクノロジーを使用すれば、迅速なカスタマーサービスを提供するうえで大いに役立ちます。Domino's PizzaやBank of Americaをはじめ、数多くの大手企業が既にこのテクノロジーを利用して、顧客の問い合わせを効率的かつ効果的に解決しています。

カスタマーサービスにおけるチャットボットの実例

今日では、あらゆる規模の企業がチャットボットを使用して時間を節約しています。Zendeskのユーザーデータによると、月間2万件のサポートリクエストに対応しているカスタマーサービスチームの場合、チャットボットを利用すれば月240時間以上を節約できます。

Dom:Domino'sの注文アシスタントボット

Chatbots in customer service

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背景: Domino'sは、Facebook Messengerボットをいち早く導入した企業の一つで、ボットを介してチャットで注文を受け、クレジットカードでの支払いを処理しています。このDomという愛称のチャットボットは、Facebook Messenger以外にも、AlexaやGoogle Homeを含むその他の人気のチャネルでも使用できます。

機能:

  • 注文を受ける
  • 配達の到着予定時間を案内する
  • 必要に応じて、顧客の対応を担当者に引き継ぐ

利用方法:

Freddy:HelloFreshのチャットボット

Chatbots in customer service

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背景:HelloFreshのFreddyと呼ばれるチャットボットは、受信したメッセージを管理し、応答時間を短縮するために作成されたもので、優れた成果を挙げています。同社では、メッセージの受信数が全体で47%増加したにもかかわらず、Freddyのおかげで応答時間は76%短縮されました。

機能:

  • Facebook Messengerでユーザーに対応する
  • ユーザーにクーポンコードを送信する
  • HelloFreshに関する情報やコンテンツ(食事の雰囲気に合った音楽のプレイリストなど)を共有する

利用方法:FreddyはFacebook Messengerのチャットボットであるため、やり取りを開始するには、自身のFacebookページからHelloFreshにメッセージを送信する必要があります。

Ask Benji:アリゾナ州のFAFSAアシスタント

Chatbots in customer service

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背景:Ask Benjiは、米国アリゾナ州の学生による学資援助(特にFAFSA(Free Application for Federal Student Aid))の申請手続きをサポートするテキストベース(SMS)のチャットボットです。このボットはもともと、アリゾナ州立大学が同大学への出願を検討している高校生向けに作成したもので、その後、州内の他の教育機関に関しても同様に利用されるようになりました。

機能:

  • FAFSAに関する情報や資料を送信する
  • 必要な書類を案内する
  • 締め切り日を事前に通知する

利用方法:
Ask BenjiはSMSでのみ利用できます。「Hi Benji」とテキストで送信すれば、すぐに会話を開始できます。

カスタマーサービスにおける対話型AIの実例

企業は対話型AIの導入にも積極的です。2022年には、対話型AIエージェントがカスタマーサービスへの問い合わせの20%に対応すると見込まれています。また、Juniper Researchの試算によると、2023年には、対話型AIの活用により小売業界の収益が約120億ドルに達すると見られています。

Erica:Bank of Americaのバーチャル金融アシスタント

Conversational AI in customer service

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背景:Bank of AmericaのEricaは、個人データと分析機能を活用して顧客の資産管理に変革をもたらしています。最新の口座残高、週次の支出レポート、クレジットスコアの情報といったさまざまなデータを提供できるほか、24時間年中無休のサポートに対応して迅速な問題解決を実現します。Ericaとのやり取りには、音声またはテキスト入力を使用できます。
機能:

  • 顧客ごとに有用なインサイトを先回りで提供する
  • 金融に関するアドバイスを提供する
  • 次回の請求日を通知する
  • 支払い日を設定する
  • 口座に関する質問に回答する

利用方法:EricaはBank of Americaのモバイルアプリでのみ利用できます。アプリはApp StoreまたはGoogle Playから無料でダウンロードできます。.

Edward:Edwardian Hotelのバーチャルホスト

Conversational AI in customer service

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背景:Edwardは、Edwardian Hotelの宿泊客をサポートするSMS用AIチャットボットです。携帯電話番号を基に宿泊客の詳細情報にアクセスし、高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供します。Edwardは宿泊客のニーズを理解し、1,200種類以上のトピックについてきわめて的確に対応できます。Edwardのおかげで、同ホテルのルームサービスの売上は最大50%増加しました。

機能:

  • ホテルのアメニティを紹介する
  • 道案内や簡単なアドバイスを提供する
  • 必要に応じて、ホテル側にクレームを伝える手助けをする
  • 宿泊可能な部屋を提示して予約を受ける
  • 支払いを処理する

利用方法:
EdwardはEdwardian Hotelの宿泊客のみが利用できます。宿泊客はチェックイン時にテキストリンクを受信し、その後はSMSテキストでEdwardとやり取りします。

Julie:Amtrakのバーチャル旅行アシスタント

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背景:Julie(Ask Julie)に質問すれば、Amtrakの利用者はカスタマーサービスに電話で問い合わせなくても、必要な回答を得ることができます。Julieの導入以来、Amtrakの投資収益率は8倍になったうえ、カスタマーサービスのコストも100万ドル削減できました。さらに、ユーザーがJulieとやり取りできるようになったことで、予約率は25%向上し、他のチャネルと比べて得られる収益も30%多くなっています。

機能:

  • 必要なフォームの入力をサポートする
  • 予約、駅、路線に関する情報を提供する

利用方法:
JulieはAmtrakのWebサイトおよび電話で利用できます。

対話型AIがカスタマーサービスの新常識に

対話型AIなどのAIソリューションは、カスタマーサービスの分野で定着しつつあります。最近のPwCによる調査では、企業の52%が、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックをきっかけに自動化および対話型インターフェイスの導入が進んだと回答しています。また、回答者の86%は、AIが社内の「主流テクノロジー」になったと回答しています。

大きな成功を収めている企業は、他社に先駆けてコンタクトセンターやコールセンターにAIテクノロジーを導入、実装しています。そして競争力を維持するために、今日では多くのカスタマーサービスチームが、ZendeskのAnswer BotをはじめとしたAIチャットボットを使用してカスタマーエクスペリエンスの向上に努めています。他社との競争で遅れを取らないためにも、対話型AIテクノロジーの活用をぜひご検討ください。