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カスタマーサクセスとは?意味・役割・導入メリット・KPI・成功事例を解説

カスタマーサクセスの本質は、顧客の目標達成を支援することにあります。効果的なカスタマーサクセス戦略を策定することで、顧客維持率を高め、ビジネスの持続的な成長を実現できます。

Mozhdeh Rastegar-Panah

製品マーケティング担当シニアディレクター

カスタマーサクセス

自社の成功が顧客の成功にかかっていると言われたら、どう感じるでしょうか。実は、その通りなのです。自社の製品やサービスが顧客の目標達成に貢献しなければ、ビジネスは成長できません。顧客を中心に据えた現代の市場において、トップクラスの業績を上げている企業は、競合他社以上にカスタマーサクセスを重視しています。

カスタマーサクセスは、顧客満足度を高める最良の方法です。そして満足度の高い顧客は、企業の長期的な成長を支える存在となります。この記事では、カスタマーサクセスとは何か、その重要性、導入のメリット、戦略の立て方、チームの役割、成功のためのヒント、そして活用すべきツールまで網羅的に解説します。

カスタマーサクセスとは:顧客が製品・サービスを通じて目標を達成し、長期的な成功を実現できるよう支援する取り組み。顧客維持率の向上、解約率の低減、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客が自社のソリューションを心から気に入り、長期にわたって製品やサービスを購入し続けたいと思えるようにするための取り組みです。そのためには、強固な関係を築き、顧客の目標を理解することが不可欠です。顧客とのあらゆるやり取りが、より深く、より有意義なエンゲージメントの機会となるのがカスタマーサクセスです。

たとえば、会計ソフトウェアを導入した企業に対して、単に操作方法を説明するだけでなく、月次決算の効率化という目標達成に向けて、業務フローの設計から定着までを支援するといった取り組みが該当します。

このように顧客の成功に向けて積極的に関わることで、顧客との強固な信頼関係が生まれ、あらゆるやり取りがより深く有意義なエンゲージメントへとつながります。

カスタマーサクセスが重要な理由

カスタマーサクセスは企業が自社のソリューションから価値を引き出し、高いROIを実現するための鍵となります。カスタマーサクセスチームが顧客の目標達成を支援することで、製品やサービスがユーザーにとって価値あるものであることが明確になり、その結果として次のような効果が得られます。

  • 顧客との関係強化

  • 信頼の獲得

  • 満足度の向上

また、カスタマーサクセスを目的としたやり取りからは、製品開発、マーケティング、営業など組織全体に有益な顧客インサイトを収集できます。顧客とそのニーズへの理解が深まるほど、質の高い顧客体験を提供し、より健全なカスタマーライフサイクルを構築できるようになります。

ビジネスの成功は、売上、収益、そして顧客維持といった顧客とのかわかりにかかっています。満足度とロイヤルティの高い顧客はブランドの支持者となり、製品レビュー、SNSへの投稿、口コミなどを通じて、貴社を高く評価してくれます。

カスタマーサクセスが注目される背景

なぜカスタマーサクセスが注目を浴びるようになったのか、それにはいくつかの理由があります。

サブスクリプション型ビジネスの台頭

従来、企業は商品を一度販売することで利益を上げていましたが、近年は大きな変化が起きています。売り切り型から月額・年額の定額料金で継続的にサービスを提供するサブスクリプション型へと、ビジネスモデルが変化しています。

このモデルの特徴は、数百万〜数千万円の製品やサービスを、月々数千円〜数万円で利用できることです。導入の敷居が下がり契約しやすくなる一方で、気に入らなければ解約も容易であり、競合他社のサービスへの移行も簡単です。そのため、「契約」はゴールではなく、むしろスタートラインとなります。顧客との継続的な関係を築き、価値を提供し続けることが重要になるのです。

デジタル化による顧客行動の変化

デジタル化の進展により、顧客行動も大きく変化しています。オンラインでの情報収集や購入が一般化し、顧客は迅速かつパーソナライズされたサービスを求めるようになりました。SNSやレビューサイトを通じて顧客の声が企業評価に直結する現代では、顧客ニーズの的確な把握と迅速な対応が不可欠です。

データ活用の重要性

データ分析技術の発展により、企業は顧客の行動パターンやフィードバックをリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、問題が深刻化する前に予防的なサポートを提供したり、解約リスクの高い顧客を早期に発見したりすることが可能になっています。カスタマーサポートの受動的な対応だけでなく、データに基づいて予測される課題や不安を先回りして解決する、プロアクティブ(先取り)なアプローチが重要になってきています。

組織体制の変革

デジタル化とサブスクリプションモデルの普及により、企業の組織体制にも変化が求められています。従来の縦割り組織では、顧客の多様なニーズに迅速に対応することが難しくなってきました。そこで重要となるのが、部門間の明確な役割分担と効果的な連携です。カスタマーサクセスチームは顧客の成功に専念し、アカウントマネージャーはその関係性を基盤に提案活動を行います。この連携強化により、顧客価値と収益の両立が可能となります。

カスタマーサクセス戦略が必要な企業とは

カスタマーサクセス戦略は、特定の業種やビジネスモデルに限らず、多くの企業にとって重要な要素となっています。以下のような特徴を持つ企業は、カスタマーサクセス戦略の導入効果が特に高くなります。

  • サブスクリプション型ビジネスモデルを採用している企業:代表的なのは、サブスクリプション型のビジネスモデルを採用している企業です。たとえば、月額制のソフトウェアサービスや定期購買型のECサイトなどです。顧客の継続的な利用が収益の基盤となるため、新規顧客の獲得以上に、既存顧客の継続利用を促進することが重要です。
  • 競争が激化している市場の企業:類似サービスへの乗り換えが容易な現代では、製品やサービスの品質だけでなく、顧客との関係性が競争優位性を生み出す重要な要素となります。カスタマーサクセスを通じて強固な信頼関係が築くことができれば、価格競争に巻き込まれることを防ぐことができるでしょう。
  • 顧客のニーズが多様化・高度化している企業:製品やサービスが高度化し、顧客からの要望が複雑化している企業では、きめ細かなサポート体制が欠かせません。カスタマーサクセスチームが顧客の声を直接吸い上げ、製品開発やサービス改善に活かすことで、市場の変化にも柔軟に対応できます。
  • データ活用で成長を目指す企業:顧客データを活用した経営判断を重視する企業にとって、カスタマーサクセスは重要な戦略となります。日々の顧客とのやり取りから得られる質の高いフィードバックは、製品開発やサービス改善の貴重な資源です。カスタマーサクセス活動を通じて得られるデータは、顧客ニーズの予測や最適なタイミングでの提案を可能にします。

既存顧客のロイヤルティを維持することは極めて重要です。新規顧客の獲得にコストをかけるよりも、既存顧客がソリューションから明確なROIを実感できるようにすることで、継続利用につなげる必要があります。

カスタマーサクセス導入のメリット

カスタマーサクセスは、単なる顧客サポートを超えた戦略的な取り組みです。顧客満足度の向上を通じて、導入企業は以下のような具体的なメリットを享受できます。

顧客ロイヤルティの向上

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やサービスに愛着や信頼を抱き、継続的に選び続けてくれる状態を指します。製品やサービスの価値を最大限に引き出せるよう支援することで、顧客との信頼関係が深まり、顧客ロイヤルティ向上が期待できます。満足度の高い顧客は、製品レビューやSNSでの好意的な投稿、口コミによる推薦を通じて企業の評価向上に貢献してくれるでしょう。

解約率の低下

顧客が製品やサービスから望ましい成果を得られるよう継続的な価値提供と的確なサポートを行うことで、解約リスクを大きく減らすことができます。顧客維持率が高まり、安定した収益基盤の構築につながります。さらに、顧客のビジネスをより深く理解し、その成功に貢献し続けることは、他社サービスへの切り替えコストを高めることとなり、結果として長期的な関係維持が期待できます。

収益の拡大

既存顧客との信頼関係を基盤に、アップセルやクロスセルの機会を創出することで、顧客単価の向上が期待できます。また、満足度の高い顧客からの紹介により、新規顧客の獲得コストを抑えることも可能です。

製品・サービスの継続的な改善

カスタマーサクセスチームは、日々の顧客との深い関わりを通じて、製品やサービスに関する貴重なインサイトを得ることができます。この知見は、製品開発の方向性の決定や新機能の優先順位付け、マーケティング戦略の最適化、セールス活動の効率化など、組織全体の意思決定に活用できます。

カスタマーサクセス、カスタマーサービス、カスタマーエクスペリエンスの違い

顧客満足度に関わる各役割の責任範囲

いくつかの類似点や重複はあるものの、カスタマーサクセスは、カスタマーサービスやカスタマーエクスペリエンスを担う他のチームとは異なる役割を担います。

カスタマーエクスペリエンスに関わるすべてのチームは顧客満足の向上に重点を置きますが、それぞれ固有の責任を持っていますが、オンボーディングと教育、質問や要望への対応、フィードバックに基づく新戦略の策定など、役割は明確に分かれています。以下で詳しく説明します。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、顧客が自信と知識を身につけ、自社の製品やサービスを活用して目標を達成できるよう支援することに集中します。顧客の目標、長期的な成長、満足度にのみ焦点を当てた取り組みです。

  • 主な役割:オンボーディング、教育、製品定着、価値提供、顧客アドボカシー、能動的なエンゲージメント、サポート、顧客維持、解約管理、クロスセル、アップセル
  • 重要な理由:顧客がソリューションに期待するROI目標の達成を支援することで、ロイヤルティの高い顧客基盤を構築できる

カスタマーサービス

カスタマーサービスにとって重要なのは、顧客が製品やサービスを発見し、利用し、最適化し、トラブルシューティングできるようサポートすることです。サポート担当者は製品機能に関する質問への回答、短期的な問題の解決、技術的な問題に関する情報提供などを行います。

一方、カスタマーサクセスチームは顧客のニーズを先読みし、サポートへの問い合わせが発生する前に戦略的なガイダンスを提供することを目指します。

  • 主な役割:カスタマーサポート、顧客の課題への対応、質問への回答、問い合わせやエスカレーションの円滑な解決により、顧客の期待とエクスペリエンスを一致させる
  • 重要な理由:顧客維持に貢献する

カスタマーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンス(CX)チームは、カスタマージャーニーにおける個々のタッチポイントに注目します。どこに問題があるかを評価し、あらゆるやり取りを最適なものにする方法を探ります。

一方、カスタマーサクセスチームはそのジャーニーの最終結果に注力し、望ましい成果を実現して顧客の収益向上に貢献することを目指します。

  • 主な役割:営業、カスタマーサクセス、プロフェッショナルサービス、カスタマーサポート、マーケティングなど、顧客対応チーム全体の主要なタッチポイントがすべて効果的に機能するよう、明確な方針に基づいてエンドツーエンドのカスタマーエクスペリエンスを設計する
  • 重要な理由:顧客への理解を深め、ニーズに応えることができる

カスタマーサクセスとアカウントマネジメントの違い

カスタマーサクセスやサポートチームと同様に、アカウントマネージャーもサポートを求める顧客を臨機応変に支援することに尽力します。しかし、両者の役割は同じではありません。

カスタマーサクセスの目標は、顧客の成熟度向上を支援することでソリューションの価値を高めることです。これは、アカウントマネージャーがクロスセルやアップセルを通じてアカウントを拡大する役割と、完全に両輪の関係にあります。多くの企業では、カスタマーサクセスをリード創出の原動力として活用しつつ、商談はアカウントマネージャーやリニューアルチームに委ねています。

この役割の明確化により、カスタマーサクセスは顧客の代弁者としての立場に専念でき、一線を越えて営業活動を行う必要がなくなります。とはいえ、最高のビジネス成果を達成するためには、両チームが足並みを揃え、連携して取り組む必要があります。

カスタマーサクセスチームの主な役割

カスタマーサクセスチームの責任範囲

カスタマーサクセスチームの役割は、顧客が自社の製品やサービスを通じて目標を達成できるよう支援することです。これにより、カスタマーエクスペリエンスが向上し、強固な関係が築かれ、ビジネスの成長と継続収益の増加につながります。以下では、カスタマーサクセスチームが成果を上げるための主要な役割を紹介します。

顧客維持率の向上

カスタマーサクセスチームは顧客維持率の向上にも努めます。製品やサービスの価値を最大限に引き出し、長期的な目標達成をサポートする専任のパートナーがいれば、顧客が解約する可能性は低くなります。

サブスクリプション型の語学学習アプリLingopieは、このアプローチの好例です。顧客の成功に注力し、顧客の声に耳を傾け、価値を提供することで、Lingopieは4か月後に79%の顧客維持率を達成しました。これはNetflixやDisney+といった他のサブスクリプションアプリを上回る数値です。

パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスの提供

カスタマーサクセスチームは、顧客とより深くつながり、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供することを目指します。顧客をVIPのように扱い、目標達成に向けたカスタマイズ戦略の策定を支援することで、各顧客に価値を感じてもらい、ロイヤルティの向上につなげます。

ZendeskのCXトレンドレポート2026年版によると、消費者の60%がこの1年でカスタマーサービスに対する期待水準が引き上げられたと回答しています。さらに、72%が「たった一度の悪いサービス経験で競合他社に乗り換える」と答えており、61%が「AIが過去のやり取りを分析できるようになった今、よりパーソナライズされたサービスを期待している」と回答しています。

メッセージは明確です。消費者はパーソナライズされた質の高い体験を求めており、期待に応えられなければ即座に離反するリスクがあります。

クロスセル・アップセルの機会発掘

カスタマーサクセスチームは顧客との関係構築に重点を置いているため、クロスセルやアップセルに最適な立場にあります。営業チームからの提案は押しつけがましいと思われがちですが、信頼関係のあるカスタマーサクセス担当者からの提案は、課題解決の糸口として受け入れられる可能性があります。

製品を提案するのは、それが本当に顧客の課題を解決するか、成長を後押しする場合に限るべきです。そのため、CSMには顧客の真のニーズを的確に捉えるための戦略的思考スキルを指導し、真摯に提案する方法を教えます。クロスセル・アップセルの「意思決定ツリー」を作成するのも一案です。

フィードバックループによるインサイトの共有

カスタマーサクセスチームには、双方向のフィードバックループの一環として、顧客からのフィードバックやインサイトをチームに共有する責任があります。その情報をどう活用するかを明確にし、顧客にも計画を周知することが重要です。

そうすることで、将来の製品開発において顧客ニーズに対応できるだけでなく、自社がまだ考えもしなかった、ビジネスにとってプラスとなるイノベーションに気づくこともできます。

カスタマーサクセスの主要KPI・指標

カスタマーサクセスの成果を測定し、継続的に改善するためには、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。以下に、カスタマーサクセスチームが追跡すべき主要な指標を紹介します。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客がサービスを利用する期間中にどれだけの利益をもたらしたかを累計したものです。既存顧客の維持は新規顧客獲得よりもコストが低く、リピート購入や追加サービスの利用により、より大きな収益を生み出す可能性があります。LTVが高いほど、顧客との長期的な関係が築けていることを意味します。LTVと顧客獲得コスト(CAC)の比率は、ビジネスの健全性を測る重要な指標となります。

解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)は、一定期間内にサービスの利用をやめた顧客の割合です。カスタマーサクセスの最も重要な指標の一つであり、解約率の低減は収益の安定化に直結します。解約率には、顧客数ベースの「カスタマーチャーン」と、収益ベースの「レベニューチャーン」の2種類があり、両方を追跡することが推奨されます。低い解約率は、顧客が継続的に価値を感じていることを示し、カスタマーサクセスの効果として評価できます。

顧客維持率(リテンションレート)

顧客維持率(リテンションレート)は、一定期間中に取引を継続している顧客の割合を示す指標です。解約率の裏返しの指標であり、カスタマーサクセス活動の直接的な成果を測定できます。高い顧客維持率は、顧客が長期的に価値を感じ続けていることを意味します。業界平均と比較しながら、継続的な改善を目指すことが重要です。

NPS®(ネットプロモータースコア)

NPS®(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤルティを数値化する指標です。「この企業を、親しい人や同僚に薦める可能性はどのくらいですか?」という質問に0〜10で回答してもらい、推奨者(9〜10)、中立者(7〜8)、批判者(0〜6)に分類します。推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPS®となり、顧客ロイヤルティの健全性を示す重要な指標です。高いNPS®は、カスタマーサクセスがうまくいっていることを示します。

CSAT(顧客満足度スコア)

CSAT(顧客満足度スコア)は、顧客が製品やサービスにどれだけ満足しているかを測る指標です。通常、顧客に対して簡単なアンケートを実施し、満足度を数値化します。カスタマーサクセス活動の直後にアンケートを実施することで、個別の取り組みの効果を評価できます。CSATは、顧客の期待に応えられているかどうかを示す直接的な指標であり、改善に向けた具体的なアクションを導き出すために活用されます。

製品定着率(アダプションレート)

製品定着率は、顧客が製品の主要機能をどの程度活用しているかを示す指標です。オンボーディング完了率、機能利用率、ログイン頻度などを通じて測定します。定着率が高い顧客は解約リスクが低く、アップセルの可能性も高まります。

ヘルススコア

ヘルススコアは、複数の指標を組み合わせて顧客の健全性を総合的に評価するスコアです。製品利用状況、サポート問い合わせ頻度、NPS®回答、契約更新履歴などを加味し、解約リスクの高い顧客を早期に特定するために活用します。

カスタマーサクセス導入の6ステップ

カスタマーサクセスの導入は、段階的なアプローチで進めることが成功への鍵となります。以下の手順に沿って、自社に合った方法で導入を進めていきましょう。

ステップ1:目的・目標の設定

カスタマーサクセス導入の目的を明確にすることから始めます。企業のビジョンや戦略に基づいて、「顧客満足度の向上」「解約率の低下」「収益の増加」など、具体的なKPIを設定します。この目標設定の過程では、経営陣を含む全社的な合意形成が重要です。明確な目標があることで、その後の取り組みの方向性が定まり、成果の測定も容易になります。

ステップ2:カスタマーサクセス戦略の立案

顧客理解から始める戦略立案は、カスタマーサクセス導入の重要なステップです。まず既存顧客を利用頻度、契約規模、業種、成長ステージなどの観点から分析し、異なるニーズを持つセグメントに分類します。この分類を基に、各セグメントの顧客がライフサイクルの各段階でどのような支援を必要としているのか、具体的な価値提供の方法を明確にしていきます。また、カスタマーサクセスライフサイクルを綿密に計画することも、自社に最適なモデルを構築するうえで重要です。

戦略策定の出発点がわからない場合は、以下の質問をガイドとして活用してください。

  • 顧客が好むコミュニケーションチャネルは何か

  • 顧客基盤はどのようなコンテンツを好むか

  • 現在のカスタマーエクスペリエンスはどのようなものか

  • カスタマーサクセスは既存顧客のエクスペリエンスにどう影響を与えられるか

ステップ3:推進チームの編成

カスタマーサクセスを推進するためのメンバーを集め、推進チームを編成します。特に重要となるのが以下の要素です。

  • 各メンバーの役割と責任の明確化

  • 他部門との連携方法の確立

  • 意思決定プロセスの設計

  • 必要なスキルトレーニングの計画

カスタマーサクセスチームには、カスタマーサービス経験のある人材が求められます。採用すべきスペシャリストの人数は、企業の規模や成長スピードによって異なります。事業の拡大に応じてチームも増強し、顧客に十分なサービスを提供し続けられる体制を維持しましょう。

ステップ4:プロセスの設計とシステム・ツールの整備

カスタマーサクセス活動を効果的に実施するための基盤を整備します。オンボーディングから定期フォローアップまで、顧客との各接点におけるプロセスを設計し、それを支えるツールを選定します。ユーザーのアクティビティと傾向を監視できる環境が必要であり、効果的なCRMソフトウェアはデータに基づいたレポートを生成し、顧客行動を予測できるため、問題が発生する前に解決策を特定するのに役立ちます。プロセスとツールの選定では、将来の拡張性も考慮に入れることが重要です。

ステップ5:パイロット運用の実施

限定された顧客グループを対象に試験的な運用を開始します。この段階では、設計したプロセスの有効性を検証し、顧客からの反応を確認します。実際の運用を通じて見えてくる課題や改善点を丁寧に拾い上げ、本格展開に向けた調整を行います。小規模での検証により、リスクを最小限に抑えながら、効果的な導入方法を確立できます。

ステップ6:本格的な展開

パイロット運用で得られた知見を基に、対象顧客を段階的に拡大していきます。この過程では、成功事例の共有や社内教育の実施を通じて、カスタマーサクセスの考え方を組織全体に浸透させていきます。展開の各段階で生じる課題に丁寧に対応し、必要に応じて手順の調整を行います。全社展開では特に、各部門との連携体制の強化と、ナレッジの共有体制の確立が重要となります。

カスタマーサクセス戦略を構築する6つのヒント

カスタマーサクセス戦略構築のヒント

カスタマーサクセスで最大限に成果をあげるには、戦略の策定が不可欠です。戦略の策定と実行を進めるうえで、役に立つ6つのヒントを心に留めておいてください。

1. 専任のカスタマーサクセスチームを編成する

カスタマーサクセスは、顧客のために全力を尽くす人材で構成された適切なチームの編成から始まります。このチームは、カスタマーサービス、アカウントマネジメント、その他の顧客対応部門とは独立した組織とすべきです。

  • 中小企業の場合:特別なトレーニングを受けたサポート担当者1名を戦略的に採用することで、カスタマーサクセスチームを実現できる
  • SaaS企業、大企業、サブスクリプション型ビジネスの場合:特定のアカウントを専任のメンバーが担当する、より大規模な部門としてカスタマーサクセスを構築する必要がある。チームを率い、顧客が製品・サービスを活用して長期にわたって成果を上げられるよう尽力するCSMも不可欠

あらゆる面で多様性のあるチームを編成することが重要です。さまざまな経歴や経験を持つメンバーが集まると、多様なスキルと視点が備わったチームになります。この多様性により、CSMは顧客をサポートする際に、より革新的で創造的なアプローチをとることが可能になります。

2. 全社的なカスタマーサクセス文化を醸成する

カスタマーサクセスは全社的な取り組みでなければなりません。最も効果的なのは、顧客中心の文化を醸成し、トップダウンで浸透させていくことです。

経営幹部やリーダーの支持を得るための鍵は、顧客中心の取り組みがもたらす成果を定期的に共有することです。顧客継続率の向上や既存顧客からの追加発注による売上貢献といった具体的な数字で経営指標との関連を示しましょう。収益への直接的なインパクトを目の当たりにすれば、経営層もこうした取り組みを無視することが難しくなります。

リーダーシップの関与が得られれば、組織全体の協力を得るのはずっと容易になります。チームリーダーは、たとえば以下のようなさまざまなことを主導できます。

  • カスタマーサクセス施策の推進

  • 新しいポリシーの承認

  • カスタマーエクスペリエンスを向上させる製品の変更

こうした顧客中心の考え方は、自然と会社全体に広がっていきます。

3. データドリブンな意思決定の仕組みを作る

カスタマーサクセスの効果を最大化するには、感覚や経験則だけでなく、データに基づいた意思決定が不可欠です。製品の利用ログや顧客とのやり取り、サポート履歴などのデータを一元管理する仕組みを整えるには、CRMの導入が効果的です。顧客の状況をリアルタイムで把握し、チーム間で情報を共有できます。

データ分析は次のような視点で行います。

  • 問題点の特定:サポート担当者を通じて集まるクレームや不満を体系的に記録し、顧客の成功を妨げている課題を明確にする。苦情は製品やサービスと関係するものだけではなく、請求時の問題といった比較的単純でも顧客に大きな影響を与える課題を見逃さないようにする
  • 成功要因の把握:成果を上げている顧客の成功要因を解明し、それを継続的に再現できるようにする

分析結果は必ず具体的なアクションにつなげることが重要です。解約リスクの高い顧客には予防的なフォローアップや製品機能の改善提案を行い、成功している顧客から得られた知見は新規顧客のオンボーディングやトレーニングプログラムに組み込むなど、他の顧客支援に活用します。

4. オンボーディングプロセスを能動的なものにする

充実した解説資料を活用した包括的なオンボーディングプロセスにより、新規顧客はスムーズに利用を開始し、ビジネス、製品、サービスに関する有益な情報を得られます。優れたオンボーディングプロセスがあれば、顧客は製品やサービスがいかに有益か、ニーズに合致しているかをすぐに理解し、効果的な使い方を習得できます。

たとえば、以下のようなオンボーディングを提案できます。

  • 有料顧客向けのビデオキックオフコール

  • 無料トライアル顧客向けのチェックリスト形式のアプリ内オンボーディング

ただし、情報過多にならないよう注意が必要です。すべてのコンテンツは、理解しやすく、かつ有益なものでなければなりません。

5. 顧客セグメンテーションによるパーソナライズ戦略を実施する

効果的なカスタマーサクセスを実現するには、すべての顧客に画一的なアプローチを取るのではなく、特性に応じた支援が必要です。契約規模や業種、成熟度など複数の要素に基づいて顧客を分類しましょう。分類に応じて支援内容やメッセージを調整することで、ニーズに合わせた適切な対応ができます。

特に満足度の高い顧客に対しては、紹介プログラムへの参加を促すことで、新規顧客の獲得にもつなげられます。たとえば、新規顧客を1人紹介するごとに、既存顧客に無料トライアルや1か月分の無料利用を提供するといった特典が考えられます。

6. 継続的な改善サイクルを構築する

カスタマーサクセスの取り組みは、定期的な見直しと改善が欠かせません。KPIモニタリングを通じて効果測定を行い、その結果を基に戦略やプロセスの最適化を進めます。改善活動を組織文化として定着させることで、変化する顧客ニーズにも柔軟に対応できる体制を維持します。

カスタマーサクセスを成功に導くツール

カスタマーサクセスを効果的に推進するには、適切なツールの選択と活用が不可欠です。以下に、主要なツールとその特徴を解説します。複数のツールを連携させることで、より効果的なカスタマーサクセスを実現できるでしょう。

CRMシステム

顧客データを一元管理するツールです。契約情報やコミュニケーション履歴、利用状況など、あらゆる顧客接点のデータを管理できます。顧客の全体像を把握し、適切なタイミングでの施策実施が可能になります。効果的なCRMソフトウェアはデータに基づいたレポートを生成し、顧客行動を予測できるため、問題が発生する前に解決策を特定するのに役立ちます。

カスタマーサポートツール

顧客からの問い合わせを効率的に管理するツールです。チケット管理やナレッジベース、マルチチャネル対応などの機能により、迅速で質の高いサポートを提供できます。サポート履歴は貴重な情報源となり、カスタマーサクセス活動の改善にも活用できます。カスタマーサポートツールの選定にあたっては、自社のニーズや予算、既存システムとの相性を十分に検討することが重要です。

カスタマーサクセス管理プラットフォーム

CRMと連携して顧客データを一元管理し、顧客の状況を可視化できるツールです。カスタマーサポートツールが日々の問い合わせ対応に焦点を当てているのに対し、こちらは顧客の長期的な成功を支援するためのツールです。利用状況の可視化や解約リスクの予測、KPIの管理、アップセル・クロスセルの機会の見極めなど、より戦略的な機能を備えています。顧客のライフサイクル全体にわたって計画的な支援を実現します。

チャットボット

チャットボットとは、24時間365日稼働する自動応答システムです。顧客からのよくある質問に即座に回答し、初期対応の効率化に貢献します。AIを活用して顧客の意図を理解し、適切な回答や必要に応じて人間のオペレーターへの引き継ぎを行います。カスタマーサクセスチームは複雑な問い合わせにより多くの時間を割くことができ、サポート品質の向上につながるでしょう。

オンボーディングツール

新規顧客や既存顧客が製品やサービスを効果的に利用できるよう支援するツールです。ステップバイステップのガイダンスや、インタラクティブなチュートリアルを提供することで、顧客の習熟度を高め、製品の価値を最大限に引き出すことができます。これにより、顧客の初期段階でのつまずきを減らします。

カスタマーサクセスの成功事例

カスタマーサクセスの取り組みが成功している日本企業の事例を紹介します。

HENNGE株式会社の事例

HENNGE株式会社は、企業向けSaaS認証基盤を提供する会社です。顧客との良好な関係を維持し、低解約率を維持するため、カスタマーサクセス部門を設立しました。しかし、顧客対応が属人的で、対応のスケールに限界を感じていました。

問い合わせ対応の効率化を図るため、Zendeskを導入した結果、営業部門や開発部門との連携が強化され、顧客の声を適切なアクションにつなげられるようになりました。

株式会社ココナラの事例

スキルマーケットを運営する株式会社ココナラは、カスタマーサポートで大きな課題を抱えていました。「使い方」の問い合わせは発生前の段階での解決が望ましい一方、「ユーザー間トラブル」には丁寧な個別対応が必要不可欠でした。この相反するニーズに応えるため、ハイブリッド型のカスタマーサクセスを模索していました。

Zendesk導入後は、ヘルプページの徹底的な改善と、状況に応じて使い分けられる400パターン以上の定型文(マクロ機能)を活用することで、問い合わせ削減と質の高い個別サポートを両立し、効率的な業務運営を実現しています。

カスタマーサクセスに関するよくある質問

カスタマーサクセスは自社の長期的な成長に不可欠

カスタマーサクセスは、組織の長期的な成長に不可欠な要素です。サブスクリプション型ビジネスが主流となった現代において、競争優位性を維持・向上させるための重要な経営戦略といえます。顧客の成功を長期的な視点で支援することで、継続的な取引関係が構築され、結果として自社の安定した収益基盤へと成長するでしょう。

最も重要な第一歩は、自社におけるカスタマーサクセスを定義し、顧客満足度の向上を全社的な目標に据えることです。効果的な導入には、経営層から現場まで一貫したカスタマーサクセスの目的意識を共有し、段階的に進めることが重要です。

Zendeskはカスタマーサクセスを支援するソリューションを提供しています。14日間無料でお試しいただける無料トライアルをご用意していますので、ぜひお気軽にお試しください。

Mozhdeh Rastegar-Panah

製品マーケティング担当シニアディレクター

Mozhdeh Rastegar-Panahは、Zendeskの製品マーケティング担当シニアディレクターであり、CX領域で豊富な実績を持つリーダーです。12年以上にわたりカスタマーサービスのイノベーション最前線で活躍し、AIやCXテクノロジーをグローバル企業向けの効果的かつスケーラブルなソリューションへと落とし込むことを専門としています。メッセージング、自動化、オムニチャネル戦略を通じたカスタマーサポートの高度化に注力しており、戦略的なビジョンと実践的な専門知識を兼ね備え、カスタマーサービスの未来を切り拓いています。

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