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カスタマーサービスの案内役としてAIチャットボットを活用すべき理由

長時間待たされたり、自動システムから人間の担当者に引き継いでくれなかったり、同じ情報を繰り返し何度も聞かれたりした経験はありませんか?

更新日 2024年2月22日

だれもがこうした不快なカスタマーエクスペリエンスを経験したことがあるはずです。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」では、こうした対応が、満足度の低いカスタマーサービスにつながる要因として上位に挙げられています。

消費者の75%は、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供してくれるブランドを積極的に利用したいと考えており、今日の企業は、カスタマーサービスの品質によって顧客のロイヤルティが左右されることを認識するようになっています。

しかし、各ブランドがカスタマーエクスペリエンスの改善に誠心誠意取り組んでいるにもかかわらず、その方法が間違っているというケースも少なくありません。カスタマーサービスを強化するために、顧客とのタッチポイントやサポートチャネルをできるだけ増やそうとすることは、理論的には間違っていないように思えますが、そのせいでカスタマーサービスチームの効率が大きく低下するおそれもあります。

ワンドア戦略とは

KPMGの「Global Customer Experience Excellence Report(カスタマーエクスペリエンスのパフォーマンスに関するグローバルレポート)」によると、消費者の90%がカスタマーサービスにおける最も重要な要素は「解決」だと回答しています。新たなサポートチャネルが毎日のように追加されれば、たちまちコールセンターの負担が増大し、顧客への応答が大幅に遅れます。

ワンドア戦略を採用すれば、カスタマージャーニー全体で一貫したエクスペリエンスを提供できます。

顧客からの問い合わせを適切に管理し、優先順位を付け、緊急度の高いものから迅速に対応するためには、カスタマーサービスチームが最初に顧客を出迎えるタッチポイントを一本化する必要があります。これを「ワンドア戦略」と呼びます。

顧客からの問い合わせ手段が、Webサイト、アプリ、Facebook Messenger、WhatsApp、その他のどのチャネルであっても、担当者とのチャット、電話、チケット管理システム、IVR(自動音声応答システム)、FAQへの案内役としてスマートなチャットボットやバーチャルアシスタントを利用すると、その場ですぐに問い合わせに回答できます。あるいは、チャットボットが問い合わせの内容を的確に判断して適切な担当者に転送することで、迅速かつ効率的に問題を解決できます。

そうすれば、待ち時間が長くて、顧客満足度が低下し、サポート担当者の負担が増大するという悪循環と決別できます。しかも、ワンドア戦略を採用すれば、カスタマージャーニー全体で一貫したエクスペリエンスを提供できます。以下にそのメリットを詳しくご紹介します。

ワンドア戦略のメリット

  • 人間の担当者とAIが業務を適切に分担

    人間のサポート担当者と直接話したいのに、自動システムとの会話に延々付き合わされ、いつまで経っても問題への回答が得られずにイライラしたという経験は、だれにでも一度はあるでしょう。ワンドア戦略では、こうした苦痛を解消するために、AIチャットボットをカスタマーサービスの第一線に配置し、人間の担当者に引き継ぐタイミングを正確に判断します。

    ワンドア戦略によって人間とボットのやり取りを最適化している企業の好例が、フランスとスイス間を結ぶ鉄道会社のTGV Lyriaです。Lyriaは、カスタマーサービスの最初の案内役として全面的にチャットボットを利用しており、顧客からも好評を得ています。

    顧客の問題の大半はボットが自動的に解決していますが、問題が複雑な場合は、ボットが問い合わせの内容を確認し、必要な情報を網羅したチケットを作成し、それをカスタマーサービスチームの担当者に転送することで、迅速に問題を解決しています。

    その結果、Lyriaはチームの人員を増やすことなくサポート業務を拡張し、処理時間を短縮して、顧客満足度を向上させることができました。

  • 的確でパーソナライズされたカスタマーサービスを迅速に提供

    Gartnerによる調査「How to Develop a Winning Customer Self-Service Strategy(顧客向けセルフサービス戦略の効果的な策定方法)」で触れられているように、一貫性があってクロスチャネルに対応した統合型のカスタマーエクスペリエンスにセルフサービス用テクノロジーを組み込むことは困難で、実現できている企業はほとんどありません。しかし、ワンドア戦略を採用すれば、こうした課題を単純化し、オムニチャネル対応の効率的なセルフサービス型サポートを導入できます。

    各サポートチャネルの最初のタッチポイントとして、スムーズにやり取りできるチャットボットを設置すれば、応答時間の短縮や顧客満足度の向上といった成果がすぐに現れます。

    ボットは、顧客からの問い合わせの50%以上を自力で処理できます。人間の担当者と話した方がよいと判断した顧客に対しては、問い合わせの内容を確認し、どのチャネルやサポート方法に引き継いだらよいかを見極めます。

    そして、担当者に背景情報を共有したうえでチャットに顧客を誘導したり、電話での直接的なサポートを案内したり、あるいは、顧客と担当者が都合の良いときにやり取りできるようにチケットを作成したりします。

    ワンドア戦略を通じて、こうしたカスタマーサービスのプロセスを構築すれば、顧客が必要とする情報に基づいて対応をパーソナライズしたうえで、正確な回答を迅速に提供できます。

顧客と担当者にとってのワンドア戦略のメリット

ワンドア戦略の最大のメリットは、顧客と担当者の両方の満足度が向上することでしょう。カスタマーサービスの案内役としてボットを導入すると、ボットは顧客からの問い合わせに自動的に回答したり、その内容を確認したりして、人間の介入が不可欠な問い合わせのみを担当者に割り当ててくれます。その結果、多忙な担当者の負担が軽減され、複雑で付加価値のある問い合わせのみに集中できます。

たとえば、TGV Lyriaのチャットボットは、顧客からの問い合わせの大半を自力で処理するか担当者に転送しているため、担当者にとっては大幅な時間の節約になり、難しい問い合わせに専念できるようになりました。これにより、サポート業務を拡張し、処理時間を短縮し、パーソナライズされたサービスを迅速に提供することで、同社は高い顧客満足度を維持しています。

チャットボットが案内役になったら、メールや電話でのサポートはどうなるのか

注意したいのは、ワンドア戦略とは、電話やメールでのサポートを廃止することではなく、そうしたチャネルの案内役としてチャットボットを活用することです。カスタマーサービスの最初の窓口として適切なAIチャットボットを利用すれば、ボットが顧客を的確なチャネルやタッチポイントにすばやく転送し、迅速かつ正確に問題を解決できます。

しかし、自社のWebサイトに問い合わせ用のメールアドレスや電話番号を掲載するなどして「裏口」を設けてしまうと、ワンドア戦略のメリットが瞬く間に消えてしまいます。ワンドア戦略は、これらのチャネルを廃止したり、自動システムによるサポートのみを提供したりしようとするものではありません。むしろ、あらゆるチャネルでカスタマーエクスペリエンスを最適化できるスマートなチャットボットを活用して、できる限り多くのチャネルで顧客に対応することを目的としています。

Mindsay + Zendesk

MindsayはZendeskと協力して、企業が顧客と担当者に優れたエクスペリエンスを提供して業務を効率化できるように支援しています。MindsayのチャットボットはZendeskとシームレスに統合され、応答時間の短縮、担当者の生産性向上、顧客の満足度向上を実現します。詳細については、こちらのページをご覧ください。

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