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押さえておきたいカスタマーサービスのカテゴリとは?

知っておくべきサポートチャネルの種類と共に、カスタマーサービスにおいて提供するチャネル以上に大切なことについて説明します。

発行日: 2022年1月7日
更新日: 2022年1月7日

カスタマーサービスを提供するうえでは、メール、SNS、電話、セルフサービスといった実にさまざまな手段があるため、カスタマーサービスのカテゴリは途方もなく多くあるように感じられるかもしれません。チャネルが違うとカスタマーサービスのカテゴリも異なると考えがちですが、実質的には、カスタマーサービスは2つに大別されます。事前対応型のサービスと事後対応型のサービスです。この記事では、サポートチャネルの種類や事前対応型および事後対応型のサポートについて触れながら、さまざまなカスタマーサービスの形をご紹介します。

サポートチャネルの5つの種類

従来の実店舗での対応

実店舗がこの先なくなるということはないでしょう。たいていの人はショッピングが好きですし、商品に実際に触れて雰囲気を確かめたいと思うものです。しかし、世界が変化していく中で企業が生き残っていくには、世の中の動きに合わせて機敏に対応していく体制を整える必要があります。

現在、かつてないほど多くの顧客がオンラインを利用するようになっています。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート(2021版)」によると、顧客の65%がオンラインですばやく簡単に取引できる企業からの購入を望んでおり、そうした背景から、顧客の49%がAmazonのサービスに最高の評価を与えています。

優れたカスタマーサービスでは、オンライン、モバイル、実店舗での顧客のエクスペリエンスがスムーズに連携されています。そうしたエクスペリエンスを連携するために小売業界が用いている方法の一つが、「クリック&コレクト」「クリック&リザーブ」などと呼ばれるサービスです。

このサービスを利用すると、顧客はオンラインでブーツを購入した後、それをZoom会議の合間に店舗で受け取ることができます。また、受け渡しの準備が整ったタイミングで、スマートフォンのSMSで通知を受け取ることもできます。

メールによるサポート

メールは、顧客が企業とコミュニケーションを取るうえで従来から用いられている手段であり、広く利用されているサポートチャネルです。適切なメール管理ソフトウェアさえ使用すれば、カスタマーサービスでのやり取りを一元的に整理し、優先順位を付けたり、別の担当者に対応を割り当てたりするうえで、メールは最も手間のかからないチャネルの一つになり得ます。

メールの利点は、メールアカウントを持っていない人が現在では少なくなっているという点と、顧客がいつでも問い合わせできるという点です。メールは一般的に、企業が最初に設置するサポートチャネルでもあります。

社内サポートでも、メールはよく用いられます。人事、給与計算、ITを担当するチームでは、社内で発生した問題への対応や従業員からの質問への回答にメールが使用されています。

メッセージングおよびチャットによるサポート

顧客は、Facebook Messenger、SMS、WhatsAppなど、友人や家族とのコミュニケーションに使用しているチャネルで企業ともやり取りしたいと考えるようになっています。事実、顧客の3分の1近くが、2020年に初めて企業への問い合わせにメッセージングを利用し、そのうちの74%が今後も利用を続けたいと回答しています。

企業側もその動きに対応しています。2020年には、企業の40%が新しいチャネルを導入し、そのうち53%がメッセージングを採用しています。顧客とのやり取りにメッセージングを使用している企業は、問題解決時間が最も短く、顧客満足度も高いことがわかっています。

企業がメッセージングを好む理由は顧客と同じです。メッセージングは、スピード、利便性、親しみやすさ、安全性に優れています。チャットと違い、リアルタイムである必要はないため、より柔軟な対応が可能になります。顧客は都合に応じて、リアルタイムで会話をすることも、犬の散歩などの用事を済ませつつ問題を解決することもできます。

メッセージングの利用率が上昇する一方で、AIやチャットボットの利用も増加しています。2020年には、チャットボットによる顧客対応が81%も増加し、WhatsAppに次いで多くの問い合わせに対応しました。企業がメッセージングを利用する一番の理由がそのスピードの速さであるだけに、ボットは瞬く間に、あらゆるメッセージング戦略に不可欠な要素となりました。

ボットは24時間体制のサポートを可能にし、何度も寄せられる簡単な問い合わせをサポート担当者の代わりに処理してくれるため、カスタマーサービスチームにとって重要なパートナーとなっています。

電話によるサポート

メッセージやチャットが多用される時代でも、電話によるサポートは今も問題解決に有効な手段です。顧客からの複雑な問い合わせをすばやく解決し、よりきめ細やかでパーソナライズされたサポートを提供できます。

担当者を配置する必要があるという点を考えると、電話サポートは確かにコストがかかるかもしれません。しかし、インサイト機能を備えた統合型のソフトウェアを使用すると、的確な人員配置を行ったり、通話件数を把握したり、他のチャネルとチケットの件数を比較したりすることができます。さらに、適切なソフトウェアがあれば、顧客との過去のあらゆるやり取りを把握したり、チケットを自動で作成したり、通話を録音したりと、時間の節約に役立つさまざまな機能も利用できます。

優れたカスタマーサービスを電話で提供するには、サポート担当者が対応する時間帯、あいさつの言葉、保留音、割り当て時のルールなどを検討する必要があります。こちらでは、電話でのサポートに対する不安を解消できます。

セルフサービス型サポート

カスタマーサービスチームは、顧客が抱える問題に加え、その最適な解決方法を熟知しています。しかし同時に、各担当者は情報収集に多くの時間を費やしてもいます。ナレッジベースを整備すれば、社内で蓄積された知識を活用し、カスタマーサービスチームが質の高いサービスの提供に必要な情報を入手できるようになります。さらにナレッジベースは、従業員間の知識の隔たりを認識し、解消するのにも役立ちます。

顧客は、やり取りの手間がかからないという点で、セルフサービス型サポートを好む傾向にあります。ヘルプセンター、ユーザーコミュニティ、カスタマーサービスポータルを通じ、顧客自身に問題を解決してもらうことで、企業は顧客の手間を減らせると同時に、効率化と迅速な問題解決を実現できます。

優れたカスタマーサービスを提供するうえで、セルフサービスは欠かせないチャネルであり、良質なセルフサービスエクスペリエンスは、顧客満足度の改善、サポートコストの削減、サポート担当者のエンゲージメントの向上につながります。

チャネルが変わっても会話を継続

このように、企業が提供できるサポートチャネルにはさまざまな種類があります。2020年には、顧客の64%が新しいチャネルを利用し、そのうち73%が今後も利用したいと答えていることからも、もはや1つのチャネルを提供するだけでは通用しません。

大切なのは、顧客が普段から利用しているチャネルでやり取りできるようにすることです。企業側が使用しているチャネルに合わせてもらうようではいけません。顧客が利用しているチャネルがわからない場合は、ひとまず顧客からのフィードバックやその他の顧客データを確認することから始めるとよいでしょう。

しかし、優れたカスタマーサービスは、顧客が好むチャネルでサポートを提供するだけで実現されるものではありません。その裏で、適切なカスタマーサービスソフトウェアを利用し、チャネルやデータを連携させることも重要です。

前述のZendeskのレポートによれば、応答時間や顧客満足度など、カスタマーエクスペリエンスに関する主要な指標で優れた成果を出している企業は、オムニチャネル対応のサポートを提供している傾向があります。

オムニチャネルとは、企業が提供しているすべてのサポートチャネルを1つの合理的なワークスペースに統合する手法です。チャネルを連携させ、会話をシームレスに継続できるようにすると、サポート担当者の生産性が向上し、社内全体で情報を共有できるうえ、顧客にとっては、最も都合の良いチャネルから問い合わせできるようになります。

たとえば、顧客がWhatsApp経由で自転車の返品希望について連絡してきた場合、サポート担当者は、その顧客との会話履歴を参照して、WhatsApp以外のチャネルも含め、以前にもその自転車に関する問い合わせがなかったかどうかを把握することができます。統合型のワークスペースではさらに、顧客の請求に関する詳細や連絡先情報を担当者がすぐに確認できるため、顧客に何度も説明してもらうことなく、返金処理を行い、領収書をメールで送信できます。

カスタマーサービスの最も重要なカテゴリ

顧客のニーズに応えるには、適切なチャネルを選択することがカギとなりますが、それ以上に大切なのは、カスタマーサービスに対する考え方です。問題に直面した顧客からの問い合わせを待っているだけなのか、それとも積極的に手を打って先回りして問題を解決するのか、その姿勢が問われます。

これまでは、問い合わせや問題を抱えた顧客からの連絡を待つ、事後対応型のサポートが主流でした。しかし、今日のカスタマーサービスでは、事前対応型のサポートが重視されるようになってきています。このタイプのサポートでは、顧客が直面するであろう問題を予測して事前に対処します。

具体的には、FAQなどのセルフサービス用コンテンツを用意したり、配送の遅延について顧客にメールで知らせたりします。これにより、顧客は最新の状況を把握できるようになるため、満足度が低下することはありません。オンラインショップでカートに入れた商品を購入しようか迷っている顧客に対しては、決済ページのチャットを通じて不明な点はないかとたずねるとよいでしょう。

事前対応型のカスタマーサービスとは、顧客が必要に迫られて問い合わせをする前、あるいは顧客の満足度が低下する前に、問題を察知して解決することなのです。

提供するチャネルだけがカスタマーサービスの質を左右するわけではない

カスタマーサービスが優れているかどうかは、顧客が問い合わせる際に使用できるチャネルの種類だけで決まるものではありません。企業各社が提供するカスタマーサービスは、複数のサポート担当者やチャネルがシームレスに連携しているかどうか、顧客が必要とする前にサポートを提供しているかどうかといった点で区分けされるようになってきています。

今後は、あらゆるチャネルで先手を打ったサービスを提供できるカスタマーサービスチームこそが、カスタマーエクスペリエンスとカスタマーサービスの未来を担っていくことでしょう。

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