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BtoBカスタマーサービスとは? 成功のためのヒントもご紹介

業界トップレベルのBtoBカスタマーサービスを提供し、顧客から信頼を得て、長期的な関係を構築しましょう。

発行日: 2021年10月22日
更新日: 2021年10月22日

BtoC企業と比べ、BtoB企業はカスタマーサービスを重視していないと言われていますが、これは誤った通説です。Accentureのレポートによれば、BtoB企業の幹部の90%以上が、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することがビジネスの目標達成のカギであると考えています。

BtoB企業にとって、カスタマーエクスペリエンス強化の取り組みはきわめて重要です。BtoC企業の場合と比べて、BtoB企業は顧客の数が少ない傾向にあるため、1社でも取引先を失うわけにはいきません。さらに、BtoB企業の多くは大規模で複雑な製品やサービスを販売しており、価格も高額であるため、顧客との関係構築がいっそう大切になります。

こうした重要な関係を育成し発展させて、いつまでも維持できるようにするには、顧客にとって本当に役に立つ、高品質なカスタマーサービスを提供し続ける必要があります。何から手を付ければよいかわからないという皆さんも、心配には及びません。この記事で、BtoBカスタマーサービスに関する知識をお伝えします。

BtoBカスタマーサービスとは

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業に向けて製品やサービスを販売するビジネス形態のことです。したがって、BtoBカスタマーサービスとは、BtoB企業が自社の製品やサービスを使用する顧客企業をサポートすることを意味します。それを通して、自社や、自社で提供する製品・サービスに対する信頼を得て、長期的な取引を続けてもらうことがねらいです。

BtoBカスタマーサービスの場合は、顧客と近い距離で接することが多く、質問に答えたり、技術的なトラブルの解消を支援したりするほか、問題解決に必要となるリソースを提供する場合もあります。こうしたサポートは、ヘルプセンター、AIチャットボット、人間のサポート担当者などによって提供されます。

皆さんの会社がBtoB企業の場合は、自社で提供しているカスタマーサービスこそがBtoBカスタマーサービスと考えれば、わかりやすいでしょう。

BtoBとBtoCのカスタマーサービスの相違点

BtoBカスタマーサービスのプロセスは、BtoCカスタマーサービスとは大きく異なります。自社の製品やサービスを使用する顧客を相手にするという点では、いずれも同じです。ただし、BtoBの場合は、顧客との関係がより複雑になりやすい傾向があります。

  • BtoBカスタマーサービスでは、関わる人の数が多い

    個人を相手とするBtoCとは異なり、BtoB企業は、取引先の会社全体と関係を構築し維持する必要があります。そして、配置転換も考慮するなら、各部門の担当者と強いつながりを築けたとしても、相手が1人では安心できません。

    さらに、顧客企業が複数のチームにわたって自社の製品やサービスを使用している場合は、そのやり取りをすべて追跡しなければなりません。この場合、サポート担当者は、複数のやり取りや優先事項にうまく対処できるように備えておく必要があります。

    企業によっては、購入の意思決定に大勢の関係者がかかわることもあります。そうなると、契約を締結するまでに、いくつもの法的な手続きを踏んだり、さまざまな関係者の承認を得たりする必要があるでしょう。それでも高品質なカスタマーサービスを提供するには、忍耐強く顧客に対応すると共に、各顧客企業の特徴を理解することが重要です。

    また、BtoBカスタマーサービスの担当者は、より複雑な問題に対処できるように備えておく必要もあります。BtoCの顧客は通常、代金の払い戻しや故障品の交換といったシンプルな問題についてサポートを求めてきます。一方、BtoBの顧客は一般に、より重大で複雑な問題について問い合わせてきます。

    たとえば、顧客が単にアプリの不具合について問い合わせてきた場合は、比較的スムーズに対応が進みます。それに対し、社内全体で統合された業務ソフトウェアを使用している企業が相手の場合は、はるかに高度なサポートが必要になります。

  • BtoBカスタマーサービスでは、顧客が緊急性の高いビジネスニーズを抱えている

    BtoB企業の顧客にとって、皆さんの会社のサービスや製品はビジネスの運営に欠かせないものです。そのため、わずかでも不具合が生じると、顧客の収益に悪影響を及ぼしかねません。

    仮に皆さんの会社が、企業向けにメールマーケティング用のアプリケーションを提供しているとしましょう。その場合、アプリケーションがクラッシュしてしまうと、顧客はマーケティングメールを送れず、ビジネスの能力が低下してしまいます。さらには、それが引き金となって顧客との関係にひびが入り、信頼を失う可能性もあります。

    そこで、BtoBのカスタマーサービスに欠かせないのが、24時間体制の技術サポートを提供することです。他にも、セルフサービス用チャネルを充実させることも効果的です。これは特に、請求やアカウントの保守といったシンプルなタスクに役立ちます。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によれば、企業とのオンラインでのやり取りで重視するポイントとして、顧客の65%が簡潔さを挙げています。迅速でシームレスなカスタマーエクスペリエンスを確実に提供できるように手を尽くしましょう。

  • BtoBカスタマーサービスでは、顧客関係が長期にわたる

    BtoB企業では、多くの場合、顧客との関係が長期にわたります。つまり、顧客とのつながりを強化し、ロイヤルティを高めるチャンスが豊富にあるということです。

    Zendeskのカスタマーサクセス部門シニアマネージャー、Sam Chandlerはこう話します。「これまでに、私が顧客の立場で担当者と最も深いつながりを築けたのは、相手がBtoB企業のときでした。たとえ私が一消費者として、とあるブランドの熱心なファンだったとしても、常に専属の担当者が対応してくれるということはありません。あるいは、よく行く店があったとしても、決まった担当者がつくことはなく、何人ものスタッフが代わる代わる対応してくれるはずです」

    一方、BtoBビジネスでは、会社の担当者どうしがより個人的な関係を築き、製品やサービスを売り込みます。「この場合、顧客側は、担当者との間で築いた良好な関係を大事にしようという気持ちを持つようになります」とChandlerは説明します。

    とは言え、顧客の窓口となるのはカスタマーサービスチームだけではありません。BtoB企業の顧客は、担当のアカウントマネージャーやカスタマーサクセスチームとやり取りすることもあり、カスタマーサービスチームよりも頻繁にコミュニケーションを取ることも珍しくありません。また、実装担当のチームとやり取りすることもあります。

    このように、BtoB企業の場合は、顧客が社内のさまざまなチームとかかわる可能性があるため、全社的に顧客ファーストの考え方を共有することが重要です。優れたBtoBカスタマーサービスを提供できるかどうかは、カスタマーサービスチームだけでなく、全従業員の力にかかっています。

  • 効果的なBtoBカスタマーサービスを提供している3つの業界

    BtoBビジネスには数多くの種類があるため、各顧客企業の具体的なニーズに合わせて、カスタマーサービス戦略をカスタマイズすることをお勧めします。以下では、BtoBカスタマーサービスについて3つの業界のアプローチを見ていきましょう。

    1. 金融

    BtoBの金融機関では、規制が非常に多く、商品やサービスの取り扱いおよび販売方法に関し、厳格なルールに従わなくてはなりません。そのため、カスタマーサービスチームのメンバーには、金融業界全般についてのきわめて高度な知識が求められます。

    また、人々の資産を預かる金融機関にとって、信頼性および倫理観の高さはますます欠かせない要件となっています。したがって、サポート担当者は、データプライバシーやデータ管理といったトピックについても最新の事情に通じている必要があります。

    Chandlerはこう話します。「金融業界のような人々の生活に深くかかわる業界にとっては、顧客対応の場でも信用や信頼を築けるかどうかが、ビジネスの成功を左右します」

    カスタマーサービスチーム向けの研修では、担当者が顧客目線で物事を見られるようにするためのエクササイズを試みるとよいでしょう。たとえば担当者に対し、財布と携帯電話をテーブルに置き、背中に手を回すように指示します。そのうえで、その担当者達にあなから自分の昼食代を出してくれと頼んでみましょう。

    財布を触れずどうしようもできない担当者はきっと不安や苛立ちを感じるでしょう。これこそが、資金を用意できないときに顧客が抱く気持ちなのです。このエクササイズによって、担当者は顧客の視点に立ち、できるだけ早く顧客を助けたいという気持ちを持てるようになります。

    こうしたスピードへの意識は、サポート担当者の業務や顧客対応に欠かせないものです。顧客が直面する問題を自分のことのように捉えられれば、担当者は問題の解決により力を尽くすようになるでしょう。共感力は、カスタマーサービス戦略のカギとなる要素です。

    2. SaaS

    SaaSとは「Software as a Service」(サービスとしてのソフトウェア)の略で、BtoBで扱われる製品の代表的な例の1つです。一般に、顧客関係管理(CRM)、顧客とのコミュニケーション、チームの業務効率化、プロジェクトの管理など、日々の業務を遂行するうえで使用されるソフトウェアを指します。

    SaaS企業はサポート担当者に対し、自社の製品や顧客について十分な知識を与えることで、それぞれの顧客ニーズに合わせたカスタマーサービスを提供しています。

    CRM製品を提供するソフトウェア企業のPipelineDealsでは、RingCentralのクラウド電話ソリューションを使用して、電話の問い合わせ対応とカスタマーサービスチームのトレーニングを行っています。このソフトウェアを使用すると、顧客から非常に複雑な問い合わせがあった場合でも、他のチームに所属するエキスパートにリアルタイムで電話に参加してもらうことができるため、問い合わせに問題なく対処できます。これは、BtoB企業が別のBtoB企業の製品を活用し、BtoBカスタマーサービスを提供している事例の1つです。

    Chandlerいわく、SaaS企業の特徴は、人間味のあるアプローチによって顧客と長期的な関係を築いている点です。実際、ChandlerがZendeskで働くようになったのも、自身が顧客だったときに、Zendeskのカスタマーサービスチームからすばらしい対応を受けたことが理由です。

    「契約を更新してもらうためという下心が感じられたことはなく、いつでも親身になって対応してくれました。積極的に手を差し伸べ、仲間のように扱ってくれたので、特別なチームの一員になったような気がしました。そうやって関係が育まれていったのです」

    Chandlerはさらに、優れたカスタマーサービスを長期に渡って提供して顧客とのつながりを着実に築くことが、SaaS企業にとっていかに重要であるかを強調します。SaaS企業が卓越したBtoBカスタマーサービスを提供するには、人間味のあるアプローチを用い、顧客の状況をよく理解して、顧客との関係を育成し発展させる方法を心得ている必要があります。

    SaaS企業のBtoBカスタマーサービスでは、少人数のグループを編成し、それぞれの顧客の担当グループを固定させるとよいでしょう。絆が生まれやすくなるうえ、顧客のニーズをきめ細かく把握できるようになります。

    3. マーケティング

    マーケティング企業におけるカスタマーサービスの提供方法は、実に多彩です。ヘルプセンターのコンテンツやブログ記事を通じて、一般的な質問に答えたり、製品やサービスの使い方を説明したりするケースもあります。

    マーケティング企業は、数多くの顧客とのコミュニケーションを追跡、管理する必要があり、大勢の顧客と同時にやり取りする能力に優れているのが特徴です。それを実現するために、有益で魅力的なコンテンツを作成していることも少なくありません。

    Union Jack Toolsの社長を務めるChris Joyce氏は、同社のコンテンツはカスタマーサービスの発展形であると述べています。同社は、Klaviyoのマーケティングオートメーションソフトウェアを使って顧客とコミュニケーションを取りながら、関係を強化しています。

    「カスタマーサービスのカギはコミュニケーションです。Klaviyoは、実に効果的なコミュニケーションプラットフォームだと思います」と、Joyce氏はインタビューで話しています。「Klaviyoを導入するまで、メールテンプレートやキャンペーンの作成についてはまったく経験がなかったのですが、徐々に慣れていきました。今では、自信を持ってそうした作業を行っています。しかも、大した手間もかかりません」
    ちなみにKlaviyoも、オンラインでのコミュニケーションを通して優れたカスタマーサービスを提供している会社です。

    Klaviyoのカスタマーサクセス&サポート担当バイスプレジデント、Kate Walsh氏はこう説明しています。「顧客志向は、Klaviyoのコアバリューの1つです。すべてのチームが顧客目線で物事を考え、顧客のビジネスやニーズについて理解し、顧客が直面するビジネス上の問題点を解消しようと努めています」

    BtoBカスタマーサービスに最適なツール

    カスタマーサービスに使用するツールは常に、自社の顧客層に固有のニーズを反映したものでなくてはなりません。以下では、卓越したBtoBカスタマーサービスの提供に役立つトップレベルのソリューションをご紹介します。

    • Zendesk

      Zendeskのカスタマーサービスソフトウェアなら、BtoBカスタマーサービスでの複雑なやり取りも容易に管理できます。SNSからテキストメッセージ、メール、チャット、電話での問い合わせまで、幅広いタッチポイントにわたって顧客のデータと行動履歴を集約できます。ZendeskではクラウドベースのCRMツールも提供しており、場所を問わずアクセスできるため、チームメンバーがどこにいても顧客対応を行えます。さらに、統合型のヘルプセンターやコミュニティフォーラムも構築できるため、顧客が自分のペースで問題を解決できるようになり、問題解決時間も短縮されます。

    • RingCentral

      RingCentralは、顧客とのやり取りを可能にするクラウドベースのコミュニケーションツールを豊富に提供しています。これは特に、グローバルなカスタマーサービスチームを擁し、世界のどこからでもビデオ通話、音声通話、メッセージングを利用できるようにする必要がある大規模なBtoB企業にとって、最適な選択肢となります。RingCentralなら、場所を問わず顧客対応が行えるうえ、他のツールとの連携機能も充実しています。

    • WhatsApp

      WhatsAppは特に、国外の顧客とやり取りする機会の多い企業にお勧めです。非常に人気の高いメッセージングツールであり、チャットや音声通話によるコミュニケーションが可能で、インターネット接続料金のみで国外の顧客とやり取りできます。社用の携帯電話にも無料でインストール可能です。WhatsAppは、優れたカスタマーサービスの提供に最適なコミュニケーションアプリの1つで、時間や場所の成約を受けることなく、顧客とやり取りできます。

      ツールを選ぶ際には、自社の顧客とのコミュニケーションをうまく管理するには何が必要なのかを考えましょう。Chandlerはこうアドバイスします。「自社と顧客がどのようにやり取りしているかを踏まえて、それに適したツールを選ぶことが大切です。まずは自社のカスタマージャーニーを思い浮かべ、どうすればそのプロセスがよりスムーズになるかを考えるとよいでしょう」

    • 質の高いBtoBカスタマーサービスで信頼を築く

      優れたBtoBカスタマーサービスは、顧客の信頼獲得につながり、長期的な取引継続の可能性を高めます。

      また、顧客の成功は自社の成功でもあります。常に質の高いカスタマーサービスを提供して、顧客の目標達成を後押しすれば、最終的には顧客のロイヤルティと自社の収益が向上するでしょう。

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