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顧客を健全な財政状態に導く:LendUpの挑戦

更新日: 2024年2月22日

自動車を買う。アパートを借りる。このように自身の生活の予算管理をした経験がある人なら知っているように、財政状態というものは、いつでも順風満帆とは限りません。特に、信用状態に差し障るような事態に直面したことのある人は、痛感しているでしょう。多くの会社は、信用度の低い人を相手にしません。そうした人々は、クレジットカードやローンが必要になっても、使える選択肢がほとんど残っていないのが実情です。

ところが、まさにそういう顧客を相手に、経済的負担を軽くしながら信用を築くプロセスを支援している会社があります。それがLendUpです。同社は少額の資金を融資するだけでなく、顧客がクレジットスコアを少しずつ取り戻して、安心して暮らせるように支援しています。現在、同社はクレジットカード事業も展開し、ローンの貸出実績は10億ドル以上に達しています。

「当社のお客様で、過去4つのクレジットカード、すなわち4つの銀行と取引した方もいます。そしておそらく、信用状態に悪影響を及ぼすようなことが起こったのでしょう」と、オペレーション責任者のWill Massey氏は語ります。「LendUpは、お客様をサポートして正しい道に戻れるようなリソースを提供したいと考えているのです。」

顧客理解から始まる、優れたサポート

LendUpは当初、独自の社内システムを顧客とのタッチポイントとして利用していました。しかし2016年、このシステムに限界を感じ、より豊富なオプションや高度なセキュリティを備え、より充実したセルフサービスを提供できるソフトウェアの導入を検討するようになりました。

「お客様と安全にコミュニケーションできる手段が必要でした」と、Massey氏は説明します。「また、お客様が何を求めているのか、弊社の金融商品について何を知りたがっているのか、お客様についてより理解を深める必要がありました。」

Zendeskは個々の製品が完全に統合されているオムニチャネルプラットフォームを提供している点が決め手になりました。LendUpがまず導入したのは、SupportGuideでした。その後、顧客の連絡先をすべて1つの中央リポジトリで維持しながら、Chatを追加しました。

LendUpは独自のクレジットカードを展開しているので、ライブチャットサポートを導入するのは当然の成り行きでした。「お客様が気軽にフィードバックしやすいのは、電話やメールよりも、チャットです」と、クレジットカード事業部の上級プロダクトマネージャー Aaron Rubens氏。「お客様から‘すごく使いやすいね’とか‘これ壊れているよ’などと言われるケースが実際にありました。こういうフィードバックは、チャット以外のチャネルではまず得られないでしょう。」

LendUpで顧客対応を担当しているCustomer Insights(CI)チームは一歩踏み込んだサポートで、Chatを使って積極的に顧客にメッセージを送ることにしました。その結果分かったのは、顧客の希望やニーズを知るには、顧客に聞いてみるのが一番だという事実でした。LendUpクレジットカードは、Credit Karmaで常に評価4.6~4.8と、顧客満足度が非常に高いのが特徴です。その理由のひとつは優れたカスタマーサービスにあると、CIチームでは見ています。

「Chatを使えば、リアルタイムでお客様とつながることができます。連絡が取りにくいお客様の場合は特に便利です」と、Rubens氏。「お客様がしばらくの間ログインしていなかったり、アクティビティが途絶えている場合があります。そういうお客様がログインした時点で、こちらから積極的にメッセージを送り、質問があれば何でも聞いてください、と働きかけています。」

LendUpでは、米国で65人のCIエージェントからなるチームが24時間365日体制で活動しています。ライブサポートの大部分は、午前9時から午後8時(東部時間)までの間に行われています。ローンに関するサポートが必要な顧客に対応するチームと、LendUpクレジットカード会員を支援するチームの2つに分かれています。

サポート業務の中心にあるのは教育

カスタマーサポート、特にクレジットカード事業に関してLendUpが何かを選択するとき、その選択の基準になるものは、公正さと透明性です。つまり、顧客に最も役立つ金融情報を与えること、その情報をできるだけ役立つような形で提供することだと、Massey氏は言います。同社のターゲットである顧客層にとっては、不慣れな対応だと言えます。

「当社のお客様の大多数は、クレジットに関しては利用できる選択肢がほとんどありません」と、Massey氏は説明します。「そのため、結局は悪質な金融業者の餌食になってしまう傾向があります。こうした経験からすれば無理もないことですが、いい話の裏には何かあるのではないか、細かい字で書かれた例外規定のようなものが隠れているのではないかと警戒し、疑り深くなっている場合があります。」

エージェント研修で最初に学ぶのは、顧客の話に耳を傾けるという姿勢です。顧客の言葉をさえぎって話したり、状況を完全に把握しないまま回答したりすることは、禁じられています。「ひとつの金融商品でも、さまざまなな言い表し方があるので、お客様の言葉を正しく解釈する能力を養うためにロールプレイを繰り返しています。お客様が本当に聞きたがっている質問は何なのか、エージェントが理解できるようになるためです」と、Massey氏は言います。

LendUpのクレジットカード事業部門は、通常の会社のクレジットカード事業とは異なったモデルで運営されています。大部分のクレジットカード会社は、顧客に最小限の支払い額だけを払わせるようにしています。そのため利子が膨らんで、いつまで経っても支払いが終わりません。LendUpでは逆に、毎月少しずつ多めに払うよう顧客に奨励しています。利息分を節約して、財政的に楽な状態にたどり着く方法を教育しているのです。

LendUpはクレジットカード事業を立ち上げる際、強力なセルフサービスリソースの開発に力を入れるという重要な決断を下しました。更新されないFAQページの代わりに、Zendesk Guideを利用したヘルプセンターを用意し、顧客がサインインした後に利用できるようにしています。顧客に最新の情報を提供することで得られるメリットは、投資コストを上回っているとMassey氏は言います。「顧客に回答するだけのために、フルタイムの従業員を張り付けておく必要がありません。おかげでコアビジネスに集中できます。」

Zendesk Guideを導入した結果、ヘルプセンターを見た後に作成されたチケット数で測定される「チケット削減率(ticket deflection)」は85%になりました。これは、サポートチームにとって大きな効果と言えます。

社内外に広がる協力の文化

「愚か者とエゴイストは要らない(No bozos and no egos)。」LendUpが掲げる理念のひとつです。これは社員だけでなく、お客様にも当てはまります」と、Massey氏は言います。

LendUpでは、すべての社員が「お客様を健全な財政状態に導く」という共通の目標に向かって貢献できるような企業文化の育成に努めています。競合他社が用いる手法についても検証し、LendUpは顧客が何に困って、何を避けたがっているかを知り尽くしています。定期的に全社ミーティングも開催し、Social Impactチームが達成した成果を紹介するとともに、LendUpのおかげで顧客が節約できた金額、増加したクレジットスコアを発表しています。

CIチームに所属していない社員も、四半期ごとにCIチームのメンバーと組んでシャドーイング訓練を行うことが義務付けられています。顧客がどんな状況に置かれているかを正確に知ることが目的です。この訓練は、CIチームが最終目標の達成を目指して行っている業務を全社員が理解し、正しく評価するのにも役立っています。

Rubens氏によると、CIチームとプロダクトチームの間のコミュニケーションは非常に強力で、フィードバックと製品改良のサイクルが確実に共鳴し合っています。

「最初に設定した条件が、必ずしも後々まで完璧なままとは限りません」と、Rubens氏は言います。「CIチームから得たフィードバックを、真摯に受け止める必要があります。CIチームは現場で問題に取り組んでいる当事者だからです。」

初回応答での問題解決率が一定して85%という高い水準を保っていることをはじめとしたZendeskのメリットを目の当たりにして、LendUpでは人事部門、施設部門、ITサポート部門にもZendesk Supportを導入しました。オフィス施設チームのマネージャーを務めるZoe Filippenko氏は、顧客対応チームの生産性を高めやすくして、社内の雰囲気や企業文化を育むことが重要だと言います。

「社員と関わり合って、社員のニーズを確実に満たし、製品やお客様との関係においても彼らがベストを尽くせるようにしたいと、願っています」と、Filippenko氏は言います。

今後どのような課題が待ち受けていても、常にチーム一丸となって活動し、顧客に奉仕するという使命に忠実であり続ける。それが、LendUpの成功の鍵なのです。

「お客様が抱えている問題やその根本原因に対し、全員が同じ考え方で取り組んで、根本原因を解決することが私たちの目標です」と、Massey氏は言います。「お客様に問題が起こったときは、私たちが力を合わせて最新情報を提供し、進捗状況レポートを提供します。」

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