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電話の問い合わせ件数が急増した際の確実な対処方法

電話での問い合わせ件数が急増しても、顧客を長時間待たせる必要も、サポート担当者を増員して対応する必要もありません。この記事では、顧客体験や企業の売上に悪影響が及ぶ前に、電話による問い合わせ件数が急増したことを察知し、適切に対処するためのヒントを解説します。

更新日: 2024年2月22日

入電件数が増えると待ち時間が増え、カスタマーサービス担当者の疲労が蓄積し、顧客の不満が募ります。

何の前触れもなく問い合わせの電話が殺到すると、企業に甚大な影響が及びかねません。人員数が限られた中小企業の場合は、特に深刻な問題です。

電話での問い合わせ件数が急増すると、顧客満足度が低下し、顧客体験にも影響が及びます。こうなった際に苦境に立たされるのがコールセンターで、息つく暇もないくらい問い合わせへの対応に追われることになります。Zendeskが実施した調査によると、電話で問い合わせる顧客は企業が5分以内に応答することを求めています。

しかし、問い合わせの入電件数が通常よりも増えた場合でも、質の高いカスタマーサービスを提供するために、コールセンターとしてできる対策があることも確かです。

コールセンターでは、対応待ちの電話件数を減らすための対処方法を数多く持ち合わせています。例えば、入電件数の増加は恒久的な変化なのかを見極める際にも、セルフサービス型サポートの場を提供して入電件数を積極的に減らす取り組みをおこなう際にも、コールセンターの責任者と担当者は、急増した入電件数に対して有効な対策を講じる手段を備えています。

電話での問い合わせ件数の急増とは

基本的なことですが、「電話による問い合わせ件数の急増」とは、予想していた入電件数を大幅に上回る数の電話がコールセンターにかかってくる状態を意味します。

ここで注意しておく必要があるのは、入電件数が急上昇してその状態が一定期間にわたって継続することで、はじめて「電話による問い合わせ件数の急増」とみなされる点です。この期間は企業によって異なりますが、約2〜3週間になることもあります。

一般的に、業界では、入電件数が通常のレベルよりも10%増えた時に「急増」と判断することが標準的です。しかし、中小企業の場合、活用できる人員数や機材数の状況によっては、10%よりももっと高い数値で判断することもあります。

電話での問い合わせ件数の急増状況を特定する方法

入電件数の急増状況を特定することは、「いつもよりも問い合わせの電話が増えているようだ」というような簡単な問題ではありません。

これには予測と比較した事実が求められます。サポート部門長は、過去の入電件数の傾向をしっかりと把握しておく必要があります。そしてこの数字は業種によって大きく異なります。

例:

  • その小売業者では、販売促進活動の後や休暇シーズン中に、入電件数がいつも以上に増えているのか?
  • そのコールセンターへの入電件数が一番多いのはいつも月曜日なのか?
  • 通常サポート部門では何件の入電に対応しているのか?
  • 問い合わせの待ち時間や問題解決に要する時間は平均でどれくらいか?

このような情報はどれも、部門長がデータに裏付けされた基準を確立して判断をするうえで役立ちます。ひいては人材配置やその他の機材などの配分に関する意思決定にも重大な役割を果たします。

予測をおこなうことは、なにも社員が何千人もいる大企業や、大規模なサポート部門に限られたことではありません。中小企業でも、データを分析して予測をする必要があります。

入電件数の急増に対処する際のヒント

まずは四半期ごとに予測を立てて、サポート担当者を増員すべきか判断できるようにしましょう。そのうえで、データに基づいて、毎月、毎週、毎日、さらには毎時のサポート部門の作業量の予測結果を導き出すようにします。

例えば、Zendeskが発行した「2020年のベンチマーク調査:カスタマーエクスペリエンスにおける新型コロナウイルス感染症の影響」では、以下のことが報告されています。

  • 調査対象となった企業の約15%では、パンデミックが世界的影響を及ぼし始めた2020年の2月下旬と比較して、問い合わせ件数が10%以上増加しています。
  • 問い合わせ件数が増加したことに伴い、調査対象企業の25.3%では電話での対応件数が増え、結果として電話でのサポート担当者数が15.2%増員されています。

予測を踏まえてすばやく軌道修正をおこなえた企業では、未曽有の困難な時期にも、顧客に必要なサポートを確実に提供できています。

正確な予測をおこなう際には、履歴データとリアルタイムデータの両方を活用できる分析ツールが大きな役割を果たします。

入電件数を減らすための取り組み

多くの企業にとって入電件数の急増は、単に担当者の数を増やせばすむ問題ではありません。

これは民間企業に限られた問題でもありません。コロナ禍で多くのビジネスの閉鎖が決定されると、米国の州政府には失業手当を求める人々からの問い合わせが殺到しました。特に危機的状況のさなかにある時には、カスタマーサポート担当者を増員したくても、予算的にも物理的にも難しい場合もあります。

しかし、すでに一般的に取り入れられている取り組みのなかに、問い合わせの入電件数の増加を幾分か抑える、あるいは問い合わせそのものを解決する方法があります。

電話の問い合わせ件数が急増した際の対応策となり、確実に入電件数を減らすことにつながる方法を解説します。

セルフサービス型サポート

コールセンターの責任者が管理するツールの中で最も効果的なのが、セルフサービス型サポート環境の設置です。

アクセスが容易なヘルプセンターを設けて、正確な内容のヘルプ記事を掲載しておけば、電話で問い合わせる必要性を感じる顧客を減らすことができます。殆どの場合、このようなヘルプ記事を書くのも、サポート担当者の仕事です。いずれにしても、この対応策は顧客が求めているものでもあります。顧客は自分自身で問題を解決できる状態を望んでいます。

2020年は、コロナ禍の影響により、企業に対する問い合わせ件数が急増しました。

  • 企業の61%は、ヘルプセンターに1つ以上新しいヘルプ記事を追加しています。
  • 16%近くの企業は、セルフサービス型サポートの担当者を増員しています。

どちらの対策もコールセンターのサービス向上に役立ちます。

問い合わせの待ち時間が長くなっている時は顧客をチャットに誘導

もうひとつ採用を検討する価値があるのがチャットです。このコミュニケーションチャネルも顧客が利用する頻度が増えています。

チャットを使えば、サポート担当者はすばやく顧客にセルフサービス型サポートのヘルプ記事を共有できます。顧客が自分自身で問題を解決できるようになるため、サポート担当者はその間に別の問題に取り組むことができます。

チャット機能は企業のアプリやWebサイトに組み込むこともできます。顧客が見つけやすいような形でチャット機能を設けるようにすれば、電話よりもチャットを選ぶ顧客が増えるはずです。

サポート担当者に適切なツールを用意

サポート部門の責任者は、既存のサポート人員数で最大限の成果を上げるための取り組みも検討する必要があります。この目的で大きな効果を発揮するのが、オムニチャネルのチケット発行システムをはじめとする、実用的なワークフローツールで、これらをサポート担当者が利用できるようにします。

オムニチャネルシステムがあれば、顧客との過去の会話履歴を確認できるようになるため、サポート担当者はより迅速かつ効率的に問題を解決できるようになります。

顧客に状況を知らせる

セルフサービス型サポート、チャット、ワークフローツールといったコールセンター用ソフトウェアの機能は、入電件数が急増した場合でも、サポート部門が適切に対応するうえで役立ちます。しかし、企業としてこのような備えをしていても、対応しきれないほどの入電件数が激増してしまう場合もあるかもしれません。

このような場合は、顧客に正直に状況を知らせるようにしましょう。

  • 電話での待ち時間がどれくらいになるかを伝えたうえで
  • 別のチャネルの利用を案内します

折り返し電話をする

コールセンターの担当者から折り返し電話をするという選択肢を顧客に提示することも、効果的な対応策となります。

ある調査によると、顧客の75%は、保留にされた状態で待つよりも折り返し電話をかけてもらうことを希望するという回答結果が出ています。この選択肢を顧客に提示することができれば、以下をはじめとして様々な利点があります。

  • 問い合わせの放棄率を下げられます
  • 経費を下げられます
  • 何よりも、顧客体験の質が向上します

この場合でも、折り返しの電話はすみやかにかけるようにしましょう。

計画を作成したうえで臨機応変に実施

予測データを活用できる環境を整備し、セルフサービス型サポート、チャット、ワークフローアプリなどの機能を持つソフトウェアソリューションで、電話での問い合わせ対応作業量を減らすことができる体制を整えたら、あとは予期せぬ入電件数の急増にも慌てることなく対応できるように、サポート担当者に心構えをしてもらうだけです。

データに基づいて実績がある手法を駆使して、入電件数の急増への対策を講じれば、企業は予測していた問い合わせ件数の増加はもとより、予期せぬ突発的な入電件数の急増にも対処できるようになります。

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